認知症 アンチエイジング

オメガ3を含む「お魚の油」「あまに油」「えごま油」で脳を元気に ココナッツオイルは認知症の予防にも

オメガ3を含む「お魚の油」「あまに油」「えごま油」で脳を元気に ココナッツオイルは認知症の予防にも
エイジングケア
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みなさま、こんにちは。漢方王子こと漢方薬剤師の野口貴司です。ゴールデンウイークの後は、例年、気温が上昇して体調の変化を感じやすい時期になります。また、春の疲れを引きずり、気分が落ち込むようなことも起こりがちです。特に40歳を過ぎた方からは、「やる気が出ない」「集中力がなくなった」などのメンタル面のご相談を受けることが多くなります。そこで、ここでは「脳の健康と良質な油」についてご紹介したいと思います。

脳は、多くの部分が油でできています。油がないと脳はうまく働くことができません。気分は落ち込み、集中力は欠如し、記憶力は低下し、もの忘れもひどくなるようなことが起こりえます。油をとっていれば脳は働きやすくなるといえるのです。

さて、みなさまは、お食事からしっかり油をとっていますか? 1日のメニューを振り返ってみましょう。

炒め物の油、揚げ物の油などは、食べる機会が多いのではないでしょうか。中には、油はたくさん摂っているのに、脳がうまく働かない。そんな思いを抱く方もいるでしょう。

油にもさまざまな種類があります。炒め物の油、揚げ物の油などを食べていても、脳の働きが良くなるわけではありません。脳にとって必要なのは、サラダ油やなたね油とは異なるのです。

脳を元気にするのは、必須脂肪酸のひとつ「オメガ3」を含む「お魚の油」や「あまに油」や「えごま油」です。必須脂肪酸というのは、体内で合成することができず、食品から得る必要のある成分のことです。

サラダ油やなたね油など、一般的に使われる油には「オメガ6」という必須脂肪酸がたくさん含まれます。しかし、食べ過ぎると体内に炎症を起こすこともわかってきました。その炎症を抑え、脳を健康にする働きがあるのが「オメガ3」なのです。

もうひとつ、「ココナッツオイル」が認知症予防に役立つといわれています。脳の栄養源は、ご飯などの糖質を食べたときに体内で生じるブドウ糖ですが、脳に不具合が生じるとブドウ糖が取り込めなくなり、機能が低下してしまうのです。「ココナッツオイル」の成分は、体内でケトン体というエネルギー源に変換され、脳を元気にしてくれます。

認知症の方や発達障害の方が1日大さじ2杯の「ココナッツオイル」をとることで、症状を改善したとの報告もあります。油は熱を加えると変性してしまうので、お料理にふりかけたり直接スプーンでとるようにしましょう。

「えごま油」や「あまに油」も、過熱すると変性してしまうので注意してください。「オメガ9」が多く含まれているオリーブオイルは比較的加熱に強い油ですが、栄養素を効率良く摂るには、加熱せずそのまま食べるのがおすすめです。

脳を元気にするために、マグロやイワシ、サバなどの「お魚の油」をたくさん食べて、「えごま油」「あまに油」「ココナッツオイル」「オリーブオイル」も活用してみてはいかがでしょうか。心も体も元気にするには、毎日食べている食材をちょっと見直すことが大切です。おいしく食べて元気になるのが一番でしょう。

もちろん、良質の油以外にも、心と体を元気にする食材は、その人の身体状態によって変わってきます。ご一緒に解決してまいりましょう。

解説・執筆者
薬剤師(漢方王子)
野口 貴司
東京・麻布十番の「麻布漢方Herbal Room」代表取締役・薬剤師。東京薬科大学卒。千葉県銚子市薬剤師会理事、同薬剤師会学術委員長。80余年続く漢方薬局「エビス薬局グループ」の3代目。中医学を現地の漢方医の元で学生時代から修行、漢方薬研究は30年に及ぶ。東洋医学と西洋医学、さらに分子栄養学を取り入れた漢方相談に定評を持ち、「漢方王子」の愛称で親しまれている。