歯(歯科) 生活習慣

【ベストセラー健康本】『食事でムセる かみ切れない 口臭が気になる人のための口の強化書』

【ベストセラー健康本】『食事でムセる かみ切れない 口臭が気になる人のための口の強化書』
予防・健康
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食事中によくムセる、食欲がわかない、食べていると疲れる、胃もたれする、口が渇く、滑舌が悪くなった—全て口が老化している兆候だという。口の老化は、足腰や体力が弱るようには、気づきにくいが、筋肉の低下に大きくかかわっている。オーラルフレイル(口の老化)の人が2年以内に身体的フレイルを発症する確率は約2.4倍という発表もある。

すべての老化は口から始まる

 “口の老化”に注目し、要介護リスクや老化、誤嚥性肺炎などを予防すべく刊行されたのが、歯学博士・照山裕子氏=写真=が執筆し、医師・來村昌紀氏が監修した『食事でムセる かみ切れない 口臭が気になる人のための口の強化書』(アスコム刊、1430円)だ。

編集担当の中村悟志氏が本書を刊行したきっかけについてこう話す。

「『すべての老化は口からはじまる』と言われるほど重要なのに、口周りの筋肉を習慣的にケアしている人は少ないように感じていました。そこで出合ったのが、歯学博士の照山氏が考案した『かみかみリズム体操』。グミという老若男女が大好きな食べ物を使った体操なので、これなら誰でも楽しく続けられると感じました。僕の子供にも教え、今も率先して続けています」

グミと聞くと不思議な気もするが、実は補綴(ほてつ)の分野では、グミは咀嚼(そしゃく)能力検査に長く使用されている材料だという。「かみかみリズム体操」のメリットは4つ。

  1. 噛みごたえを自由にコントロールできる
  2. 舌を使った複雑な咀嚼運動が期待できる
  3. 唾液が増える
  4. 甘いからおいしく楽しく続けやすい

「かみかみリズム体操」のやり方

では、セットで行いたい2種の「かみかみ体操」を紹介しよう。

【STEP1=舌ポジリセット】

  1. 好みのかたさのグミを口に含み、舌の上にのせる
  2. 舌を使って、グミを歯ぐきの裏側にぐっと押し付け、その状態を10秒キープする。

【STEP2=三三七拍子がみ】

  1. 「舌ポジリセット」のグミを舌で左側の歯に持っていき、三三七拍子のリズムで噛む
  2. 次に舌で右側の歯にグミを持っていき、右側の歯でも三三七拍子のリズムで噛む
  3. さらに左側で同様に噛む。飲み込めるくらいまで(2)~(3)を繰り返して、飲み込む。なお2セット目の三三七拍子がみを行うときは右側の歯から始めよう。

※新しいグミで、STEP1とSTEP2をもう一度繰り返す。

これらと本書に掲載された「毒出しうがい」を約1週間やってみたところ、確かに普段の食事がいつもよりしっかり噛めているような実感が得られた。他に、この体操の心への影響や、数々の効果を調べ、紹介している。  「噛む力」からの広がりを実感するには継続が必要。まずは“ひと噛み”から始めよう。

噛みやすい食材と噛みにくい食材

  1. スープ
  2. おかゆ、プリン、豆腐
  3. ごはん、はんぺん、うなぎのかば焼き、マグロの刺し身
  4. おこわ、ビスケット、かまぼこ、ちくわ、こんにゃく、ハム、ソーセージ、いかの刺し身
  5. とり貝、サラミ、ステーキ、フランスパン、スルメイカ、おこし、貝柱のひもの、らっきょう、くらげの酢の物、なまこ、酢だこ
  6. 雑煮の餅、ピーナツ、かた焼きせんべい、古たくあん

※(1)→(6)へ徐々に固いものを食べることが大切

執筆者
ジャーナリスト
田幸 和歌子
医療ジャーナリスト。1973年、長野県生まれ。出版社、広告制作会社を経て、フリーランスのライターに。「週刊アサヒ芸能」で健康・医療関連のコラム「診察室のツボ」を連載中。『文藝春秋スーパードクターに教わる最新治療2023』での取材・執筆や、健康雑誌、女性誌などで女性の身体にまつわる記事を多数執筆。