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岸田政権の少子化対策はピント外れ、必要なのは「異次元の結婚対策」

岸田政権の少子化対策はピント外れ、必要なのは「異次元の結婚対策」
コラム・体験記
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現在、日本の抱える最大の問題が少子化です。しかし人口に占める子供の割合が異常な速さで少なくなっているのです。少子化という問題は早くから明白だったのに、政府が何もしてこなかったことに問題があります。

政府は有効な子育て支援をせず、子供が減るに任せてきました。岸田文雄首相は異次元の少子化対策などと言っていますが、完全に手遅れの状態です。総務省によると、1975年に24.3%だった人口に占める15歳未満の子供の割合は、2022年には11.7%にまで減ってしまったのです。

半世紀以上前の1970年代に当時の武見太郎・日本医師会会長が「将来、日本は年寄りばかりの国になる」と講演で話していましたが、実際にその通りになりました。

いろいろある将来予測のなかで人口予測ほど確実なものはありません。そもそも世界で人口が減少している国はそんなに多くはありません。それはどこも少子化に対して対策を取ったからです。

例えば、1人の女性が生涯に産む子供の推定人数を示す合計特殊出生率でフランスとスウェーデンは1.5くらいまで低下していましたが、対策の結果、フランスは1.8、スウェーデンも1.7に上昇させています。

ただ、日本政府は学校給食の無料化や子供手当の所得制限、出産費用の医療保険などの子育て支援を考えているようですがピントが外れています。政府は合計特殊出生率を上げることを目標にしているようですが、それが的外れなのです。

2022年の出生数は80万人を切っています。この世代が子供を産むときに合計特殊出生率が2になったとしても人口は増えないことは、小学生でもわかる計算です。問題は日本で結婚しない独身者が増えたことなのです。

国勢調査のデータをみると、1985年には50歳時で未婚の男性が3.9%、女性が4.3%でした。ところが、2020年には男性が28.3%、女性が17.8%にまで急増しました。子育て支援では少子化は解決できません。少子化を解決するには「異次元の結婚対策」が必要なのです。

「健活手帖」 2023-04-12 公開
執筆者
医学博士
中原 英臣
医学博士。新渡戸文化短期大学名誉学長、山野医療専門学校副校長、西武学園医学技術専門学校東京池袋校・東京新宿校校長。夕刊フジで「あの医療情報ウソ?ホント!」を連載。