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「巻き爪」「陥入爪」の悩み解消する爪ケアと治療法

「巻き爪」「陥入爪」の悩み解消する爪ケアと治療法
予防・健康
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爪の変形や炎症・感染から足の臭い

最近なんだか足の臭いが気になり始めたという人もいるでしょう。基本的に足の臭いは、汗が靴下や靴で密封されて蒸れることで、臭いの原因菌が増殖するために起きます。

ただし、時には病的な爪の変形や疾患が原因の場合もあり、巻き爪・陥入爪(かんにゅうそう)に伴う皮膚の炎症や感染は代表例です。ここでは医師の目線から、巻き爪・陥入爪の対処法をお伝えしたいと思います。

巻き爪と陥入爪は実際の臨床でも混同されることが多いです。巻き爪とは、爪が「の」の字状、あるいはアーチ状に湾曲した状態を指します。一方、陥入爪とは、爪が皮膚・軟部組織にくい込み、物理的な刺激で炎症や感染、疼痛、肉芽形成を伴うものを呼びます。

両者とも足の第1趾(母趾)にできやすく、2つが合併することもあります。

疼痛や高度な炎症を伴う場合は、陥入した爪の縁を部分的に切除したり、抗菌薬や外用薬を投与して症状を軽減させることがあります。ただし再発する場合が多いです。そのため、繰り返す症状に悩んでいる人は、根治的な治療を計画する必要があります。

爪の疾患の根治的治療法

保存的矯正治療

ドイツのフットケアから発展した分野で、ワイヤー法とプレート法があります。治療の際に麻酔は使用しないことが多いです。ワイヤー法は爪に穴をあけて超弾性ワイヤーを通し、その弾力で矯正する方法です。プレート法は爪甲に形状記憶合金プレートを接着する方法で、爪への損傷は少ないですが、ワイヤーに比べて張力(引っ張る力)が弱い場合もあります。

そこで、双方のメリットを組み合わせた製品もあります。これらの治療は疼痛や合併症が少ないというメリットがありますが、治療期間が長くなったり、後述する外科的治療に比べると再発したりするリスクが高いデメリットもあります。

外科的治療

外科的治療には大きく2種類あります。1つ目は「フェノール法」です。足の指の付け根に麻酔をして、爪の周囲を鎮痛した後、くい込んだ部分の爪を部分的に抜きます。その後、曲がった爪の基となる「爪母」と呼ばれる部分をフェノールで処理します。

クリニックによってはフェノールの代わりに炭酸ガスレーザーを使用する場合もあります。多くの場合、2週間前後で治ります。医療機関では広く用いられており、エビデンスもある治療法ですが、爪の幅が狭くなるなどのデメリットもあります。

2つ目は手術治療で、さまざまな術式があり、骨を削って平坦化する場合もあります。

直接、命にかかわることは少ない「爪疾患」ですが、歩行や足の臭いなど、生活の質(QOL)には大きく関わってきます。特に高齢になって、動脈硬化が進んでからでは治療が制限されることがあるので、1人で悩まず、今のうちに専門施設に相談してみるのもいいでしょう。

  • 陥入爪・巻き爪が足の臭いの原因になっている場合がある
  • 治療には保存的治療と外科的治療がある
  • 糖尿病や動脈硬化の方は、特に注意が必要
解説・執筆者
形成外科専門医
西嶌 暁生
医学博士、形成外科専門医、MBA。1984年7月7日生まれ、富山県出身。形成外科・美容医療の専門医として、10年以上、臨床と研究に従事。2019年から恵比寿形成外科・美容クリニック副院長。著書「だから夫は35歳で嫌われる~メンズスキンケアのススメ」(光文社)が発売中。