私が幼い頃は、まだ「子供がろう石やチョークで描いたものだし、水かければ落ちるからねぇ」とアスファルトの地面に落書きをしても、大人たちに大目に見てもらった時代でした。
令和になった今でも、寛容な地域はあるようですが、何となく「あまりスペースを広くとって描いちゃダメ。せめて家の前くらいにして」とか、「できれば描かないでいただきたい」なムードが漂う場所も存在しているんですよねぇ…。
そんな話を、都内一軒家に住み3人の幼子の母である知人女性は教えてくれました。
引っ越してきた当初は花火も、近所で行って大丈夫な場所とそうでない場所を、町内会的な集まりを仕切る方に確認したとのこと。何か言われてもうっかりしていた、知らなかった、申し訳ないと謝ればいいとは思いましたが、ご近所付き合いが希薄になりがちな現代でファーストコンタクトが「注意」というのは、いささか印象がよろしくないと彼女は先手を打つ作戦をチョイス。
だんだんとご近所の皆さまとなじみ、幼子たちもかわいがられるようになったようです。お母さんとして、ちゃんと考えてるなぁと尊敬してしまいました。
上記のような子供の落書き案件は罪にはならないと思いますが、シャッターや壁、看板に電柱など外にあるものにちょっとやそっとじゃ消えない塗料で自己主張したり、絵を描いたりするのはもちろん犯罪です。
あの世界的に有名な某国の覆面画家は、極めてグレーな扱いを受けていますし、欧米では壁に落書きをしたのがバレて拘束されたものの、才能を見いだされて画家デビューした青年もいると聞きます。しかし、やはり描いてはいけない場所に描いたら然るべき措置はとられます。
悪いこととは分かっていても、先日私もとある落書きに目を奪われてしまうことがありました。とある公共のモノに描かれたいわゆる「へのへのもへじ」が、あまりにもバランス良く情感あふれんばかりのタッチでして…。すごい、すごい、へのへのもへじだ! と見とれてしまいました。
何度も言いますが、犯罪です。でも、今にも世の無情や理不尽さを語り出しそうなへのへのもへじの表情に心を持っていかれそうになるのでした。そして、われに返りつぶやきましたよ。「紙に描いて!」と。