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冬の高血圧対策(5)~1日1グラムの減塩と「ながらスクワット」、そして食生活を見直せば血圧管理は可能

冬の高血圧対策(5)~1日1グラムの減塩と「ながらスクワット」、そして食生活を見直せば血圧管理は可能
病気・治療
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高血圧は、心筋梗塞や脳卒中、心不全やフレイル(心身の虚弱)につながるため、放置してはいけないことを紹介してきた。すでに血圧上昇を起こしやすい冬まっただ中で、どのように改善・予防を心掛ければよいのか。

「できることからはじめていただきたいと思います。たとえば、お弁当などを購入するときに、栄養成分表示の食塩相当量をチェックし、1グラムでも少ない方を選びましょう」と東京都健康長寿医療センターの原田和昌副院長はアドバイスする。

高血圧の人の1日の塩分摂取量の理想は1日6グラム。これまで1日12グラム食べていた人が6グラムに減らすと、血圧が6mmHg程度は下げることが可能と考えられている。もちろん、塩分ゼロというのは身体によくない。できる範囲で少しずつ減らすことが大切だ。

「1日1グラムの減塩からスタートしましょう。減塩に加えて、太っている方は減量も重要です。筋肉を鍛えることも心掛けましょう。ただし、方法には注意が必要です」

ダイエットのための運動習慣として、ウオーキングに取り組む人はいるだろう。余暇を利用し1時間程度歩けば、身体活動量が上がって減量に役立つ…と言いたいところだが、必ずしもそうではない。

「ウオーキングのような有酸素運動を1時間連続すると、より食欲が増して食べる量が増えてしまうことがあるのです。有酸素運動に加えて、筋トレなどのレジスタンス運動を組み合わせるのがコツです」

ちなみに、原田副院長自身は1日100回のスクワットを実践しているという。ただし、運動習慣がない状態でスクワットに取り組むと、10回でもきつく100回へとの到達は難しい。無理して行えば、膝を痛めることにもつながりかねない。

「私が行っているのは、ゆるいスクワットです。テレビを見ながらの『ながらスクワット』。膝を痛めない程度に、腰を落としてまた上げる。回数を小分けにして、無理のない範囲ではじめてみてください」

運動習慣は、単にダイエットというだけでなく、血管や心臓を守ることに役立ち、高血圧の改善に寄与する。「1日1グラムの減塩」と「ながらスクワット」から、食生活改善の一歩を踏み出そう。

「食生活を見直すことで、降圧薬などに頼らなくても血圧管理は可能です。すでに高血圧で心筋梗塞や脳卒中の経験がある方、あるいは、心不全と診断されている方は、薬を上手く使いながら、食生活を見直しましょう」

血圧上昇を促す真冬の寒暖差を防ぐのは難しいが、寒暖差に負けない身体は、食生活の見直しで可能だ。原田副院長の血圧改善のコツ(別項)も参考に、さっそく取り組もう。
 

原田和昌副院長による血圧改善のコツ

  • 減塩を心掛け、外食では栄養成分表示の食塩相当量をチェック
  • 血圧改善の食事療法「DASH食」(果物、野菜、ヨーグルト、魚、ナッツ、全粒穀物など)を意識する
  • 無理のない範囲で、1日30分の有酸素運動+スクワットなどの筋トレを心掛ける
  • 睡眠不足の解消
  • 過度なストレス軽減のため、ストレス発散を心掛ける
  • 過度の飲酒は控える
「健活手帖」 2023-01-15 公開
解説
医師、医学博士
原田 和昌
東京都健康長寿医療センター副院長。医学博士。東京大学医学部卒。ハーバード大学、東京大学医学部循環器内科などを経て2012年から現職。専門は心不全、冠動脈疾患、高血圧。高齢者の心臓病や高血圧の診療・研究を数多く行っている。
執筆者
医療ジャーナリスト
安達 純子
医療ジャーナリスト。医学ジャーナリスト協会会員。東京都生まれ。大手企業からフリーランスの記者に転身。人体の仕組みや病気は未だに解明されていないことが多く、医療や最先端研究などについて長年、取材・執筆活動を行っている。科学的根拠に基づく研究成果の取材をもとに、エイジングケアや健康寿命延伸に関する記事も数多く手掛けている。