『銀河鉄道999』が好きでした。この作品の根底に「生と死」が漂っていたから。主人公の少年鉄郎と謎の女性メーテルが蒸気機関車999号で宇宙を旅する未来。人間の身体はすでに機械化され、999号に乗ってある星に行けば不老不死を手に入れられるという設定です。しかしその切符はとても高価であり、鉄郎の父親は切符を手に入れるため働きすぎて死んだ…とアニメでは言っていました。
しかし原作漫画では、(僕の記憶が確かならば…違っていたらスミマセン)鉄郎の父親は、人間の機械化に反対したため殺された、となっていたはず。どうして原作とアニメで、こんな重要な設定を変えたのだろうか? お会いすることがあれば訊いてみたいと思っていましたがかなわぬ夢となりました。
世界中から愛された漫画家のレジェンド、松本零士さんが2023年2月13日に東京都内の病院で亡くなりました。享年85。死因は急性心不全との発表です。
松本さんは2019年11月、イタリアのイベントに招待された際に体調の異変を訴えて救急搬送。集中治療室で治療を受けていましたがその後回復し帰国。しかし少し前からまた体調を崩したため、都内の病院に入院をしていたそうです。
急性心不全とは心機能が何らかの理由で急激に低下し、血液を全身に送れなくなった状態をいいます。急に息苦しくなる。咳き込む。ピンク色の痰(たん)がでる。脈が速くなる。冷や汗が出るといった症状があった場合は、迷わず救急車を呼んでください。
最近、心不全で亡くなる人が増加しています。高齢者の心不全の件数は、がんを上回っています。先日のNHK『クローズアップ現代』で、心不全患者の緊急搬送で医療が逼迫(ひっぱく)し、「心不全パンデミック」状態が起きていると警鐘を鳴らしたほどです。コロナは収束を迎えつつあるのに変わらず医療が逼迫している背景に何があるのか? 早急に解明するべきだと考えます。
■時代超えて突き刺さる言葉
21世紀になっても人間は、999の世界のように機械化はされていません。近未来、もしも機械化されたとしたら、それは「家畜化」とほぼ同義。僕は身を挺して国家に反対するでしょう。鉄郎の父親のように。
松本さんの実際の父親は、陸軍帰還兵だったそう。その父から、戦争の愚かさと命の尊さを学んだと語っています。
「どんな命も、死ぬために生まれてくる命はない。生きるために命は生まれるのだ」
松本さんが父親から聞いたというこの言葉が、時代を超えて今、胸に突き刺さります。