冷え 夏バテ 熱中症 猛暑を乗り切る食薬習慣

猛暑を乗り切る食薬習慣(4)~内臓の「冷え」と「疲れ」をとるための食べ方

猛暑を乗り切る食薬習慣(4)~内臓の「冷え」と「疲れ」をとるための食べ方
予防・健康
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ここ最近の夏の暑さは年々、強烈になってきましたよね。以前は、春から夏へと移行する過程で徐々に体を慣らしていけるような、なだらかな気候の変化でした。それが、近年はエアコンなしでは暑くて具合が悪くなってしまうほどです。

公共交通機関や商業施設、オフィスなどのエアコンは、基本的に低めの設定温度です。暑い日ほど、室内の冷え込みは強く感じ、長く居ると、何かを羽織らなければ体が冷え、血流が悪くなりがちです。肩こりや内臓の働きの低下などの不調を感じ、喉の不調を訴える人も出てきます。加えて、冷たいものを食べる頻度も増え、内臓を“冷え”が直撃します。

外の暑さに反して、私たちが多くの時間を過ごすのは、とても冷えた室内の環境下です。現在では夏の紫外線、暑さ対策に加え、エアコン対策をとる必要性が出てきました。気の向くままに生活していると、自律神経を乱したり、お腹が冷えることにより、胃腸が弱って夏の不調をより強く感じることもあるようです。

ということで、今回は胃腸の不調を整えて夏バテを軽減する食薬習慣について紹介します。

夏は“冷え”で自律神経を乱す

私たちは、服装や食事を選ぶときには、外界の環境に合わせてチョイスする傾向があります。そのため、冷えた環境下に長くいるのに、外と中から冷やすような行動をとってしまうことが多いのです。これでは、内臓が冷え、食欲がなく、お腹は張り、だるさを強く感じることになります。

さらに、室内と屋外の寒暖差で自律神経は乱され、体の土台を強化するために必要な胃腸機能、睡眠の質、ストレス耐性などが一気に低下してゆきます。室内ではジャケットやカーディガンを羽織るなどの“防寒対策”を適宜とるようにしておくことも大切です。

内臓疲れを整え夏バテを軽減する食薬習慣

夏バテ気味だからと、スタミナたっぷりの食事をとったとしても、胃腸の調子が悪ければ栄養の消化吸収能力が低く、スタミナ食も本来の力を発揮できません。

特に、この時期は偏食、寝不足、飲酒が常習化している人も増え始めます。それによって胃腸に加え、肝臓までもが疲れてしまうことがあります。そうすると、油の消化吸収に関わる胆汁の生成が少なくなり、食欲不振や脂溶性ビタミン、CoQ10やオメガ3脂肪酸などの脂溶性の栄養素の吸収にも影響するため、疲れやすい人は生活スタイルにも要注意です。

まず、胃腸からお腹を温めるショウガやブラックペッパーを入れたみそ汁を飲む習慣をつけてはどうでしょうか。

また、胃腸の働きを整えるには、大根おろしや長芋とろろを。胆汁の分泌を促すモズクやオクラなど水溶性食物繊維が豊富な小鉢を食べるのもいいでしょう。肝臓の働きを助けるには、グルタチオン(グルタミン酸、システイン、グリシンの3つのアミノ酸が連なったペプチド=化合物)を含むアボカドやキウイをサラダやおやつに取り入れてみましょう。

内臓からの疲れを緩和するのが、夏バテ対策のコツです。

解説・執筆者
薬剤師、国際中医師
大久保 愛
食薬の第一人者、薬剤師、漢方カウンセラー、国際中医師、日本初の国際中医美容師、薬膳料理研究家、作家、アイカ製薬代表取締役。未病を治す専門家としてAI漢方・食薬相談システム『CrowdSalon』開発や『食薬アドバイザー』資格養成、商品開発、企業コンサルティングなどに携わる。著書『心がバテない食薬習慣』は発売1カ月で7万部突破のベストセラーに。著書多数。https://crowdsalon.com/。