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婚外子を認めることも少子化対策にならないか? フランス、イギリス、ドイツは婚外子で出生率が増加

婚外子を認めることも少子化対策にならないか? フランス、イギリス、ドイツは婚外子で出生率が増加
コラム・体験記
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日本だけでなく欧米の先進国でも出生率が下がりましたが、近年、フランスや英国の出生率は増加に転じています。

1人の女性が生涯で産む子供の数を示す合計特殊出生率が2を下回るということは、夫婦が2人未満の子供しか持たないので人口減少になります。日本の合計特殊出生率は2021年は1.30しかなく、欧州や米国に比べ著しく低いのです。22年の出生数もついに80万人を切ってしまいました。このままでは日本はいずれ国家として成立しなくなってしまいます。

英国やフランスだけでなく、ドイツやスウェーデンの合計特殊出生率は2に近く、人口を維持できる水準となっています。これらの国では婚外子の割合が急増しています。フランスでは62.1%、英国は48.2%、スウェーデンが54.5%、ドイツでも33.3%が婚外子です。

一方、日本の婚外子の割合は2.3%しかありません。日本では結婚すると妻は夫の戸籍に入ること、すなわち入籍するのが当然とされています。戸籍に記載されない子供は差別され、婚外子に対する差別意識を生む原因になっています。

日本では事実婚も少ないのです。事実婚というのは夫婦生活を送っていても、法律上の届け出である婚姻届を出していないカップルのことです。婚姻届を出していない両親から生まれた子供は婚外子になります。婚外子には「私生児」や「父なし子」といった差別的な言葉があります。

戸籍制度は日本では当然と思われていますが、世界的には時代遅れで奇異な制度と思われています。主要国で戸籍制度があるのは日本のほかでは中国と台湾くらいです。韓国にも戸籍がありましたが、個人尊重と男女平等に反するとして2007年に廃止されました。台湾でも個人登録の方向に進みつつあります。

かつて日本の統治下にあった韓国と台湾のように、戸籍は日本に関連する国だけの特異な制度で、多くの国は出生したら個人登録するだけです。婚外子を認めることは異次元の少子化対策になるのではないでしょうか。

「健活手帖」 2023-04-26 公開
解説・執筆者
医学博士
中原 英臣
医学博士。新渡戸文化短期大学名誉学長、山野医療専門学校副校長、西武学園医学技術専門学校東京池袋校・東京新宿校校長。夕刊フジで「あの医療情報ウソ?ホント!」を連載。