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【ベストセラー健康本】60歳からは「自分ファースト」で生きる。

【ベストセラー健康本】60歳からは「自分ファースト」で生きる。
予防・健康
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「終活」という考え方が広がったいま、改めて考えたいのは老後をいかに充実した日々にするか。ここでは、明るくポジティブな老後をプランニングするのに役立つ『60歳からは「自分ファースト」で生きる。』(草野かおる著、ぴあ刊、1540円)を紹介したい。

自分ファーストとは「自分最優先」のこと

著者は「防災」や「食」の分野に精通したイラストレーター。65歳の現在、「60歳からの自分の生き方を振り返り、自分の経験や知識を60歳を迎えた、あるいはこれから迎えようとしている人に伝えたい」との思いから執筆を思い立ったという。

「自分ファースト」とは「自分勝手」とは異なる。限りある人生を有意義に過ごすうえで重要な「自分を最優先」とする考え方のこと。これを日々の生活の柱に据えることで、ようやく手に入れた「60歳以降」という「楽しく過ごすべき時間」を有意義なものにできる—と著者は説く。

「マインドを変える」「人間関係を考える」「生活習慣を変える」「環境を変える」「冒険しよう」など、生活に取り入れたい考え方の章立てが並ぶ中から、ここでは「健康を考える」という章を覗いてみよう。

「どんなにお金持ちでも容姿に恵まれていても、健康でなければ意味がない。若いころは無理がきいても、還暦を過ぎると都合よく健康はやってきてくれない」という著者は、「自分ファーストには健康は不可欠」と断言する。

不眠やダイエットの不安を「悩み」にしない

たとえば「睡眠」。6時間寝れば十分、という著者は、眠れなくても本を読んだりラジオを聞いたりして「まったりと」過ごし、睡眠導入剤などの薬には頼らない。たとえ寝不足になっても、昼寝をすればいい—という余裕の姿勢を持つことで、不眠を「悩み」にしなくなるというのだ。

「ダイエット卒業」も興味深い。著者は20代のころと比べると、体重は40年間にわたって「10キロオーバー」を続けているという。

しかしそれを気にするどころか、好意的に受け止めている。

「最近の研究では、大人になってずっと標準体重を維持した人より、標準体重から、体重が増えた人のほうが長生きすることが明らかになったそうです」

著者の周りにいる肌ツヤがよく元気で活動的な中年女性ほど“ポッチャリ体形”だという。基礎代謝が落ちると筋肉も落ちてしまうので、そこには注意はしながらも、60歳を過ぎたら無理にダイエットに励む必要はない、というのが著者の意見。「なりたい自分、楽しむ自分を想像し、心も生活も経済も自立し、自分のためにお金と時間を使いましょう」と呼びかける。

軽妙な文章と、本職の明るいイラスト。読み進むうちに元気が出て、老後が楽しみにもなってくる不思議な本だ。

「健康」から「自分ファースト」を考える

  1. 睡眠時間にこだわらない
  2. 「老い」を受け入れる
  3. サプリは魔法の杖ではない
  4. 自治体のサービスを調べる
  5. 骨を強くする
  6. カルシウムをちょい足しする
  7. 腸内環境を整える
  8. 恋愛ホルモンで若返る
  9. ラジオ体操を始める
  10. ダイエットは卒業する

(本書から抜粋)

執筆者
医療ジャーナリスト
竹中 秀二
学生時代から食品業界の専門紙でアルバイト原稿を執筆。大学卒業後は出版社に勤務し、児童向け書籍や学術誌の編集を担当。その後フリーとなり、新聞、雑誌で医療健康関連の取材を重ねる一方、医療や芸能関連書籍の企画・編集・取材・執筆を行う。