ダイエット失敗を予防する「仕掛け」
世の中には100も200種類もダイエット法があるが、一時的に成功してもすぐにリバウンドするなど失敗する人が後を絶たない。これに対し、日立製作所が“はらをスマートに”と社を挙げて取り組んでいる「はらすまダイエット」には、失敗を予防する仕掛けがなされている。
典型的な失敗例に、短期間で10キロとか、20キロやせたいと遠大な目標を立てるケースがあるが、成功率70%以上の「はらすまダイエット」は、無理な目標は立てない。
「目標を90日間で体重の5%を減らすことに置き、無理なく体重を落としていくのが特徴です」
科学的根拠に基づき、制度設計をした日立健康管理センタ長の中川徹医師はそう語る。
その実現のために体重60キロの人なら1日30グラム、体重90キロの人なら1日70グラムの減量を目指すというところからスタートする=表参照。
1日当たりの体重減の目安とするのが、はらすまの100キロカロリーのカードだ。体重が60キロの人なら、1日当たり2枚のカード(計200キロカロリー)で、90キロの人なら、5枚のカード(計500キロカロリー)を使ってカロリー減を目指していく方法だ。
「いろいろなカードを見てこれならカロリーを減らせるかもしれないという、あなたにフィットしたカードを選ぶ方法です」と中川医師。実例として間食のカードを見ていきたい。
100Kcalの「カード」を使ってカロリー減目指す
板チョコ(1枚390キロカロリー)なら、4分の1枚が、ポテトチップス(1袋471キロカロリー)なら、5分の1袋が100キロカロリー減になり、クッキー(1枚37キロカロリー)は、3枚を減らせば100キロカロリーの減となる。ドリンク類ではオレンジジュースは100ミリリットルを減らせば、缶コーヒーは286ミリリットル減らせば、それぞれ100キロカロリー減になる。
次に、運動のカードを見てみる。
普通歩行なら24分、ジョギングは10分、水泳は9分、エアロビクスは11分でそれぞれ100キロカロリーを燃焼できる。このほか、ゴルフの練習は36分、ジムなどにある自転車は24分と、100キロカロリーの燃焼に比較的時間がかかるものもある。
減らすのは難し、増やすのは安し。
ダイエット法で失敗する人は次のような例がある。小腹がすいて小倉パンを1つ食べると、304キロカロリー(はらすまカードの記載による)の摂取になり、3枚分のカードの努力は一気に吹っ飛ぶことになる。
このほか、ジムで汗を流した後、ビールや料理をたくさん摂取してしまう例がある。こうした事例にも、はらすまなら予防することが可能だという。
「たくさん運動したら、多めに飲み食いしても大丈夫だろうと高をくくるケースは、ありがちです。はらすまのカードをみれば、100キロカロリーを運動で減らそうとすると、それなりの運動量が必要であることが分かります」
この秋こそ、ダイエットを始めたいという人に中川医師は次のようにアドバイスする。
「はらすまダイエットなら、食べること、運動することとのカロリーのトレードオフがイメージできます。はらすまを続けていくと、そういう計算が頭に浮かぶようになり、暴飲暴食にも気をつけるようになっていきます」