近視進行で失明原因の眼病罹患5倍に増加
スマートフォンなどのブルーライトの画面を近くで凝視し、まばたき回数が減ると、ドライアイで角膜が凸凹になり、かすみ目などを後押しする。視力は衰えて眼鏡が手放せないだけでなく、目の病気のリスクも上がるので注意が必要だ。
「2050年までに世界人口の半数が近視になり、10人に1人が強度近視になるとオーストラリアの研究所が予測しています。近視が進行すると、緑内障や白内障、網膜剥離など失明原因となる眼病にかかる確率が5倍以上に上がります」
こう警鐘を鳴らすのは、「おおたけ眼科」(神奈川県)の綾木雅彦院長。慶應義塾大学医学部眼科学教室講師を兼務し、老眼(シルバービジョン)や抗加齢による眼の健康維持など、さまざまな研究を行っている。
「ドライアイも、老眼や緑内障との関係が深い。しかし、まばたきの方法や食生活を見直すことで、ドライアイの改善や眼病予防は可能です」
慶大の2019年発表の研究によれば、「食メニューや食器にバリエーションをもたせる」など、普通の生活環境を多種多様に豊かにすることで、涙の量が増加。「通勤方法や経路を変えてみる」といったことでもよいそうだ。また、米国の研究報告では、視神経に障害が起こる緑内障は、1日の運動量(歩数)が多く、安静時間が少ない方が進行しなかった。
目の老化予防が大切
「目の老化予防は大切です。眼精疲労によって目の老化が進むと、レンズの役割を果たす水晶体やそれを動かす毛様体、目のスクリーンの網膜、眼圧の調整などに不具合が生じると眼病につながるからです」
老化に抗うには食生活の見直しが欠かせない。バランスのよい食事内容や運動、睡眠、ストレス発散の趣味充実などいろいろある。
「目の老化予防では、サプリメントも役立ちます。(1)ルテイン、(2)アスタキサンチン、(3)レスベラトロールは、エビデンス(科学的根拠)があり、患者さんにもお勧めしています」
ルテインはホウレンソウなどに含まれる色素の一種で、網膜の中心・黄斑部に必要不可欠ともいうべき成分。ブルーライトを吸収して網膜を守り、人体に悪影響を及ぼす活性酸素から目を守る働きもある。アスタキサンチンも同様の作用が期待できる。また、赤ワインなどに含まれるレスベラトロールは、強い抗酸化作用があり、神経を守る作用もあるそうだ。
「眼精疲労によるかすみ目は、完全まばたきやアイシャワー、食生活の改善、サプリの活用で改善可能です。老眼予防や眼病予防にもつながります。ぜひ今日から目を守る生活を意識していいただきたいと思います」と綾木院長は話す。
覚えておこう! 目を守る生活習慣
- 0.5~1秒、まぶたをしっかり閉じる完全まばたきを意識する。目が疲れたときには2秒
- アイシャワーやまぶたクレンジング剤でまぶたの清潔を保つ
- 屋外で日の光を浴びる(日光のバイオレットライトが近視予防になる)
- デスクワークで近いところを20分見たら、20秒、約6メートル以上の遠くを見る
- ウオーキングなど運動量を増やし、安静時間をなるべく減らす
- 腹八分目を心がけ食べ過ぎない
※綾木雅彦著『視力防衛生活』(サンマーク出版)から