人間の体には、つねに引力(重力)がかかっていて、それに抗(あらが)う力によって均衡が保たれている。この「抗う力」を私たちは意識することはないのだが、その力を意識的に知ることで、自動的に健康を手にすることができる—と説く本が話題だ。
「体の矢印」を意識する
『読むと「全自動」で健康になるすごい本』(KADOKAWA刊、1540円)では、著者が“体の矢印”と呼ぶ、体が発している12の力=別項=を意識し、整えることで、自然に身に付く健康上のメリットだと説明するのだ。著者は「魔法の手を持つ伝説の整体師」といわれる奥中伸氏=写真。一般的な対症療法ではなく、物理的、人体力学的に理にかなった教育的アプローチで知られる。本書では、著者の理論の主柱である「体の矢印」の理論を紹介しながら、人間が本来持っている「健康になるための能力」を呼び覚ますテクニックを伝えている。
「骨盤を回転させる」効果
たとえば「骨盤を回転させる」という行為を著者は推奨する。ただこれだけのことで骨盤の背骨側の位置が上がり、一方で重力で下がろうとする力の狭間で背骨は押しつぶされ、結果として理想的なS字が形成されて姿勢が改善し、あらゆる不調の原因が取り除かれるというのだ。 このように体の一部の動きを改善することで、連動する各部位が順に「よい方向」に向かっていく、これを著者は「体の矢印」と呼び、この矢印を知るだけで、自動的に健康が転がり込んでくる—というのが本書の骨子なのだ。
「8の字」の姿勢の秘密
「体の中にある力の方向が一つにまとまって安定すると、矢印が“8の字”になります。骨盤の回転によって背骨が潰されて、胸が上がって矢印が循環する“8の字”になるのですが、この事実を知って、それまで持っていた“よい姿勢”の概念が覆されました」と語るのは、編集を担当したKADOKAWAビジネス編集部の小林徹也氏。 無理に姿勢をよくしようとする努力はかえって有害で、「体の矢印を知ること」の重要性を広く知ってもらうため、カバーのソデには〈『背筋を伸ばせ』はウソだった!〉という衝撃的なコピーも躍る。
健康を求める人への一冊
「いまより少しでも健康になりたい人には自信をもってお勧めします。特に、鏡に映る自分の姿勢が気になる人や、よい姿勢を保とうと頑張っている人は、得るものが多いはずです」と小林氏。 「読む整体」と呼ばれる本書は、8月末の発売以来順調に売れ行きを伸ばし、すでに3刷を達成している。
「体の矢印」が整うことで「全自動」で起きるメリット
- 健康診断の結果が良くなる
- こりや痛みが改善する
- 慢性的な不調が改善する
- ご飯がおいしくなり快便になる
- 夜ぐっすり眠れるようになる
- 見た目が実年齢より若くなる
- 呼吸が深く、息切れしなくなる
- 健康寿命が延びる
- イライラやストレスがなくなる
- 気持ちも行動も前向きにオープンになる
- すべてを受け止める人になる
- 完全無欠の完全体になれる