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1日2杯以上のみそ汁で乳がんリスク軽減も

1日2杯以上のみそ汁で乳がんリスク軽減も
予防・健康
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肥満は乳がんと再発リスクを上げる

女性で最も多い乳がんは、パートナーの男性にとっても他人事ではありません。治療は日進減歩で進化しているとはいえ、できることなら発症しないに越したことはないでしょう。

「60代以降に発症した人では、肥満や運動不足など生活習慣と関係が深いと考えられます。食生活の見直しは、乳がん予防にも役立つと思います」

こう話すのは、東京女子医科大学病院乳腺外科の明石定子教授。数多くの乳がん患者を治療し、昨年9月、同科に着任後にはブレストセンターを設立。乳腺外科、放射線科、形成外科とタッグを組み、新たな診断・治療法の開発にも力を注いでいます。

「乳がんの手術後に太ると、再発率や死亡率が高くなると報告されています。外食をした翌日は節制するなど食べ過ぎないように生活にメリハリをつけ、運動習慣を持つように心がけましょう」

そもそも閉経後は、女性ホルモン(エストロゲン)の減少で代謝が悪くなり、体重が増加しやすくなります。国内の大規模な疫学調査では、BMI(体重kg÷身長mの2乗)が「1」上がるごとに、閉経後の乳がんリスクが「5%」上昇することがわかりました。

閉経前乳がんも、BMI「30以上」の人は、「23~25」の人と比べて乳がんリスクは2.25倍になっていました。閉経前でも後でも、肥満は乳がんリスクを押し上げ、乳がん治療の手術後の再発率も高めるのです。

ちなみに、BMI「25」は、身長160センチの人で体重64キロが該当します。これ以上太りすぎるのは、乳がん予防に加えて生活習慣病予防としてもよくありません。

みそ汁、納豆など大豆のイソフラボンでリスク低減

「大規模な疫学調査の報告では、みそ汁を1日2杯以上飲むと、乳がんリスクが下がると報告されていました。また、同じ研究報告で、大豆、豆腐、油揚げ、納豆の大豆製品をとっている人は、ほとんど食べない人よりも乳がんリスクは下がっていました。大豆製品は役立つ可能性があります」

閉経後の女性は、大豆のイソフラボンを食べれば食べるほど、乳がんリスクを低減するとも報告されています。大豆のイソフラボンは、女性ホルモンのような働きをするため、乳がんに関係する女性ホルモンの働きを邪魔するのではないかと考えられています。

「戦後の食の欧米化で乳がん患者さんが急激に増えたことからも、みそ汁や納豆など、バランスのよい和食中心の食生活が良いと思います。塩分のとりすぎに注意して、野菜を多めに食べることなど、工夫をするとよいでしょう」

閉経後は、エストロゲンの減少で生活習慣病も発症しやすくなります。「以前と同じように食べているのに太ってしまった」という人は要注意です。乳がんのリスクも上げるため、食事内容や量の見直し、間食を控えることも大切です。また、国内の大規模な疫学調査では、余暇運動が「月3回以内の群」に比べて、「週3日以上の群」は、乳がんリスクが低いと報告されていました。

「閉経後の乳がんは、活動量が高ければ高いほどリスクが下がります。予防のために食生活の見直しを心がけていただきたいと思います」

解説
東京女子医科大学病院乳腺外科教授
明石 定子
東京女子医科大学病院乳腺外科教授、同ブレストセンター長。1990年、東京大学医学部医学科卒。東大病院、国立がん研究センター中央病院、昭和大学病院乳腺外科を経て、2022年9月から現職。
執筆者
医療ジャーナリスト
安達 純子
医療ジャーナリスト。医学ジャーナリスト協会会員。東京都生まれ。大手企業からフリーランスの記者に転身。人体の仕組みや病気は未だに解明されていないことが多く、医療や最先端研究などについて長年、取材・執筆活動を行っている。科学的根拠に基づく研究成果の取材をもとに、エイジングケアや健康寿命延伸に関する記事も数多く手掛けている。