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困った便秘対処法(3)~ストレス+加齢で腸に異常、便秘に

困った便秘対処法(3)~ストレス+加齢で腸に異常、便秘に
予防・健康
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ストレスが腸の動きを異常にする

高齢になるにつれて便秘に悩む人が増える。腸などの病気以外に、加齢に伴い腸や肛門の動きが悪くなり、ストレスの影響も受けて便秘になりやすくなるという。

「腸と脳は密接な関係を持っていて、それを脳腸相関といいます。脳がストレスを感じると自律神経を介して腸の動きが異常になるのです」

こう説明するのは、「鳥居内科クリニック」(東京都世田谷区)の鳥居明院長。ストレスによる便秘など排便障害の患者を数多く診ている。

「ストレスによって、便意を感じにくくなったり、過敏に感じやすくなることもあります。中でも、ストレスと関係が深いのは『過敏性腸症候群』による便秘です」

過敏性腸症候群(IBS)は、腹痛と腹部不快感を伴う便通異常(下痢や便秘)を月に2回以上繰り返すのが特徴。国内では人口の10~20%、1200万~2400万人が発症していると推計さる。IBSの診断・治療の第一人者でもある鳥居院長が解説する。

「IBSは大腸における痛みを感じやすい内臓知覚過敏と、腸管運動異常が原因です。働き盛りの男性は、IBSで下痢の症状を起こすことが多いのですが、加齢に伴い便秘になりやすいのです」

緊張や生活のリズム乱れで腸が悪化

たとえば、プレゼンテーションを行う会議になると、急に腹痛が起きてトイレに行きたくなるのは、典型的なパターン。プレゼンのストレスで腸の動きが異常となり、痛みを伴う下痢を引き起こす。次のプレゼンでも、「またなったらどうしよう」と思うと、さらにストレスを感じて症状につながり、IBSは悪化する。

一方、定年退職後に自宅で過ごすことが多くなるなど、生活のリズムが乱れると生体リズム(サーカディアンリズム)も乱れ、自律神経の働きにも悪影響を及ぼすため、腸の働きも悪くなりやすい。加えて、妻から「家でゴロゴロしていないでよ」などといわれて強いストレスを感じてIBSを発症すると、さらに腸の動きが悪くなり便秘につながるのだ。

「IBSは、下痢、便秘、混合型があり、主な症状が下痢だった人が定年退職後に便秘がひどくなることもあります。ストレスはよくないのです」

ストレスを抱える人は急増している。厚生労働省の2022年「労働安全衛生調査」によれば、「現在の仕事や職業生活に関することで、強い不安、悩み、ストレスとなっていると感じる事柄がある」人の割合は82.2%。前年の同調査が53.3%だったので、職場でのストレスを抱えた人は増えている。

「ストレス発散が難しい人もいると思いますが、まずは1日3食の規則正しい食生活を心がけましょう。便秘型のIBSの人は、便秘改善のための食物繊維をとることを意識しましょう」とアドバイスする。

食物繊維を含んでいる食材

【水溶性食物繊維】
大腸内部に水分をとどめて便通をよくする。主な食材は、コンブ、ワカメ、モズク、オクラ、ヒジキ、コンニャクなど

【不溶性食物繊維】
腸管を刺激する効果が期待できる。主な食材はゴボウ、キャベツ、ニンジン、キノコ類、大根など

※鳥居明監修『図解よくわかり 過敏性腸症候群で悩まない本』(日東書院本社)から

解説
鳥居内科クリニック院長
鳥居 明
鳥居内科クリニック院長。医学博士。東京慈恵会医科大学医学部卒。同大助教授などを経て現職。日本消化器病学会専門医、日本消化器内視鏡学会専門医などの資格を有し、日本消化器病学会評議員などの役員も歴任。
執筆者
医療ジャーナリスト
安達 純子
医療ジャーナリスト。医学ジャーナリスト協会会員。東京都生まれ。大手企業からフリーランスの記者に転身。人体の仕組みや病気は未だに解明されていないことが多く、医療や最先端研究などについて長年、取材・執筆活動を行っている。科学的根拠に基づく研究成果の取材をもとに、エイジングケアや健康寿命延伸に関する記事も数多く手掛けている。