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こんな風邪の症状に試してほしい麻黄湯

こんな風邪の症状に試してほしい麻黄湯
エイジングケア
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「更年期に入ったころから、風邪をひきやすくなった」と感じることはありませんか?

そのような風邪のひき始めには、漢方薬の「麻黄湯(まおうとう)」が役立つかもしれません。この記事では、麻黄湯がどのような特徴を持ち、どんな症状に適しているのか、また注意点について詳しく解説します。家族で安心して使える選択肢として、参考にしてください。

麻黄湯とは?

麻黄湯(まおうとう)は、風邪による初期の症状を改善するために用いられます。
からだを温めて汗をかきやすくし、寒気や発熱、関節の痛みを伴う風邪の症状を和らげる漢方薬です。

生薬一覧

麻黄(まおう)

マオウ科のシナマオウまたはその他同属植物の地上茎。
主要薬理作用は発汗作用、解熱作用、鎮咳作用、利尿作用、鎮痛作用。

桂皮(けいひ)

クスノキ科のシナニッケイまたはその他同属植物の樹皮、または周皮の一部を除いたもの。
主要薬理作用は発汗解熱作用、鎮静・鎮痙作用、抗菌作用、抗炎症作用、抗潰瘍作用、活性酸素生成抑制作用。

杏仁(きょうにん)

バラ科のホンアンズ、アンズまたはその他近縁植物の種子。
主要薬理作用は解熱作用、気管平滑筋弛緩作用、鎮咳作用、抗炎症作用、駆虫作用、殺菌作用。

甘草(かんぞう)

マメ科のウラルカンゾウ、スペインカンゾウまたはその他同属植物の根及びストロンで、ときには周皮を除く。
主要薬理作用は鎮静、鎮痙作用、鎮咳作用、抗消化性潰瘍作用、抗炎症作用、肝保護作用、抗アレルギー作用、子宮筋収縮抑制作用。

これらの成分が体内のバランスを整え、風邪の初期症状にアプローチするのが麻黄湯の特徴です。

麻黄湯は風邪のひき始めに

風邪の症状がひどくなる前に麻黄湯で早めに対応することで、からだへの負担を減らせます。とくに、冷えを伴う風邪に適しています。

麻黄湯が効く風邪の主な症状

以下のような症状があるときに、麻黄湯が効果的です。

発熱と寒気

熱が出てからだがゾクゾクする風邪に適しています。からだを温め、汗をかかせて熱を逃がします。

咳や痰が絡む症状

のどが乾燥して咳が出る初期症状におすすめです。気管支を広げ、呼吸を楽にします。

筋肉痛や関節痛を伴う場合

麻黄湯は、からだの節々が痛むときにも役立ちます。これは、からだを温めることで血流がよくなり、痛みが和らぐからです。

更年期になると、体温調節がうまくいかなくなり風邪をひきやすくなることがあります。
麻黄湯はそんなときにもサポートとなる漢方薬です。

麻黄湯の副作用と注意点

麻黄湯は一般的には安全な漢方薬ですが、体質や服用量によっては副作用があらわれることがあります。麻黄湯の服用に適しているのは、比較的体力がある人や体力が充実している人です。

麻黄湯の主な副作用

次のような症状が出た場合は、すぐに服用を中止して医師に相談しましょう。

  • 皮膚のかゆみや発疹
  • 吐き気や胃のむかつき
  • 発汗過多、全身の脱力感
     

麻黄湯の重篤な副作用

まれに次のような重篤な副作用が出ることがあります。

偽アルドステロン症、ミオパチー

手足のだるさ、しびれ、つっぱり感、こわばりがみられ、力が抜ける感じ、こむら返り、筋肉痛があらわれて、だんだん強くなる。

これらの症状がでた場合は、すぐに医師の診察を受けてください。

使用時の注意点

麻黄湯を服用する際は、以下の点に気を付けてください。

  • 医師の治療を受けている人
  • 妊婦または妊娠していると思われる人
  • 胃腸の弱い人
  • 発汗傾向の著しい人
  • 高齢者
  • 今までに薬などにより発疹・発赤、かゆみ等をおこしたことがある人
  • 次の症状のある人 むくみ、排尿困難
  • 次の診断を受けた人 高血圧、心臓病、腎臓病、甲状腺機能障害

麻黄湯は即効性がある一方で、長期間使う薬ではありません。症状が改善しない場合は別の治療法を検討しましょう。

漢方薬は専門家に処方してもらうのがベスト

漢方薬は、体質に合わせて選ぶことでより効果を発揮します。同じ症状であっても、体質が異なると使用する漢方薬も異なるのです。どんな漢方薬が自分に合っているのかを判断するのは難しいため、専門家に相談するのがおすすめです。

「あんしん漢方」では、オンラインで簡単にあなたに合った漢方薬を選ぶサービスを提供しています。忙しい毎日のなかで、家にいながら漢方薬の専門家に相談・注文できるので気軽に漢方薬を試すことができます。

麻黄湯で風邪の症状を早めにケア

麻黄湯は、風邪のひき始めに適した漢方薬です。
とくに発熱や寒気、咳や筋肉痛などの症状が気になるときに効果が期待できます。
ただし、体質に合わない場合や副作用があらわれた場合は、すぐに使用を中止し、医師や薬剤師に相談することが大切です。
症状に合った漢方薬を早めに使用することで、風邪の負担を軽くしましょう。
 

解説・執筆者
あんしん漢方薬剤師
碇 純子
薬剤師。漢方薬生薬認定薬剤師 。理学博士、薬学修士。神戸薬科大学大学院薬学研究科、大阪大学大学院生命機能研究科修了。漢方薬の作用機序を科学的に解明するため、大阪大学で博士研究員として従事。現在は細胞生物学と漢方薬の知識と経験を活かして、漢方薬製剤の研究開発を行う。