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栄養補給をおいしく手軽に「バナナ生活のススメ」

栄養補給をおいしく手軽に「バナナ生活のススメ」
エイジングケア
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働く人たちの“果物不足”

しっかりと栄養を補給して暑さに負けない体づくりを目指したい人にとって、果物は強い味方になってくれます。管理栄養士でフードコーディネーターとして活動している渥美まゆ美さんに聞きました。

厚生労働省が健康増進法に基づき食物摂取量などの目標値を定める「健康日本21」において、果物の摂取目標が「1日当たり200グラム」とされているのをご存じでしょうか。「果物を食べる習慣なんてないよ」という人も多いかと思いますが、実際に日本人の摂取量はというと平均100グラムで、中くらいサイズのバナナ1本分程度と、低い水準にとどまっているそう。特に20~50代で不足が目立っているようです。

「いろいろと食のバリエーションがあふれているということが影響していると思います。昔は限られていた中から甘いものを食べようと果物を選んでいましたが、今は食べ過ぎに注意するあまり、果物を食べる感覚がなくなってしまったのではないでしょうか」

渥美さんは、こう話します。管理栄養士として企業向けに行う健康セミナーでも、働く人たちの“果物不足”を実感するそうです。

ビタミン、ミネラル、食物繊維の3拍子そろい

「生活が慌ただしくて、朝も軽食で済ませる人が多いですね。そんな人こそ、栄養がギュっとつまった果物に目を向けてほしいです。加熱することなくそのまま食べられますし、健康を考える上でも、とても有効な食材だと思います」

甘いことから「食べると太りやすい」というイメージを持たれがちな果物ですが、食事全体の総エネルギー摂取量に注意すれば問題なし。渥美さんは、果物を積極的に摂取するメリットとして、ビタミンとミネラル、さらに食物繊維の3拍子がそろっていることだと解説します。

「なおかつ甘いので食が細い人でも補いやすい。過剰摂取に気を付ける必要はありますが、ビタミンなど、適量を食べることでの恩恵はとても大きいです」

イチ押しはバナナ

果物の中でも渥美さんのイチ押しはバナナ。①食物繊維・難消化性デンプンなどによる整腸作用②豊富なカリウムによる代謝促進作用③ブドウ糖、果糖などを摂取するエネルギー補給—という健康作用が期待できると言います。

「特に整腸作用に着目してほしいです。腸の環境を整えるために必要な善玉菌を増やす助けになる食物繊維とオリゴ糖が入っています。さらに『幸せホルモン』とも呼ばれるセロトニンの原料となるトリプトファンが豊富。朝に食べると、昼間は活動的に過ごせて、夜は深い眠りにつきやすいホルモンにかわってくれるという、健康の維持のための好循環が生まれます」

バナナは年間を通して流通しており、スーパーマーケットやコンビニエンスストアでも手ごろな価格で入手可能なのもポイントです。日本バナナ輸入組合では、バナナを日常の生活でベースとなるフルーツとして活用してほしいと、「バナナでフル活」と題してプロモーションに取り組んでいます。

「ダイエット時の空腹しのぎにもいいですし、手に入れやすさがありながら栄養も豊富。胃腸への負担が少なく吸収も早いので、効率よく体に効いてくれます」

輪切りにして冷蔵庫に保管、スムージーも美味しい

バナナは常温で置いておくと黒くなるので買わない、という人には「輪切りにして冷凍庫に入れておいて、ほしくなったときに食べられるようにしましょう」と渥美さん。

「もみほぐしたバナナを牛乳や豆乳と混ぜて、スムージーのようにして飲んでもおいしいですよ。いつ食べるかについては、朝でもおやつ代わりでも大丈夫です。ライフスタイルは人それぞれですから、どのタイミングであれば食べられるかを考えてみてください」

果物は食欲が落ちがちな夏の時期も強い味方となってくれそうです。

「夏になると水分補給への意識は高まりますが、微量栄養素が不足しがちです。汗をかくとミネラルが出てしまうので、果物によって失われたミネラルを補給してほしいです。体の代謝を回してくれる栄養素を果物で摂取しましょう」

果物を活用した健康的な食生活を、まずはバナナをベースにして始めてはいかがでしょう。

渥美まゆ美(あつみ・まゆみ)

管理栄養士、フードコーディネーター。大妻女子大学卒。保育園勤務、健保組合、大手料理教室の講師を経て2016年に「Smile meal」を設立。著書に『世界一ラクチンな栄養ごはん』(西東社)など。

執筆者
「健活手帖」 編集部