腰痛 五輪担当の整体師が教える健康長寿

五輪担当の整体師が教える健康長寿(4)~銀メダリストへの腰痛施術を日本のシニアにも応用

五輪担当の整体師が教える健康長寿(4)~銀メダリストへの腰痛施術を日本のシニアにも応用
予防・健康
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今夏のパリ五輪で“世界の整体王”こと、澤田大筰氏はモンゴルナショナルチームに帯同し、銀メダルをはじめ過去最高の入賞者を出すことに貢献した。整体師として一国のオリンピック委員会から全選手の施術とケアを任されたのは極めて異例のことだ。

この銀メダリストは柔道女子48キロ級のバーサンフー選手だ。この選手をはじめ多くの選手に対して腰痛の施術をしたという。

腰痛の原因と回旋の影響

アスリートだけでなく、一般の人でも腰痛があると、日常生活に支障が出る。腰痛の原因ついて解説してもらおう。

「腰の動きには前屈、後屈、側屈、回旋があり、このうち日常生活で一番多い動きが回旋で、これが腰痛の主な原因を引き起こしています」(澤田氏)

メカニズムについては「腰椎には上下の突起があるため回旋が出来ない形状になっており、胸椎と股関節の動きを借りて回旋を行っています。胸椎と股関節の各可動域が狭くなることで腰椎に負担がかかり、腰痛が引き起こされます」(同)

澤田氏はモンゴルの選手らに胸椎と股関節の各可動域を上げるための施術もした。

一般人にも応用できる施術法

澤田氏が率いる巣鴨総合治療院グループ(本院、東京都豊島区)では、パリ五輪でアーティスティックスイミング(チーム)で銀メダルを獲得した米国の選手に対して自分で出来るインナーマッスルトレーニングの方法を伝授。このトレーニングの一部は一般の人の腰痛予防にも効果があるという。また、これらのインナーマッスルトレーニングは、澤田氏がメディカルアドバイザーを務めるマレーシアのトップアイドルグループにも提供されている。

国際的な連携と学術的活動

世界の整体王はインドの医療機関とも連携している。訪問して分かったのはインドでも腰痛が多いことだった。先方からの要請があり、オンラインで問診し現地の理学療法士に施術方法を伝授している。

澤田氏は整体師として類を見ない医学博士号の保持者であり、柔道整復師、公認心理師の国家資格も持つ。今年はモンゴルのウランバートルで行われた国際カンファレンスでも論文発表をした学術派でもある。国内では主に東京・巣鴨で施術を行う澤田氏のもとには、韓国、台湾、シンガポールなどからも患者が来院している。

腰痛予防への実践的アプローチ

澤田氏は「腰痛で来院される方の一番の原因は姿勢にあるが、中には運動不足や肥満が原因の方も多く見受けられる」と話す。オリンピックの現場でトップアスリートに施術した内容は、日本国内の腰痛患者らにも応用が可能だという。腰などに痛みを抱えた生活では活動量が落ち、健康長寿にも大きな影響が出る。ここは整体の施術の助けを借りるのも一案だろう。
 

解説
巣鴨総合治療院・整骨院グループ総院長
澤田 大筰
1979年、富山出身。2016年、東京科学大学(旧東京医科歯科大学)大学院修了。順天堂大学非常勤講師、デンマーク・オーフス大学客員研究員。医学博士、柔道整復師、公認心理師、リハビリ機能回復士。巣鴨総合治療院・整骨院グループ(本院、東京都豊島区)総院長。モンゴル五輪委員会より「オリンピックの栄光勲章」を受章。主な著書に『なぜ、ビジネスエリートには、猫背の人がいないのか?』(PHP研究所)。