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身長が縮んだら…骨粗鬆症アラート(5)~骨の強度低下は予防できる

身長が縮んだら…骨粗鬆症アラート(5)~骨の強度低下は予防できる
病気・治療
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加齢と骨の健康リスク

加齢に伴い骨は弱くなっていく。加えて、閉経前後の女性ホルモン(エストロゲン)の減少、ステロイド剤など服用している薬の副作用、糖尿病などの病気によっても、骨はもろくなってゆく。

「糖尿病の場合は骨密度が正常域でも、骨質が悪くなって脊椎椎体骨折(背骨の圧迫骨折)や大腿骨頚部骨折(だいたいこつけいぶこっせつ=太ももの付け根・股関節の骨折)のリスクが高くなります」

こう説明するのは、NTT東日本関東病院整形外科の山田高嗣部長。骨粗鬆(そしょう)症の患者を数多く診ると同時に、同病院の脊椎脊髄病センター長を兼務。背骨の圧迫骨折や、背骨が後側方に曲がる脊柱後側弯症(せきちゅうこうそくわんしょう)の治療を得意としている。

「加齢によって骨の強度が低下することは、誰も避けることができないと考えてください。その中でも、もともと若い頃の骨の密度や質、食生活、運動習慣、薬の服用や病気によって、早く骨がもろくなる人がいるのです。『まだ若いから安心』と思わないようにしましょう」

骨がもろくなる骨粗鬆症の有病率は60代以降に増える。40代や50代は「まだ安心」と言いたいところだが、すでに加齢に伴う骨強度の低下が始まっている場合があるという。若い頃からダイエットを繰り返す、あるいは、運動習慣の乏しい人などは、もともと骨の強度が弱い可能性がある。

もともと骨がもろい状態から加齢にともなう変化が始まると、もともと骨が丈夫な人よりも当然、骨粗鬆症のリスクは上がる。食生活の乱れで2型糖尿病になっていると、さらに骨質は悪く、骨折のリスクが上がる。

骨粗鬆症の予防と対策

「しっかり食べて、毎日身体を動かすことが重要になります。可能であれば、1日30分程度は歩きましょう。自転車よりも、地面にきちんと足をつけることが、骨を強化するために必要です」

早朝や夕方、真夏でも涼しさを感じられる時間帯に水分補給をしながら歩く。通勤では1駅手前の駅で降りて歩くのも、山田医師お勧めの方法のひとつだ。だが、膝痛を抱えたり、すでに腰痛持ちだったりすると、歩くのがつらいことがある。どうすればよいのか。

「膝痛や腰痛を抱えている方で、整形外科をすでに受診している方は、主治医の指導に従ってください。まだ整形外科を受診していない人は、受診することが大切です」

たかが腰痛と思っていたら、骨粗鬆症による脊椎椎体骨折の痛みだったということもある。腰痛を侮ってはいけない。

「整形外科で骨粗鬆症と診断された方は、食生活や運動習慣の見直しをしっかり行い、骨粗鬆症の治療薬も活用し、骨折予防に励んでいただきたいと思います。それが健康長寿の秘訣にもなります」

運動や食生活を見直して、今から骨の強化(別項参照)に取り組もう。

山田医師お勧めの骨の強化法

  • 毎日の運動を習慣化する
  • 基本は1日30分程度の速歩(息が少し上げるくらいの速歩が理想/ただし無理はしない)
  • 会社帰りなどに1駅前で降りて家まで歩く
  • 早朝に駅まで歩いて日光浴(1日20分)を兼ねるのもよい
  • 乳製品や小松菜などカルシウムの多い食材を取り入れる
  • 日光浴、魚類・キノコ類の食材など、カルシウムの吸収を助けるビタミンDを意識する
  • 腰痛や膝痛が続くようなら、早めに整形外科を受診する
  • 骨粗鬆症も適切な治療を受けるように心がける
解説
NTT東日本関東病院整形外科部長
山田 高嗣
NTT東日本関東病院整形外科部長・脊椎脊髄病センター長。1994年、東京大学医学部卒。東京大学医学部附属病院や武蔵野赤十字病院などを経て現職。日本脊椎脊髄病学会認定脊椎脊髄外科専門医などを有し、脊椎脊髄の病気の診断・治療を数多く行う。
執筆者
医療ジャーナリスト
安達 純子
医療ジャーナリスト。医学ジャーナリスト協会会員。東京都生まれ。大手企業からフリーランスの記者に転身。人体の仕組みや病気は未だに解明されていないことが多く、医療や最先端研究などについて長年、取材・執筆活動を行っている。科学的根拠に基づく研究成果の取材をもとに、エイジングケアや健康寿命延伸に関する記事も数多く手掛けている。