みなさま、はじめまして。漢方王子こと漢方薬剤師の野口貴司です。漢方薬局の3代目として学生時代から漢方薬を学び、漢方相談(カウンセリング)を始めて20年以上が経ちます。たくさんの方々のお話を伺い、体調不良に悩まされている方がいかに多いか、日々痛感しております。そこで、少しでもみなさまのお役に立ちたいと思い、この連載をスタート致しました。どうぞよろしくお願いいたします。今回は「突然襲ってくる身体の変化」です。
みなさまは、40歳を過ぎて急に気力の衰えを感じたことはありませんか。30代で夢中だったことに、なんだか気分が乗らない。大好きなスターのコンサートも行く気がしない。スポーツ観戦にも熱が入らない。「40歳を過ぎたらガクンとなった」とおっしゃる方もいるほど、突然、気力が衰えることがあるのです。
東洋医学の最古といわれる医学書「黄帝内経」(こうていだいけい)には、女性は7の倍数、男性は8の倍数で身体の変化が訪れると記載されています。女性の場合は、7歳、14歳、21歳、28歳、435歳、42歳、49歳、56歳、63歳…。男性の場合は、8歳、16歳、24歳、32歳、40歳、48歳、56歳、64歳…。
東洋医学では、生命活動に欠かせない「腎」(じん)という概念があります。腎臓だけでなく、泌尿・生殖機能など広く意味を持ち、このエネルギーを「腎精」(じんせい)といいます。腎精には生まれたときから備わる「先天の精」と、生まれた後に食事やサプリなどで備わる「後天の精」があり、腎精が衰えると老化が加速します。
腎精の変化は、30代をピークにその後下降していきます。40歳を過ぎると女性も、男性も、腎精が衰える「腎虚」(じんきょ)となり、心身ともにさまざまな変化が現れるのです(腎虚にも腎陽虚、腎陰虚があり、体質の見極めが重要です)。
女性ホルモン(エストロゲン)や男性ホルモン(テストステロン)の減少で、50歳前後に更年期を迎えることは、ご存じでしょう。更年期障害は、性ホルモンの急激な減少に伴う自律神経失調の状態で、メンタル面も不調になる場合があります。解決策として、東洋医学と分子栄養学を結びつけた簡単な方法をご紹介します。
人間の身体の中では、気分が落ち込んだときに、脳の神経伝達物質のセロトニンが上手く働いていない状態になります。気分の上昇には、セロトニンが豊富に作られていることが重要になります。
セロトニンの原料はトリプトファンというアミノ酸です。トリプトファンは、お肉や、お魚、大豆製品などのタンパク質に多く含まれています。それらを意識してお食事をとりましょう。また、トリプトファンを活性化させてセロトニンに変えるには、ビタミンDも不可欠です。日本人の約9割は、ビタミンDが不足しているという研究結果が発表されています。
ビタミンDは、日光浴で主に体内で合成され、キノコ類などの食べ物にも微量に含まれます。しかしながら、日光浴や食べ物だけでは十分な量が足りません。サプリメントを積極的に活用しましょう。
人によって体調不良はさまざまです。その不調をひとつずつひも解いて、心身の健康のお手伝いができればと考えております。
ご一緒に解決してまいりましょう。