ダイエット 飲食店 成功率7割以上!「はらすまダイエット」

成功率7割以上「はらすまダイエット」(4)~飲み会でカロリー激増…野菜多めで揚げ物控える工夫を

成功率7割以上「はらすまダイエット」(4)~飲み会でカロリー激増…野菜多めで揚げ物控える工夫を
予防・健康
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突然の飲み会でダイエット挫折も

ダイエットに励み、順調に進んでいても、イレギュラーなイベントなどで頓挫するケースがある。たとえば、突然の飲み会。日立製作所が“はらをスマートに”と社を挙げて取り組んでいる「はらすまダイエット」の場合はどうだろうか。

「飲み会は上司や同僚らとコミュニケーションを図る絶好の機会ですが、お酒を飲みながらおいしいものを存分に食べる分、容易に摂取カロリーがオーバー。その日を境にダイエットはどうでもよくなり、やめてしまうケースがあります」

はらすまダイエットを考案した日立健康管理センタ長の中川徹医師が警告する。

主食、間食、運動のジャンルで100キロカロリーを選択して1日あたり300~500キロカロリーを減らすことを目指すはらすまのプログラムにおいて、一晩の飲み会で、それまでの日々の努力が泡と消える恐れがある。

それでも、この方法でメタボから脱した成功率は70%以上にも。保健指導でサポートした中川医師によると、「はらすま」に参加した日立製作所やグループ企業の社員らは、実に涙ぐましい努力をして、飲み会の壁を乗り越えていた。

体重の5%減を達成した成功者の1人は「会食が多い中、コントロールをするのが最初大変でしたが、コツをつかめたことは今後の会社生活の中で大きな財産」と振り返る。そのコツとは、飲み会では野菜類を意識して多く摂り、つまみでは揚げ物は控えること。

2次会で“工夫”

ほかの成功者は「これを食べると今日は目標のキロカロリー減に未達になるけど、どうしようと自問する習慣がついた」という。

参加者らは、カロリー摂取量に拍車がかかる飲み会の2次会に冷静に対処したという。

「いつもは参加していた2次会も、はらすまを始めてからは決別した」という人がいれば、2次会には付き合うが、「早めに帰る人と合流して、深酒をしないように心がけた」という人も。「2次会では22時以降の飲食を控えた」と、摂取カロリーが増えないようにした例があった。

飲み会で羽目を外して多めに飲食しても、翌日以降に取り戻す努力をする人もいた。

「極力運動をしてカロリーを消費するようにした」「飲んだ翌日は歩くことができなかったので、それ以外の日に1時間歩くようにした」など、無理のない各人のペースで努力がみられた。

「はらすまの100キロカロリーカードでは、普通歩行24分で100キロカロリーを減らせるとしており、1時間歩けば、250キロカロリーを減らせる計算で、飲み会で過剰摂取したカロリーを減らすことが可能になります」と中川医師。

飲み会に出てもカロリー調整ができるようになると、「自己管理する意識がついたことは大きな成果」「健康を自分のために考える機会となった」などと、手応えを得るという。

「たとえば体重90キロの人が体重の5%に当たる約6キロを減らすことができると、それだけで見違える体形になり、体も軽くなります。家族や周囲の見る目が変わり、自信がついて人生が、がらりと変わります。ダイエットは計り知れない効果を生むものなのです」

多くのメタボの人を、はらすまの90日間のコースで救ってきた中川医師はそう話した。

解説
医師、日立健康管理センタ長
中川 徹
産業医科大学卒。放射線診断科医師。1996年から日立製作所の産業医として日立健康管理センタ(茨城県日立市)に所属。メタボ対策に取り組み、副センタ長時代に独自の内臓脂肪撃退プロジェクト「はらすまダイエット」を考案。体重とカロリーの関係を科学的根拠に基づき分析し、無理なく効果的な減量方法に導いて“はらをスマートに”するダイエット術。2022年にセンタ長に就任。主な著書に『ムリせずやせる! はらすまダイエット』(河出書房新社)。
執筆者
医療ライター
佐々木 正志郎
医療ライター。大手新聞社で約30年間、取材活動に従事して2021年に独立。主な取材対象はがん、生活習慣病、メンタルヘルス、歯科。大学病院の医師から、かかりつけ医まで幅広い取材網を構築し、読者の病気を救う最新情報を発信している。医療系大学院修士課程修了。