めまい、耳の不調をセルフケア
めまいや耳の不調で、耳鼻咽喉科や脳神経外科を受診する人は多いだろう。だが、長く通院しているのになかなか改善しない—と悩む人も少なくない。そんな患者を受入れ、東洋医学の力で改善に導く鍼灸師が、耳の不調改善のためのセルフケアを解説したのが、『めまい・耳鳴り・難聴を解消! 首ゆる体操』(コスミック出版刊、1430円)。著者は、群馬県伊勢崎市で鍼灸院を運営する藤田勇氏=写真=だ。

まず、「セルフチェック」(別項)を試してほしい。1つでも当てはまれば「めまい」「耳鳴り」「難聴」のいずれかに該当する可能性があるという。
毎月400人を超える患者を診る著者は、中国で東洋医学を学び、めまい、耳鳴り、難聴の多くが、気(神経に近いもの)、血(血液)、水(リンパ液など)の流れが滞ることで起きていることに気付いたという。
この滞留を著者は「首のつまり」と名付け、解消する方法を確立。それが本書で解説する「1日5分のセルフケア」だ。
迷走神経セルフケアの方法
症状に応じて10のセルフケアが紹介されているが、いずれも場所や時間を選ばない。たとえば、「迷走神経セルフケア」はこうだ。
- イスに座る
- 親指とそれ以外の4本の指で耳を挟む
- このとき親指は「耳の後ろのくぼみ」あたり(完骨)に置く
- 息を吸いながらおなかを膨らませる(腹式呼吸)
- 指全体で頭を上に押し上げる
- 息を吐きながら力を抜き、指で頭を元の位置に戻す
これを5回繰り返すだけ。親指に力を入れ「強めにしっかり押し上げる」のがコツだという。
「このセルフケアを続けることで、つらい症状から解放された患者さんがたくさんいます。簡単にできて、思いついたときに手軽に続けるところが最大の売りです」と著者。文章とイラストだけでなく、重要な部分はQRコードで動画による解説を見られるので、「誤ったエクササイズ」を防ぐこともできる。
「このセルフケアは、10年の歳月をかけて確立しました。不調を感じやすいけれど、忙しさを理由にケアができないでいた働き盛りの方には、特にお役に立つ内容だと思います」と著者。
使うのは「自分の体」だけ。何かを買ってきたり、用意する必要もないので、試してみてはどうだろう。
耳の不調セルフチェック
【めまい】
- ぐるぐると目が回って気持ちが悪くなる
- ふわふわと雲の上を歩いているような感じがする
- 頭を動かすとフワッとする
- パソコン作業や自動車の運転中に頭がボーっとすることがある
- いつまた「めまい」が起きるかと不安になる
【耳鳴り】
- 「キーン」という高い音が聞こえてイライラする
- セミの鳴くような音が聞こえ、周囲の話し声が聞きづらい
- 夜間に「キーン」という音が気になって眠れない
- 「ブーン」というモーター音のような音が慢性的に続いている
【難聴】
- 低音の声の人の話が聞きづらくて仕事に支障が出る
- 音が響いて聞こえる
- 耳に水が入っているような感覚がある
- 鉄パイプを通して聞いているような「音割れ」が生じる
- ※1つでも該当なら、めまい、耳鳴り、難聴の危険性大