その他の病気 老化・介護 老化は治る

老化は治る(2)~加齢と老化は違う、老化は治療可能!?

老化は治る(2)~加齢と老化は違う、老化は治療可能!?
予防・健康
文字サイズ

遺伝子異常で加速する老化

そもそも「老化」とは、いったいどのような現象なのだろうか。銀座アイグラッドクリニックの乾雅人院長は、「『加齢』≒『老化』だった状況が、『加齢』≠『老化』の文脈に変わったことを、まず意識してください」と言う。

「これまで両者は混同して認識されがちでした。しかし、老化の本質が分かり、老化を治療できる世界観が提唱されたことで、区別をする必要が出てきたんです」

加齢と老化の区別とはどういうことなのだろうか。

「加齢とは、一定方向に一定速度で進むものです。対応する暦年齢は、生年月日と現在の日付だけで決まります。英語表現も『エイジング(aging)』であり、老化に相当する『セネッセンス(senescence)』とは、そもそも違う概念です。みなさんは日常生活の中で、肌年齢や血管年齢、筋肉、髪質、体内組成など、努力によって若返ったと実感することがあるかと思います。この生物学的年齢ともいうべきものは、加速したり、巻き戻ったりしていることは、伝わりやすいのではないでしょうか」

早期老化症「ウェルナー症候群」とは

ウェルナー症候群の女性患者。15歳(左)から48歳(右)で急速に老化が進んでいる(出展・ワシントン大学)

 

老化と加齢の違いについて乾院長は、実年齢に比べ、白髪や脱毛、白内障などの現象が起こりやすい病気「早期老化症」を例にあげ解説する。

「ウェルナー症候群という、早期老化症という難病が知られています。原因はウェルナー遺伝子の異常であり、この遺伝子異常によって、老化が加速する病気として知られています。不妊治療の際に耳にするダウン症候群も、早期老化症の一種です。従来は、原因が不明で、老化が加速した結果、症状として呈する老年症候群(白内障や高血圧、糖尿病など)に対する対症療法ばかりが行われてきました」

「しかしながら、根本原因が遺伝子の異常であるならば、その遺伝子異常を治療することで、老化そのものを治療することが可能と考えるのは自然なことです。ゲノム解析というテクノロジーが発達したことで、老化という病のメカニズムが分かってきました。今、まさに、老化という病の治療法が模索されている真っただ中なのです」

WHOが作成する国際疾病分類(ICD—11)の2019年改訂版がある。

「そこに『老化は治療対象である』という概念が盛り込まれたことが大きなインパクトでした。『XT9T』という行政コードが制定され、その意味は『老化に関連した』という意味合いです。一般的な保険診療の現場でも、数年後には、この行政コードが使用されることが予想されます」

老化は病気として治療するもの。そういう時代が訪れている。


(取材・太田サトル)

解説
美容皮膚科・内科医
乾 雅人
東京大学医学部卒。同大学大学院で移植肺慢性期管理を研究。2016年に医療コンサルティング会社を設立、20年「自然美の追求」に特化した美容皮膚科、銀座アイグラッドクリニックを開業。「細胞の活性化」を切り口に幹細胞治療や老化薬を検証する。最新刊に『21世紀の新常識「老化は治る。」新型ビタミンが世界を救う!!』(健療出版)。
執筆者
ライター
太田 サトル
ライター、編集、インタビュアー。週刊誌でのライター活動を学生時代にスタート。現在はウェブや雑誌などで健康、文化、エンターテインメント記事やインタビューなどを主に執筆。