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じんましん(蕁麻疹)を軽くしたいときに試したい漢方薬「十味敗毒湯」

じんましん(蕁麻疹)を軽くしたいときに試したい漢方薬「十味敗毒湯」
エイジングケア
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最近、じんましん(蕁麻疹)に悩んでいませんか?
更年期を迎えると、ホルモンバランスの変化やストレスで、かゆみや肌荒れが気になることがあります。
そんなとき、頼りになるのが漢方薬「十味敗毒湯(じゅうみはいどくとう)」です。
この記事では、十味敗毒湯の効果や注意点について詳しく解説していきます。

十味敗毒湯とは?

十味敗毒湯は、10種類の生薬が皮膚から膿などの毒素を排出させることから名付けられました。皮膚の炎症やじんましん、うみを持つような皮膚症状などに処方されることが多い漢方薬です。

十味敗毒湯を構成する生薬は以下の通りです。

生薬一覧

桜皮(おうひ)

バラ科のヤマザクラ、またはカスミザクラの樹皮。排膿作用があり、化膿を改善します。

防風(ぼうふう)

セリ科のボウフウの根茎。主な薬理作用は、抗炎症作用、鎮痛作用、血液降下作用。さまざまな痛みや皮膚の不調に効果的です。

茯苓(ぶくりょう)

サルノコシカケ科のマツホドの菌核で通例、外層をほとんど除いたもの。主要薬理作用は利水作用、腎障害改善作用、抗炎症作用、鎮吐作用。

独活(どっかつ)

ウコギ科のウドの根茎。主要な薬理作用は血管拡張作用、消炎作用、鎮静作用、浮腫の軽減作用。からだのしびれ、痛み、冷え、運動障害、軽度の浮腫に用いられます。

川芎(せんきゅう)

セリ科のセンキュウの根茎を、通例、湯通ししたもの。主な薬理作用は末梢血管拡張作用、抗血栓作用、中枢抑制作用、鎮痙作用、腸管血流量増加作用、皮膚温上昇作用。

生姜(しょうきょう)

ショウガ科のショウガの根茎。主な薬理作用は鎮痛作用、鎮咳作用、鎮吐作用、健胃作用。風邪や胃腸の不調に用いられます。

柴胡(さいこ)

セリ科のミシマサイコの根。主な薬理作用は、肝障害改善作用、抗炎症作用、中枢抑制作用。肝障害や炎症を主訴とする小柴胡湯や、精神不安を主訴とする柴朴湯などに配合されます。

荊芥(けいがい)

シソ科のケイガイの花穂。主な薬理作用は、解熱、消炎、鎮痛作用。皮膚疾患に用いられます。

桔梗(ききょう)

キキョウ科のキキョウの根。主な薬理作用は、去痰作用、排膿作用、抗炎症作用、鎮咳作用。皮膚の炎症を抑え、アレルギー体質を改善します。

甘草(かんぞう)

マメ科の甘草の根。主な薬理作用は、鎮静作用、鎮咳作用、抗炎症作用。皮膚のかゆみを和らげ、炎症を緩和します。

これらの生薬が互いに補完し合い、からだ全体のバランスを整えることで、じんましんや湿疹といった皮膚トラブルに効果を発揮します。

皮膚トラブルの漢方薬
 

十味敗毒湯はとくに、皮膚のトラブルやかゆみ、炎症を抑える作用があります。また基礎研究レベルでは女性ホルモンの分泌を促進する効果が確認されており、肌の調子を整えると考えられています。

過剰な皮脂分泌や炎症を抑える働きがあるため、肌のかゆみや赤みの改善にも役立ちます。

十味敗毒湯の副作用と注意点

漢方薬は自然の成分からできているため、比較的副作用が少ないですが、いくつかの副作用が報告されています。

副作用

発疹、発赤、かゆみ、蕁麻疹、食欲不振、胃部不快感、悪心、下痢など

注意点

次の人は服用前に医師、薬剤師または登録販売者に相談してください。

  • 医師の治療を受けている人
  • 妊婦または妊娠していると思われる人
  • からだの虚弱な人(体力の衰えている人、からだの弱い人)
  • 胃腸の弱い人
  • 今までに薬などで発疹・発赤、かゆみなどを起こしたことがある人

1カ月程度(化膿性皮膚疾患・急性皮膚疾患の初期に服用する場合には1週間程度)服用しても症状がよくならない場合は服用を中止し、医師、薬剤師または登録販売者に相談してください。

漢方薬は専門家に処方してもらうのがベスト

漢方薬は、体質や症状に合わせて選ぶことが大切です。
自己判断で服用すると、期待した効果が得られないばかりか、体調を崩す可能性もあります。そのため、信頼できる専門家に相談することをおすすめします。

たとえば、「あんしん漢方」というサービスを利用すれば、自分の体質に合った漢方薬をオンラインで選んでもらえます。
漢方に精通した薬剤師がAIを駆使し、あなたの体質や症状に合わせて漢方薬を提案。自宅にいながら、自分に合った漢方薬をリーズナブルな価格で受け取れるサービスです。

十味敗毒湯で肌トラブルをケアしよう

十味敗毒湯は、じんましんや湿疹など皮膚のトラブルを抱える人にとって、頼もしい漢方薬です。
ただし、どんな薬でも副作用や注意点は存在します。この記事に書かれていることに気を付けて、正しく服用しましょう。

解説・執筆者
あんしん漢方薬剤師
碇 純子
薬剤師。漢方薬生薬認定薬剤師 。理学博士、薬学修士。神戸薬科大学大学院薬学研究科、大阪大学大学院生命機能研究科修了。漢方薬の作用機序を科学的に解明するため、大阪大学で博士研究員として従事。現在は細胞生物学と漢方薬の知識と経験を活かして、漢方薬製剤の研究開発を行う。