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気圧頭痛にもう悩まされない!五苓散でむくみ知らずに

気圧頭痛にもう悩まされない!五苓散でむくみ知らずに
予防・健康
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「低気圧になると頭痛がする」「頭痛もむくみも気になる」
このような悩みはありませんか?

気圧頭痛の要因のひとつである「水滞(すいたい)」には、「五苓散(ごれいさん)」という漢方薬が昔から用いられてきました。

しかし、漢方薬は体質に合ったものを使用しなければ、効果を発揮できません。

本記事では、五苓散がどのような人に向いているのか、漢方薬の特徴や副作用、注意点について解説します。

五苓散とは?

五苓散は、天気性頭痛に用いられる代表的な漢方薬です。余分な水分を取り除いて体内の水分バランスを整える生薬がたくさん配合されています。

漢方では、体質や病状の診断に「証」が用いられており、五苓散は虚証(きょしょう)・虚実間証(きょじつかんしょう)の人に使用されます。

虚証とは、体力がなく病状への抵抗力が弱い体質をいい、虚実間証は、虚証と体力がある実証(じっしょう)の中間にあたる体質をいいます。

生薬一覧


沢瀉(たくしゃ)
利尿、法湿作用があり、水分の代謝を促しむくみを取り除く。

猪苓(ちょれい)
消炎、利尿作用があり、下腹部の炎症やむくみに用いる。

蒼朮(そうじゅつ)
健胃、鎮痛、利尿、法湿薬として、関節部や体内の水分を取り除く。

茯苓(ぶくりょう)
利尿、法湿、止瀉、鎮静作用があり、気と水の平衡が破れて起こる胃部不快感、めまい、不安、むくみなどさまざまな疾患に用いる。

桂皮(けいひ)
順気、法寒、健胃、駆風、解熱、鎮痛、去痰作用があり、悪寒悪風や関節の痛み、血行障害、のぼせなどに用いる。

五苓散は幅広い症状に適している

五苓散は、水分の循環をよくすることで余分な水分を取り除く「沢瀉」「猪苓」「蒼朮」「茯苓」が配合された漢方薬です。そのため、のどが渇いて尿量が少なく、グルグル回るような回転性めまいなどのある人のむくみ、頭痛、下痢などに用いられています。

西洋医学的な基礎研究では、利尿作用、消化器管運動の亢進作用、アルコール代謝改善作用などが報告されているため、下記の症状にも使用されるケースがあります。

  • 急性胃腸炎
  • 暑気あたり
  • 二日酔いなどの吐き気・むかつきや頭痛
  • 妊婦のむくみ
  • 子どもの下痢や嘔吐

上記のような症状にアプローチするだけでなく、体質を改善する効果も期待できます。また、水分代謝をあげるため余分な水分や老廃物がたまりにくくなり、気圧頭痛やむくみなどを起こしにくくしてくれます。

飲むだけで症状と水分がたまりやすい体質の改善が期待できるので、手軽に気圧頭痛対策できるのが五苓散の魅力です。

五苓散の副作用と注意点

五苓散は、服用後、次のような副作用があらわれることがあります。

副作用

  • 発疹・発赤
  • かゆみ
  • 胃の不快感
  • 食欲不振
  • 軽い吐き気
  • 肝機能異常

上記の症状がみられる場合は服用を中止し、医師や薬剤師、登録販売者に相談してください。肝機能異常を起こした場合は、全身の倦怠感、食欲の低下、吐き気、黄だん、皮膚のかゆみ、むくみ、腹水などがあらわれます。

注意点

生後3カ月未満の乳児は、現在の症状悪化や副作用のリスクを高めるため服用しないでください。

また、1カ月ほど服用しても症状がよくならない場合は、体質にあっていない可能性があるため、服用を中止して医師や薬剤師に相談しましょう。

期限が切れた漢方薬も、変質している恐れがあるため、服用せず破棄してください。

相談すべき人

  • 医師の治療を受けている人
  • 妊婦または妊娠していると思われる人
  • 今まで薬などにより発疹・発赤、かゆみなどを起こしたことがある人

上記に該当する人は、服用する前に医師や薬剤師、登録販売者に相談してください。

漢方薬は専門家に相談するのがベスト

ドラッグストアや通販サイトでも五苓散は販売されており、手軽に手に入ります。しかし、漢方薬は体質にあったものを使用しないと、副作用を起こしたり効果を感じられなかったりするため、プロに相談するのが安心です。

医師や薬剤師の監修とAI技術を用いて、スマホひとつで簡単に体質に合った漢方薬を提案してもらえる「あんしん漢方」というオンラインサービスもあります。処方された漢方薬は自宅に直接届き、利便性の高さも魅力です。

五苓散で水分バランスを整えて元気にすごそう

五苓散は、体内の水分を整え、頭痛をはじめとする気圧の体調不良や二日酔い症状、下痢などを解消する漢方薬です。

幅広い体質の人に用いられる漢方薬ですが、体質に合わない場合、副作用を起こすリスクもあるため、自己判断ではなくプロに相談したほうが安心です。

漢方薬をうまく取り入れ、元気に過ごしましょう。

解説・執筆者
あんしん漢方薬剤師
碇 純子
薬剤師。漢方薬生薬認定薬剤師 。理学博士、薬学修士。神戸薬科大学大学院薬学研究科、大阪大学大学院生命機能研究科修了。漢方薬の作用機序を科学的に解明するため、大阪大学で博士研究員として従事。現在は細胞生物学と漢方薬の知識と経験を活かして、漢方薬製剤の研究開発を行う。