目(眼科) かすみ目の対処法

かすみ目の対処法(4)~物がゆがんで見えたら「中心性網膜症」の恐れ

かすみ目の対処法(4)~物がゆがんで見えたら「中心性網膜症」の恐れ
予防・健康
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ストレスから発症

パソコンやスマートフォンを常用していると、当然のことながら目を酷使する。文字が見えにくいかすみ目状態はもとより、「あれ? エクセル(表計算のソフト)の線がゆがんで見える…」といった症状が起こることがある。その原因のひとつが中心性網膜症だ。

「過度のストレスを抱えた働き盛りの人が発症しやすいのが、中心性網膜症です。仕事が忙しく悩み事を抱え、夜もよく眠れないような人は注意が必要です」

こう警鐘を鳴らすのは、「おおたけ眼科」(神奈川県)の綾木雅彦院長。約20万人の患者を治療し、中心性網膜症の患者も数多く救っている。

「中心性網膜症は、ストレスによる一時的な症状のことが多く、半年程度で治ります。ただし、失明につながる加齢黄斑変性へ移行してしまう人もいます」

網膜は目の奥にあるスクリーンともいうべき膜のこと。網膜の外側には、網膜に酸素や栄養を与える血管が張り巡らされた脈絡膜がある。強いストレスを受け続けると、網膜と脈絡膜の間にあるバリア機能が低下。脈絡膜の血管から漿液(しょうえき)という水分が網膜へ流れ込み、網膜が押し上げられて剥がれたようになる。これが、中心性網膜症だ。正式名称は、中心性漿液性脈絡網膜症(ちゅうしんせいしょうえきせいみゃくらくもうまくしょう)という。

ゆがむ、欠ける、視力低下…

「漿液によって網膜が剥離(はくり)すると、スクリーンがゆがめられた状態になるため視界に異常が現れます。物がゆがんで見えたり、中心部分だけが黒く見えたり、急に視力が低下したりするのです」

通院治療で多くの場合は半年程度で自然に治癒するが、中心性網膜症を何度も繰り返す人もいるという。再発が多いと、絡膜から異常な血管が網膜の方へ伸びてきて、加齢黄斑変性へ移行しやすい。異常な血管があることで、網膜にゆがみやひきつれが生じ、血管が破れて出血すると視界は失われる。

「加齢黄斑変性は、加齢に伴う網膜の萎縮でも起こります。①物がゆがんで見える、②中心が欠けてよく見えない、③急激な視力低下—これらの症状があれば、すぐに眼科を受診しましょう」

目の異常を自分で調べるときは、片目ずつ見え方をチェックするのがコツ。両目で見ると、健康な目が異常をカバーしてわかりづらいことがあるからだ。単なるかすみ目と思っていたら、中心性網膜症や加齢黄斑変性だったという話も珍しくないのでご用心。

「ストレスから逃れるのは難しいと思いますが、かすみ目の異常(別項)を感じたときも、早めに眼科を受診しましょう。重篤な病気のリスクを避けるためにも大切です」と綾木院長はアドバイスする。

綾木院長による「かすみ目異常チェック」

  • 1日中物がかすんで見える
  • 急にかすみ目が始まった
  • どんどん症状が悪くなっている
  • 片目に異常が見られる(中心性網膜症や加齢黄斑変性の疑い)
  • 両目に異常が見られる(白内障や緑内障の疑い)
解説
おおたけ眼科院長
綾木 雅彦
おおたけ眼科院長。慶應義塾大学医学部眼科学教室講師。医学博士。1982年慶應義塾大学医学部卒。ハーバード大学留学、昭和大学医学部眼科准教授などを経て現職。日本眼科学会専門医や日本抗加齢医学学会専門医、睡眠健康指導士などの資格を有し、ブルーライト研究の第一人者。
執筆者
医療ジャーナリスト
安達 純子
医療ジャーナリスト。医学ジャーナリスト協会会員。東京都生まれ。大手企業からフリーランスの記者に転身。人体の仕組みや病気は未だに解明されていないことが多く、医療や最先端研究などについて長年、取材・執筆活動を行っている。科学的根拠に基づく研究成果の取材をもとに、エイジングケアや健康寿命延伸に関する記事も数多く手掛けている。