政府は1月下旬、感染症法上で「2類相当」に分類してきた新型コロナウイルス感染症を、5月8日から季節性インフルエンザなどと同じ「5類」にすると発表しました。岸田文雄首相は厚生労働省の審議会の意見を踏まえたうえでの決定であると説明しました。
日本では感染症を「1類」から「5類」に分類しています。1類は危険性の高いエボラ出血熱やペスト、2類は急性灰白髄炎(ポリオ)や結核、3類はコレラや細菌性赤痢、4類は狂犬病やマラリア、5類は梅毒や麻疹(はしか)などが分類されています。
新型コロナウイルスによる感染症が2類相当から5類に移行すると、例えば緊急事態宣言や、入院の勧告、感染者と濃厚接触者に外出自粛を要請したり、飲食店への営業時間短縮要請などはできなくなります。
医療機関の対応にも変化が出ます。これまでは新型コロナに感染したり陽性の判定を受けると、入院の受け入れや受診には指定医療機関や発熱外来などを探さなければいけませんでしたが、5類になると、自分のかかりつけ医など一般の医療機関や病院での対応も段階的に可能になっていく見通しです。
また、現在は入院や検査にかかる医療費は全額公費負担ですが、5類移行後は診療も原則的に自己負担になります。ただし、入院費が高額になる場合や高い治療薬などについては現時点では9月末まで公費による支援を続ける予定で、平時の医療体制への転換は段階的に進められる方針です。
空港などでの水際対策も大きく変わります。5類になると新型コロナは検疫感染症から外れます。政府がこれまで検疫所で海外からの入国者に対して義務付けてきた、指定ワクチンの接種を3回行ったという証明書の提示などを求める措置は原則的になくなります。
無料での接種が行われてきたワクチンについても、政府は必要な接種であれば引き続き自己負担なく受けられるようにするとしています。