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粉ミルクという“子育て手段”を手に入れた人間 男女が協力して子育てをするのは当たり前のこと

粉ミルクという“子育て手段”を手に入れた人間 男女が協力して子育てをするのは当たり前のこと
コラム・体験記
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人類が誕生したときから、人間の社会では子育ては女性の役割というのが常識でした。最近では子育てをする男性も増えているようですが、生物の世界では子育ては必ずしもメスがするとは限りません。

サカナはオスが子育てをするものが少なくありません。メスは産卵をしたらどこかへ行きます。メスが産んだ卵に精子をかけるためにやってきたオスが受精卵や子供の面倒をみるのです。

トゲウオのオスは受精卵にエラを動かして新鮮な酸素を与え、孵化(ふか)した稚魚を口の中に入れることで子供たちを敵から守ります。スズメダイのオスも稚魚を口の中に入れて保護します。タツノオトシゴのメスはオスが持っている袋の中に卵を産みます。卵が孵化するまで面倒をみるのはオスです。

こうしたサカナのオスの子育ては、愛情が深いからではありません。自分の子供を育てるのは、自らのDNAを少しでも多く残すためなのです。

サンバガエルもオスは腰のところに卵をつけていて、孵化してオタマジャクシになってからも敵から守ります。コオイムシという水生昆虫のオスもメスが産みつけた卵を背負い、孵化するまで卵を敵から守ります。

哺乳類のメスが子育てをするのは、赤ちゃんは母乳を飲まないと生きていけないからです。母乳が出ないオスは子育てをしたくてもできないのです。人間は粉ミルクを開発したことで父親も子育てができるようになりました。

生物界ではオスもメスもなく一生懸命に子孫を残します。種を維持することは生物にとって最大の使命なのです。粉ミルクという子育ての手段を手に入れた私たち人間は、男性と女性が協力して子育てをするのは当たり前のことと思われます。

解説・執筆者
医学博士
中原 英臣
医学博士。新渡戸文化短期大学名誉学長、山野医療専門学校副校長、西武学園医学技術専門学校東京池袋校・東京新宿校校長。夕刊フジで「あの医療情報ウソ?ホント!」を連載。