「のどの調子が悪い」
「咳が何日も続いている」
このようなお悩みはありませんか?
痛みやイガイガ、咳といったのどの不調には古くから「麦門冬湯(ばくもんどうとう)」という漢方薬が用いられてきました。
ただ、漢方薬は体質に合わないと副作用を起こしやすくしたり、効果を得られなかったりする可能性があるため、ご自身に合うかどうかをしっかりと判断する必要があります。
本記事では、麦門冬湯がどのような漢方薬なのか、特徴や副作用について解説します。
麦門冬湯とは?
漢方では体質や病状の診断に「証」が用いられ、麦門冬湯は次のような方に適しています。
- 体質:虚証
- からだの状態・病状:熱証
虚証とは、体力がなく、病状への抵抗力が弱いことを指しています。熱証は、からだにのぼせの症状が見られたり、熱く感じやすかったりする状態です。
麦門冬湯には痰を取り除く生薬や滋養強壮の働きがある生薬、咳を落ち着かせる生薬などがたくさん配合されています。また最近では、高血圧や慢性腎臓病の治療薬の副作用による乾いた咳を落ち着かせるために用いられることがあります。
生薬一覧
麦門冬(ばくもんどう)
滋養強壮、鎮咳、去痰、止渇、利尿作用があり、身体を潤す働きがある。
半夏(はんげ)
鎮咳、去痰、鎮吐作用があり、胃内の水分停滞が原因と思われる諸症状に用いる。
大棗(たいそう)
滋養強壮作用があり、筋肉や身体の緊張を緩める。
甘草(かんぞう)
緩和、緩解鎮痙、去痰作用があり、矯味薬(苦味などをやわらげる薬)としても用いる。急迫症状を緩め、痛みや筋肉の緊張を取り除き、のどの炎症にも用いる。
人参(にんじん)
健胃、強壮、興奮作用があり、免疫力や新陳代謝を高め、虚弱による食欲不振、消化不良、下痢、慢性疲労などに用いる。
粳米(こうべい)
滋養強壮、緩和、止渇剤として口渇や煩躁、のどの乾燥に用いる。
麦門冬湯は咳や痰・のどの不調改善などに最適
麦門冬湯は体力が中等度以下の人で、のぼせやすく、のどの奥に痰がへばりついて切れにくい、顔が赤くなるほど強く咳き込むことがあるといった人に用いられる漢方薬です。
他にも、から咳、気管支炎、気管支ぜんそく、咽頭炎、しわがれてしまう声といった症状にも用いられています。
麦門冬湯の副作用と注意点
麦門冬湯は、配合されている甘草の副作用により、むくみや血圧上昇などが起こる場合があります。
他にも、次のような症状があらわれた場合は一度服用を中止し、医師に相談してください。
副作用
- 食欲不振
- 胃部不快感
- むくみ
- 血圧上昇
重篤な副作用
- 間質性肺炎:階段を上ったり少し無理をしたりすると息切れがする、息苦しくなる。から咳、発熱などがあらわれる。
- 偽アルドステロン症・ミオパチー:四肢の脱力感やつっぱり感、しびれ、だるさ、筋肉痛があらわれる。徐々に強くなるのが特徴。
- 肝機能障害:黄疸、発熱、発疹、食欲不振、全身の倦怠感などがあらわれる。
「間質性肺炎」「偽アルドステロン症・ミオパチー」「肝機能障害」は、生薬の副作用や長期間の服用、過剰摂取が原因で起こります。ただし、起こる確率はまれであるため、過度に心配する必要はないでしょう。
注意点
麦門冬湯は誰にでも適しているわけではありません。持病やからだの状態によっては、服用前に医師や薬剤師、登録販売員に相談する必要があります。以下のような人は必ず相談してから服用してください。
相談すべき人
- 医師の治療を受けている人
- 妊婦または妊娠の可能性がある人
- 水様性の痰が多い人
- 高齢者
- むくみがある人
- 高血圧・心臓病・腎臓病の診断を受けた人
1カ月程度の服用を継続しても症状の改善が見られない人(から咳の場合は1週間程度)も一度服用を中止し、医師や薬剤師、登録販売員に相談してください。
なお、使用期限が切れたら、変質している可能性があるため服用してはいけません。
漢方薬は専門家に処方してもらうのがベスト
のどの不調には麦門冬湯がよく使われていますが、かぜの症状には「葛根湯(かっこんとう)」、気管支炎・気管支喘息には「小青竜湯(しょうせいりゅうとう)」といった漢方薬も使われており、それぞれ体質によって使い分けられます。
麦門冬湯は、通販サイトやドラッグストアでも販売されていますが、漢方薬は体質に合ったものを服用することで体質から症状の改善を目指すことができるため、プロに相談するのが安心です。
プロの医師や薬剤師の監修とAI技術を使って、スマホひとつで簡単に体質に合った漢方薬を処方できる「あんしん漢方」というサービスもあります。処方された漢方薬は自宅に直接届くため、利便性の高さも魅力です。
麦門冬湯は虚弱でのぼせやすい人に適している
麦門冬湯は、体力が中等度以下で、顔が赤くなるほど咳き込む人ののどの不調緩和・改善を目指します。ただし、からだが冷えやすいなど、適している体質とは異なる場合、同じ症状でも用いられる漢方薬は異なるため、専門家に相談したうえで使用するのがおすすめです。