世界で活躍する整体師・澤田氏
国内外で活躍し“世界の整体王”の異名をとる整体師が日本に存在する。柔道整復師などの国家資格とともに医学博士を有する澤田大筰氏だ。パリ五輪ではモンゴル選手団のケアを担当し、米国チームのメダリストにもトレーニンング法を提供。モンゴルに整体院を開業し、インドの医療機関と連携するなど世界に進出している。自身が編み出した「澤田式治療システム」を基に、健康長寿を目指す中高年男女の体の不調改善術を聞いた。
転倒骨折がもたらす危険
今夏、東京都の小池百合子知事が野球の始球式でバランスを崩して転倒し、股関節を骨折した。小池知事は治療がうまくいき、通常の公務に戻っている。巣鴨総合治療院グループで総院長を務める澤田氏は退院後のタイミングで知事に面会した。「すっかりお元気になられてホッとしました」とその時の様子を話す。 転倒による骨折は健康長寿にとって大敵である。増加している背景について「特に中高年世代の女性は知らず知らずのうちに骨粗しょう症が進んでいる人が多く、転倒すると骨折につながりやすいのです」と澤田氏。
大転子法による骨盤矯正
予防には小魚などでカルシウムを摂取し、適度な日光浴をしてビタミンDを生成して骨を丈夫にすることが推奨されている。そして、もう一つ秘策がある。澤田式治療システムの大転子(だいてんし)法によって骨盤の歪みを治す方法だ。 大転子とは、股関節の外側にある骨のでっぱり部分のこと=イラスト参照。
「大転子にお尻の筋肉である小殿筋・中殿筋・梨状(りじょう)筋が付着しています。これらの筋肉が骨盤の歪みと関係しているため、大転子をマッサージすることで骨盤を正しい位置に戻すことができます」と澤田氏。
優しい治療法が転倒を防ぐ
骨盤に歪みがあると、足の長さにズレが生じ、これによって歩く際に不安定になり、転倒を起こす原因になるという。 そのズレを外科的な治療や強い骨盤矯正ではなく、澤田氏の治療院グループでは主に高齢者に対して大転子をやさしくマッサージをして、ズレを治す方法を取り入れている。この大転子をマッサージして骨盤を正しい位置に戻す大転子法は、体に負担が少なくだれでも簡単に行うことができる方法として澤田氏が考案したという。所要時間は左右の大転子合わせて1分弱で済む。
転倒予防が健康長寿の鍵
中高年の転倒は、骨折だけに留まらず、最悪、死につながる要因となっている。自宅や屋外でちょっとしたことから転倒、骨折して入院すると、病院では再度の転倒防止のため、体を動かすことを制限することが多い。そうなるとあれよあれと衰弱し、死亡につながるケースが増えている。骨折による入院で認知症を発症することもあるから要注意だ。 澤田氏は「転倒による骨折はだれにも起こり得るリスクです。健康長寿のためには、大転子法を活用して、転倒する前に予防をしていくことが大切です」と呼びかけている。