糖尿病 生活習慣病 睡眠・不眠 猛暑を乗り切る食薬習慣

猛暑を乗り切る食薬習慣(2)~安眠対策には糖質を避け、アミノ酸摂取を

猛暑を乗り切る食薬習慣(2)~安眠対策には糖質を避け、アミノ酸摂取を
予防・健康
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最近では、「暑いですね」があいさつのように交わされていますね。わかっていても口に出さずにいられないほどで、室内に入るとエアコンのひんやりとした空気に癒やされます。ですが、長時間室内にいて体が冷えると、外に出たとき一瞬、体が温まることに安堵(あんど)したり、と体調を崩しやすい寒暖差に日々さらされています。

とくに難しいのが夜間の温度管理です。寝つきが悪くなったり、夜中に何度も起きてしまったりという方は多いと思います。ただでさえ、夏の環境は自律神経を乱す要因が複数存在してしまいます。睡眠環境も大事ですが、日常の過ごし方の結果として睡眠の質にも影響してくるものです。そこで、今回は安眠対策に役立つ食薬習慣を紹介したいと思います。

暑苦しさに加え夜間低血糖での寝苦しさ

私たちは、日中は食事によって血糖値が低下しないようにコントロールされていますが、食事をしていない夜遅い時間には、自身のホルモンによって血糖値が下がらないように維持しなければなりません。

睡眠時の血糖維持に使われるホルモンには、成長ホルモンとコルチゾールがあります。深い眠りについているときには成長ホルモンが分泌され、目を覚ますときやストレスが多い時にはコルチゾールが分泌される仕組みになっています。

夜更かしやストレスが日常となっている人は、このコルチゾールの分泌リズムが乱れてしまっていることがあります。夜遅くまでSNSや動画などを見て起きていると、血糖値を上げるために何か食べたくなることがあります。

その結果、何か軽くつまみながらビールやワインなどを飲んで就寝し、2時、3時に目を覚ましてしまう—なんてことになりかねません。こうした睡眠直前の行動により、寝ている間に低血糖状態になってしまうと血糖値を上げようとアドレナリンやコルチゾールが一気に分泌され、睡眠時でも交感神経が優位になり目を覚ましてしまうことがあります。

それ以外の症状として、睡眠時に寝汗、歯ぎしり、悪夢、体の緊張やこわばりなどの不調を感じてしまうことがあります。また、起きているときにも朝の食欲や唾液分泌の低下、頭痛や肩こり、だるさ、感情のコントロールの不調、夕方の集中力の低下といった煩わしい不調を感じることがあります。

糖質の多い夜食、アルコール摂取は夜間低血糖を起こすことがあることを覚えておきましょう。睡眠の質が低下している人は要注意ですよ。

睡眠のリズムを整える食薬習慣

睡眠に問題がある人は、夕食にパスタやうどん、ラーメン、焼きそばなどの精製された糖質をがっつり食べてしまうと、血糖コントロールが難しくなるので控えるのがベターです。

一方、睡眠の質を高めるためには、健康維持に欠かせないアミノ酸のひとつセリンを含む豆腐やかつお節、海苔、睡眠に関わるアミノ酸のグリシンを含む落花生、エビ、牛すじ、鶏軟骨を。また、アミノ酸の一種のGABA(ギャバ)を含むトマト、納豆、ぬか漬けなどもおすすめです。

エアコンを効果的に使って暑さをしのぎながら、紫外線やストレスを避け、食薬を取り入れて少しでも睡眠の質が向上できるように心がけたいですね。
 

解説・執筆者
薬剤師、国際中医師
大久保 愛
食薬の第一人者、薬剤師、漢方カウンセラー、国際中医師、日本初の国際中医美容師、薬膳料理研究家、作家、アイカ製薬代表取締役。未病を治す専門家としてAI漢方・食薬相談システム『CrowdSalon』開発や『食薬アドバイザー』資格養成、商品開発、企業コンサルティングなどに携わる。著書『心がバテない食薬習慣』は発売1カ月で7万部突破のベストセラーに。著書多数。https://crowdsalon.com/。