認知症 治療・最新治療 検査 画期的新薬「レカネマブ」で認知症は治るのか

画期的新薬「レカネマブ」で認知症は治るのか(4)~早期発見のための最新検査を紹介

画期的新薬「レカネマブ」で認知症は治るのか(4)~早期発見のための最新検査を紹介
病気・治療
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不安になったら迷わず病院へ。どの科でも初期検査は同じ

年とともに認知症のリスクは増し、本人も家族も心配になります。とくに迷うのが、「もしかして」と思ったときです。どんな病気も早期発見が大事ですが、認知症もまったく同じ。とくに新薬「レカネマブ」=写真=が登場し、その効果が「前兆期」(MCI)、「初期」に限られているのなら、なおのことです。

相談者からよく聞かれるのは、何科に行けばいいか? いまは、「心療内科」から「認知症外来」「物忘れ外来」など、多種多様で迷うのも無理もありません。しかし、どこに行っても診断と治療はほぼ同じです。最近は高齢社会を反映して認知症を専門に診る医療機関も増えています。いまはどこの駅近にも精神科があり、大病院なら専門科目がいくつも置かれています。

ともかく、迷わずに診察に行くこと。迷っている間に病状は進みます。変だと思ったら、かかりつけ医に、かりつけ医がいない場合は地域包括支援センターなどに相談すべきです。地域包括支援センターとは、高齢者の生活に関わる総合相談窓口です。もちろん、精神科や心療内科を受診するのが第一です。

病院に行くとまず問診(面談)があり、次に身体検査があり、最後に認知症検査があります。認知症検査は「神経心理学的検査」と「脳画像検査」に分かれます。「神経心理学的検査」は、医師や心理士からの設問に答えていくもので、代表的なのは、「長谷川式認知症スケール」(HDS—R)でしょう。知能評価テストで、30点満点で20点以下だと認知症の疑いがあるとされます。

アミロイドベータの検査は時間と費用が問題

脳画像検査では、CTやMRIで、脳に萎縮や病変があるかどうか調べます。さらに「SPECT」という検査があり、これは脳の血流を微量の放射線を出す検査薬を使って調べ、集積する部位を発見し画像化します。

認知症と判定されたら治療に入るわけですが、治療といっても、医療としては「ドネペジル」(商品名アリセプト)など4種類の認知症治療薬(対症療法薬)の服用ぐらいしかありませんでした。いずれも症状を一定期間「柔らげる」効果があるとされますが、進行そのものは「抑制」はできません。

そんななか、レカネマブがMCIと初期に一定の効果があると承認されました。そこで、注目されるのが、アミロイドベータ(Aβ)のPET検査です。Aβはアルツハイマー型認知症の原因物質とされ、長期間にわたり脳に蓄積されて認知症を引き起こします。PET検査はAβの量を測定します。保険の適用外のため、限られた施設でしか行っておらず、費用は30万~60万円かかります。

Aβを調べてMCIかどうかを判定する検査は、ほかにも「MCIスクリーニング検査」と「APOE遺伝子検査」があります。「MCIスクリーニング検査」はAβの毒性を弱める機能を持つ血液中の3つのタンパク質の検査、「APOE遺伝子検査」はAβの蓄積に関わるAPOE遺伝子のタイプを判定する検査です。どちらも採血による血液検査ですが、保険適用外で2万~2万5000円かかります。

これらの検査から将来、自分が認知症になるかどうかのリスクがわかります。MCIと判定されても、全員が認知症になるわけではありません。認知症への移行率は1年で約10%、5年で約50%、30%は健常に戻る可能性があるという研究報告もあります。いずれにしても、早期検査で自身の状態を知っておくことは大切です。

解説・執筆者
明陵クリニック院長
吉竹 弘行
1995年、藤田保健衛生大学(現・藤田医科大学)卒業後、浜松医科大学精神科などを経て、明陵クリニック院長(神奈川県大和市)。著書に『「うつ」と平常の境目』(青春新書)。