進行して手術が不適応になった胃がんや食道がんは、薬による治療が限られている。2017年に国内で登場した免疫チェックポイント阻害薬も、人によって効果がない。
この状況打開のため、国立がん研究センター中央病院消化管内科・先端医療科の庄司広和医長は、24年8月、免疫チェックポイント阻害薬と腸内細菌叢移植併用療法の臨床試験を開始した。腸内フローラを改善して免疫チェックポイント阻害薬の効果が上がることが、海外の研究で報告されたからだ。
免疫チェックポイント阻害薬と腸内細菌叢移植療法の臨床試験
庄司医長は、順天堂大学やメタジェンセラピューティクスとの共同研究で、免疫チェックポイント阻害薬の効果が得られない胃がんと食道がんの患者を対象に進めている。
新しい治療法の臨床研究
「既存の治療で効果のないがんについて、私たちは治験(薬として承認を得るための臨床試験)を積極的に行っています。ホームページにも公開し、それをご覧になって来院し、参加を希望される方もいます」(庄司医長)
臨床試験の参加条件
たとえば、国立がん研究センター中央病院のHPの「胃がんを対象にした治験」を見ると、臨床試験の項目がズラリと並ぶ。ただし、治験に参加するには身体状態などに適用条件があるため、「胃がんで既存の薬で効果がない」というだけでは参加はできない。
治験参加のタイミング
「患者さんにぜひ知っていただきたいのは、胃がんのステージ4(切除不能の進行がん)と診断された時点で、治験参加の意思があれば、セカンドオピニオンを活用していただきたい。ステージ4の標準治療の薬物療法が開始してからでは、参加できない治験があるからです」
ステージ4の治療と治験参加の関係
臨床試験で効果判定するには、既存の薬を使用する前の参加が条件になる場合がある。ステージ4の治療を始めた後、治験参加を希望しても条件に合わなくなるのだ。
進行がんと治療法の選択肢
「進行がんでは治療法によって予後を左右する可能性があります。医療機関によって、実施している治験は異なります。体力や体調の維持が可能でセカンドオピニオンを活用できる状態ならば、ステージ4と診断された時点で、治療を受ける前に治験のご相談をお願いできればと思います」
がん治療の進歩と早期発見
医学は進歩している。30年以上も前、胃がんはがん死因のトップを独走していた。今は男性で第3位、女性で第5位にまで減少している。胃がんの最大原因のピロリ菌の除菌が進み、内視鏡検査によって胃がんの早期発見・早期治療が行われているからだ。それでも、進行した胃がんの克服はまだ難しい。
進行がんの克服への取り組み
がんは無症状で進行するため、気づいたときにはステージ4と診断されることもある。
早期発見と早期治療の重要性
「進行がんと診断されても、あきらめないで治験などを活用してほしいです。とはいえ、早期発見・早期治療で胃がんや食道がんは克服可能です。がん検診を活用して早期発見・早期治療を心がけてください」と庄司医長は強調した。