中高年のか不足”を助けるサプリ
年を重ねると免疫力が低下する。インフルエンザなどの感染症にかかると重症化しやすく、がんにもなりやすくなる。「年には勝てないなぁ~」と思うのだが、勝つ方法が見えてきた。それが、ビタミンDのサプリメント活用だ。
「ビタミンDに関するさまざまな研究が世界的に行われています。ビタミンDサプリメントを毎日にとると、インフルエンザやがんにかかりにくく、ぜんそく発作も起こしにくいことが報告されているのです」
こう話すのは、東京慈恵会医科大学分子疫学研究部の浦島充佳教授。今年3月、ビタミンDサプリメントの内服により、がん死亡率が下ることを国際共同研究の10万人データ解析で明らかにした。ビタミンDを毎日2000IUとっている群は、そうでない群と比べてがんの種類に関係なくがん死亡率が12%減少した。
「一般的にがんや感染症は、免疫力が低下するとかかりやすいといわれるでしょう。ぜんそくのようなアレルギーは、免疫反応がご自身の体の中で過剰反応を起こす状態です。ビタミンDは、免疫の働きを正常に調節する作用があると考えられるのです」
がん、感染症だけでなくアレルギーも
がんや感染症は、異常な細胞や外部から侵入したウイルスを免疫が発見し、速やかに排除できれば病気を防ぐことができる。一方、アレルギーの病気は、ハウスダストや自分の体内組織などを攻撃する過剰な免疫を抑え込むことで、防ぐことが可能だ。ビタミンDは、がんや感染症に対する免疫を強化しつつ、アレルギーのように過剰な免疫の働きを抑える作用も持つ。
「ビタミンDは、ビタミンCなど他のビタミンとは異なる作用があります。ビタミンDの構造も、ステロイドホルモンに似たようなステロイド骨格で成り立ち、ホルモンのような働きをすると考えられます」
不思議なことに、ビタミンDはステロイドと似た構造を持ちながらも、ステロイドと作用は異なるという。アレルギー症状を抑えるために活用されているステロイド剤は、使用過多では骨が弱くなって太りやすくなくなるなど、副作用が知られている。だが、ビタミンDは、カルシウムの吸収をよくして骨格を強くする働きを持つ。つまり、逆の作用を持っているのだ。
ただし、ビタミンDサプリメントの過剰摂取は、血中のカルシウム濃度を上げる高カルシウム血症のリスクがあるといわれる。が、浦島教授らの研究およびハーバード大学の実施したバイタル試験では、1日2000IU(マイクログラム換算で50μg)を長期間服用しても、高カルシウム血症の副作用は報告されていない。むしろ、がんの死亡率低減やインフルエンザ感染予防、ぜんそく発作抑制といった健康に役立つ結果が得られている。
「ビタミンDは体内でも作られ、食品にも含まれますが、生活習慣によって足りなくなるのではないかと思っています」
浦島教授は、そう警告する。
ビタミンD不足で心配される体への悪影響
- カルシウムの利用量の低下
- 骨粗鬆症のリスクが上がる
- インフルエンザなど感染症にかかりやすくなる
- アレルギー症状がひどくなる
- がんの死亡率が上がる