ヘルスメーター、歩数計、記録表が“三種の神器”
日立製作所が社を挙げて“はらがスマートに”と取り組んでいる「はらすまダイエット」。三種の神器は、ヘルスメーター、歩数計(最近はスマホに機能搭載)、記録表だ。日々、体重を計り、歩数計で歩いた距離を知り、記録していく。
レコーディング・ダイエットの先駆けとなったはらすまの手法を考案した日立健康管理センタ長の中川徹医師は、「一見シンプルな方法ですが、やれば効果てきめん、ダイエットの成功率は70%に上ります」と語る。
はらすまは、90日間で体重の5%減少を目指す。1日当たりの減量は300~500グラム。ヘルスメーターは、100グラム単位で体重の増減を記録する。体重を減らす目安は、はらすまの100キロカロリーカードだ。このカードを自身の体重によって3~5枚程度選び、300~500キロカロリー減らせば、体重の5%減に近づけていく。
「90日間、最初から最後まできちんとダイエットを続ける必要はなく、途中で食べ過ぎたり、飲みすぎたりした日があれば、それを記録表に書いて、翌日以降に余分に歩いたりして補填(ほてん)していけばいいのです」
「言い訳欄」もある
ある年の4月、日立社員の西川昌夫さん(仮名、45歳)は日立健康管理センタで受けた人間ドックの結果、メタボと診断された。中川医師の保健指導は速攻がモットー。ドックを終えたその日に面談をして、「このままでは近い将来、脳梗塞や心筋梗塞になるリスクが高まります。はらすまダイエットを始めますか」と話すと、西川さんは家族のことが目に浮かび、即断した。西川さんがダイエットをスタートした当初に記入した記録を見てほしい=グラフ参照。
西川さんが選んだ100キロカロリーカードは、菓子パンと缶コーヒーの量を減らし、休日に歩くというものだ。実行できれば、「〇」を記入する。体重は朝起きた時と夕食後に2度計る。
そして“人間味”が出るのが、言い訳欄だ。上記の表では割愛したが、それを再現すると、西川さんは4月8日土曜日の言い訳欄には、「近くの温泉でリフレッシュ。ビールを飲みすぎた。帰宅後に根性で歩く」と記載、実際、7000歩を歩き、それも記載した。11日の同欄には「残業時間に小腹が減ってつい菓子パンを食べちゃいました。いかんいかん」とつづり、100キロカロリーカードの菓子パンの欄には「×」と記載した。
こうして西川さんは最初の10日間を終え、朝食後の体重は1.3キロ減に、夕食後の体重は1.1キロ減になった。その後、試行錯誤を繰り返しながら、90日後には見事、目標体重の5%減に成功したそうだ。
「はらすまは、言い訳をしていいダイエット方法なんです。ダイエットに少し失敗したら、記録表に言い訳を書いて、ちょっぴり反省して、またダイエットに臨めばいいのです」(中川医師)
成功した人たちの中には、15年前のお気に入りのズボンがはけるようになったとの喜びの声も。記録表はスマホのアプリからも記入できるようになり、利便性が向上し継続しやすくなっている。
目指すのは、行動変容だという。「徐々に行動変容をしていけば、それはやがて習慣になる。習慣になれば、ダイエットは継続でき、気がつけばダイエットの勝者になれるのです」と中川医師は話している。