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安定しない月経を整えるときに試したい漢方薬

安定しない月経を整えるときに試したい漢方薬
エイジングケア
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40歳前後になってから、月経不順や気分の落ち込み、からだのだるさを感じることが増えていませんか?

「もしかして更年期かも…」と不安に感じる人も多いかもしれません。

更年期の体調変化は個人差がありますが、何も対策しないまま放っておくと、日常生活に支障をきたすことがあります。そこでおすすめしたいのが、漢方薬の「当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)」です。

この記事では、更年期の不調に対する当帰芍薬散の効果とその使い方、注意点などについて解説します。

当帰芍薬散とは?


当帰芍薬散は、古くから使用されている漢方薬のひとつです。とくに女性の体調を整えるために用いられます。

当帰芍薬散は血流を改善し、女性ホルモンに対する作用が期待できます。更年期に伴うからだの変調や月経不順にも効果があるため、多くの女性に支持されている漢方薬です。

生薬一覧

当帰(とうき)

セリ科のトウキまたはその他近縁植物の根で通例、湯通ししたもの。

主要薬理作用:鎮痛作用、抗炎症作用、中枢抑制作用、向精神作用、免疫系への作用、抗アレルギー作用、子宮に対する作用

芍薬(しゃくやく)

ボタン科のシャクヤクまたはその他近縁植物の根。

主要薬理作用:鎮痙作用、血流改善作用、鎮痛作用、子宮筋収縮抑制作用、記憶障害改善(空間認知障害に対する作用)

蒼朮(そうじゅつ)

キク科のホソバオケラの根茎。

主要薬理作用:抗消化性潰瘍作用、血糖降下作用、性ホルモン作用、抗炎症作用

沢瀉(たくしゃ)

オモダカ科のサジオモダカの塊茎で、通例、周皮を除いたもの。

主要薬理作用:利尿作用、バソプレッシン受容体拮抗阻害作用、アンジオテンシンII受容体拮抗阻害作用、降圧作用・血管拡張作用

茯苓(ぶくりょう)

サルノコシカケ科のマツホドの菌核で通例、外層をほとんど除いたもの。

主要薬理作用:利水作用、腎障害改善作用、抗炎症作用、鎮吐作用

川芎(せんきゅう)

セリ科のセンキュウの根茎を、通例、湯通ししたもの。

主要薬理作用:末梢血管拡張作用、抗血栓作用、中枢抑制作用、鎮痙作用、腸管血流量増加作用、皮膚温上昇作用

※「QLife漢方 生薬辞典」より
 

当帰芍薬散は更年期の症状の改善に


当帰芍薬散は、女性特有の不調に対して幅広く作用します。

代表的な効果は「月経不順」を整えることです。更年期になると、ホルモンバランスの乱れから月経の周期が不安定になりがちですが、当帰芍薬散は血流を改善し、ホルモンの働きを助けることで、周期を安定させます。

また、からだの冷えやむくみ、だるさにも効果があり、からだ全体を温めて血の巡りを良くするため、体調が安定しやすくなります。

当帰芍薬散の副作用と注意点

どんな薬でも、副作用が気になるところですよね。当帰芍薬散は、比較的副作用が少ないといわれている漢方薬ですが、いくつかの副作用が報告されています。

副作用

  • 皮膚の発赤・発疹
  • 皮膚のかゆみ
  • 食欲不振
  • 胃部不快感


1カ月程度服用しても症状がよくならない場合は服用を中止し、医師や薬剤師に相談しましょう。

注意点

下記に当てはまる人は必ず服用前に医師、薬剤師または登録販売者に相談してください。

  • 医師の治療を受けている人
  • 胃腸の弱い人
  • 今までに薬などにより発疹・発赤、かゆみなどを起こしたことがある人

また、生後3カ月未満の乳児は、服用しないよう注意してください。

漢方薬は専門家に処方してもらうのがベスト

漢方薬は、その人の体質や症状に合わせて処方されることが基本です。
同じ更年期の症状でも、個々の体質やからだの状態によって、最適な漢方薬は異なります。自己判断で市販の漢方薬を選んでも、効果が薄かったり、逆に副作用が出たりすることもあります。

そのため、漢方薬を試したい場合は漢方の専門家や医師に相談し、アドバイスをもらうことが大切です。最近では、オンラインで自分に合った漢方薬を簡単に見つけられる「あんしん漢方」というサービスもあります。漢方に精通した薬剤師がAIを駆使し、あなたの体質や症状に合わせて漢方薬を提案。自宅にいながら、自分に合った漢方薬をリーズナブルな価格で受け取れるサービスです。専門家の指導のもと漢方薬を取り入れることで、更年期の不調を効果的に改善できるでしょう。

 

当帰芍薬散で更年期の不調をケアしよう

更年期の不調は誰にでも訪れるものです。不調に対し、適切な対策を取ることで日常生活の質を向上させることができます。

当帰芍薬散は、月経不順や冷え、精神的な不調など更年期に伴うさまざまな症状の改善が期待できる漢方薬です。ただし、服用の際には注意点もあるため事前に専門家に相談することが大切です。

更年期の不調対策に、当帰芍薬散を検討してみてはいかがでしょうか。
 

解説・執筆者
あんしん漢方薬剤師
碇 純子
薬剤師。漢方薬生薬認定薬剤師 。理学博士、薬学修士。神戸薬科大学大学院薬学研究科、大阪大学大学院生命機能研究科修了。漢方薬の作用機序を科学的に解明するため、大阪大学で博士研究員として従事。現在は細胞生物学と漢方薬の知識と経験を活かして、漢方薬製剤の研究開発を行う。