5月の晴天はすがすがしい気分の後押しをしますが、一般的に「五月病」と称するように、意欲の低下や気分の落ち込み、だるさなど、体調の変化を感じている方もいるでしょう。中には、「去年からずっと五月病」という男性もいます。もしも、あなたの旦那さんがそんな症状なら、知らずに男性更年期障害(加齢性腺機能低下症やLOH症候群ともいいます)になっている場合があるので、注意が必要です。
男性更年期障害は、男性ホルモンのテストステロンの減少によって、心身にさまざまな変調をきたします。その症状の一部が、気分の落ち込みや意欲の低下、イライラや逆切れしやすい、だるい、食欲不振など、五月病の症状と似ているのです。しかし、男性更年期障害は自覚するのが、難しいともいえます。
女性は、閉経前後の45~55歳の頃に更年期を迎え、女性ホルモン(エストロゲン)の減少で心身にさまざまな症状が出ることは知られています。この時期に、突然、汗が噴き出すホットフラッシュや気分の落ち込み、イライラ、だるさなどの体調変化を感じると、「更年期障害かもしれない」と思うのが一般的でしょう。しかし、男性は個人差が大きいのです。
男性には女性のような閉経はありません。主に精巣で分泌されるテストステロンは、加齢とともに減少しますが、身体状態や過度なストレスの影響などによって30代や40代でも、分泌量が急激に減ってしまうことがあるのです。
比較的若い年齢で起こった体調の変化に対し、「男性更年期障害かもしれない!」とは思いませんよね。会社の健康診断を受けても、テストステロンの検査項目は基本的にありません。ご自身で泌尿器科を受診して、テストステロン検査を希望しないと、男性更年期障害か否かはわからないのです。
しかも、女性の更年期障害のように区切りがわかりにくいのも、男性更年期障害のやっかいなところです。女性の更年期障害は、閉経前後の限られた期間に起こり、その時期を超えると症状が治まる人が多いでしょう。男性の更年期障害は期間限定ではなく、その方の体質や生活環境などによって、適切に対処しないと高齢に至るまでずっと症状に悩まされる方もいるのです。
男性更年期障害の疑いのある方は、インターネットで「AMSスコア(男性更年期障害質問票)」を検索してチェックしてみてください。「肉体的にも精神的にも調子が悪い」など17項目の合計点で、男性更年期障害の可能性があるかどうか、軽度~重度の症状かの目安を知ることができます。
AMSスコアは以下のページに記載しています。
男性更年期障害のホルモンバランスを整えるには、その方の体質にもよりますが、漢方薬の「六味丸(ろくみがん)」や「八味地黄丸(はちみじおうがん)」などの「補腎薬(ほじんやく)」が役立ちます。これらの漢方には、長芋が「山薬(さんやく)」という生薬の名前で含まれており、滋養強壮作用や男性ホルモン様作用が知られています。
「補腎薬」には「六味丸」「八味地黄丸」以外にもさまざまな種類があり、個々の体質により適切な漢方薬を選ぶことが大切です。もしも、あなたの夫や息子に症状があるときには医師や薬剤師にご相談いただければと思います。ご一緒に解決してまいりましょう。