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夜間頻尿治療でアンチエイジング(1)~排尿障害を「年のせい」で済ませてはいけない

夜間頻尿治療でアンチエイジング(1)~排尿障害を「年のせい」で済ませてはいけない
病気・治療
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夜間頻尿の患者は約4500万人!

今年7月、東京・代官山に排尿障害とエイジングケアに特化したクリニックを開院した院長の斎藤恵介です。順天堂大学附属病院で治療・手術も行っています。これから5回にわたって、排尿障害とエイジング、そして男性にとって最も大切なホルモンであるテストステロンと排尿の関連について解説します。

国内では夜間頻尿の患者さんが約4500万人もいるとの報告ですが、「年のせい」と放置している人が少なくありません。しかし、その裏には重大な病気が隠れている可能性があります。男性の場合、頻尿に関わる病気の代表格は前立腺肥大症です。

前立腺はくるみ大の生殖器で膀胱の下、尿道を囲むように位置しています。この前立腺内部の内腺が40代後半以降、食生活や男性ホルモンのアンドロゲンなどの影響で増殖し肥大していくのが前立腺肥大症です。

大きくなった前立腺が尿道を塞ぐため、膀胱にたまった尿がスムーズに排出されなくなり、残尿感や頻尿などの症状を引き起こします。その結果、夜中に何度も目を覚ますようなことが起こります。

それでも、多くの人が医療機関を受診しないのは、排尿障害を「恥ずかしい」とか「泌尿器科を受診しづらい」ためかもしれません。しかし、前立腺肥大症の治療法の選択や、その背景にある膀胱の力を知ることは、とても重要です。

夜間頻尿、排尿障害は治療できる

排尿障害は、適切な治療を施せば改善が期待できます。私はこれまで前立腺肥大症のレーザー治療「経尿道的前立腺肥大症レーザー核出術(HoLEP)」を含めた排尿障害手術を約1000件行っています。HoLEPは、肥大した前立腺をレーザーメスでくり抜いて根治する治療法です。

初診で来られた患者さんは、残尿感や夜間頻尿に悩まされ、暗い表情をしている人が少なくありません。ところが、前立腺肥大症の外科的な治療を行うと、表情が満面の笑みに変わり私に握手を求めてくる人が多いのです。私は当初、排尿障害が改善した喜びはそれほど大きいのかと思っていましたが、それだけではなかったのです。

治療後の患者さんは膀胱の尿をためる力が改善しただけでなく、男性ホルモンのテストステロン値が上がり、勃起力が強くなっていました。つまり、男性力が上がって若返っていたのです。これはご本人にしかわからないことなので、思わず笑みがこぼれたのでしょう。

排尿障害を「年のせい」と放置しないでください。あきらめないでください。適切な治療は、テストステロンを正常に導き、アンチエイジングにも役立つことを知っていただきたいと思います。

監修・堀江重郎

斎藤恵介先生は世界で初めて、前立腺肥大症の手術がテストステロンを高めて、アンチエイジングにつながることを報告しました。この効果は前立腺肥大症に対する薬の治療では見られません。排尿で夜中に目が覚める、尿の出が悪い、トイレが間に合わないといった症状は排尿だけの問題でなく、老化にもつながります。早い治療がアンチエイジングになります。
 

解説
uMIST東京代官山院長、泌尿器外科医師
斎藤 恵介
「泌尿器・日帰り手術クリニック uMIST東京代官山-aging care plus-」(東京都渋谷区猿楽町)院長。帝京大学医学部附属病院講師、順天堂大学医学部附属順天堂医院泌尿器科准教授などを経て2023年7月から現職。順天堂医院泌尿器科講師兼任。
監修者
順天堂大学大学院教授(泌尿器外科学)
堀江 重郎
順天堂大学大学院教授(泌尿器外科学)。日本メンズヘルス医学会理事長。日本抗加齢医学会理事。東京大学医学部卒。日米の医師免許を持ち、がん治療から男性医療まで臨床経験も豊富。近著は『LOH症候群』(角川新書)。