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【ベストセラー健康本】『内臓脂肪がみるみる落ちる すごい歯磨き習慣』

【ベストセラー健康本】『内臓脂肪がみるみる落ちる すごい歯磨き習慣』
予防・健康
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口から肛門までつながる消化管の長さは、成人で約9メートル。その突端である「口からのど」にかけての構造はとりわけ複雑だ。単に食べ物をかみ砕いて飲み込むだけでなく、発声や呼吸の一部も担いながら細菌や異物の進入を食い止める、あるいはのどを通過するものが固体か液体か気体かを的確に見分けて、送り込む先を瞬時に仕分けする(嚥下)機能までを兼ね備えた精密機器のような器官である。

口から全身の機能を維持する

ここで紹介する『内臓脂肪がみるみる落ちる すごい歯磨き習慣』(飛鳥新社刊、1430円)は、まさにそんな消化管の入り口である「口」の機能を維持することで、その先につながる「全身」の機能維持を目指す取り組みを指南する1冊だ。

医師で「栗原クリニック東京・日本橋」院長の栗原毅氏=写真=と、歯科医師で栗原ヘルスケア研究所所長の栗原丈徳氏による共著。口腔ケアを正しく実践することで全身の健康維持はもちろん、近年効果が明らかになってきた「内臓脂肪減少」の仕組みも解き明かす、「口から全身を見つめ直す健康本」なのだ。

そもそも口腔ケアがなぜメタボ対策につながるのか—。じつは最近の研究で、歯周病が悪化すると肝臓に脂肪がつきやすくなることが分かってきた。加えて、歯周病はメタボリックシンドロームの発症要因の一つとされ、歯周病菌は筋肉を脂肪化する危険性も解明されつつある。肥満やメタボの原因の多くが「口の状態」と直結していることが、医学的に解明されてきたのだ。

口腔環境を保てば肥満も防げる

そこで著者らは、口腔環境を良好に保つことで全身状態を正常に保つべきだ、と指摘。あわせて肥満とメタボを予防する取り組みの重要性を解く。加えて、「噛む力」を高めて内臓脂肪を減らすことや、オーラルフレイル(口の虚弱)を防ぐことで身体的フレイル(全身の虚弱)を予防できるメカニズムを解き明かしている。

そこで本書が勧めるのが「口内リセット」の実践。歯周病菌を寄せ付けず、噛む力も維持するため、口の中の状態をリセットすることで、歯周病とその先にある全身疾患、そして肥満やメタボの予防につなげようという考えだ=別項参照。

単に習慣として行うのではなく、一つひとつの意味を理解して実践することが重要。

「口のケアが大事なことはわかっていましたが、口臭対策や虫歯予防、歯周病予防が目的だと思っていました。この本の編集を担当したことで、その先にある内臓脂肪の蓄積や糖尿病、高血圧、動脈硬化との関連性の高さを知ったのは驚きで、“歯磨きは1日4回が理想”と知ることができたのは大きな収穫。身近なところで役に立つ情報が満載です」と飛鳥新社出版部の矢島和郎氏。

「メタボや肥満が気になっているものの、ダイエットをやってもうまくいかない」という人にもオススメだ。

「口内リセット」の内容

  • 歯磨き…正しく磨く、時間よりもタイミング、歯ブラシと歯磨き粉の選び方
  • 歯と歯の間のケア…より万全なプラーク対策、歯間ブラシの使い方
  • 舌磨き…毎朝の習慣に。正しく磨く
  • 唾液の分泌を促す…口呼吸より鼻呼吸、口臭予防、唾液腺マッサージ、自律神経の乱れを鎮める、下の筋トレ、舌回し運動
執筆者
医療ジャーナリスト
竹中 秀二
学生時代から食品業界の専門紙でアルバイト原稿を執筆。大学卒業後は出版社に勤務し、児童向け書籍や学術誌の編集を担当。その後フリーとなり、新聞、雑誌で医療健康関連の取材を重ねる一方、医療や芸能関連書籍の企画・編集・取材・執筆を行う。