「脚力」と「血管力」が一生歩けるための鍵を握る
〈百歳まで歩ける人〉。タイトルのこの冒頭部分にまず引かれる。単に100歳まで生きられればいいというのではなく、ずっと「歩く」ことに目標に掲げているわけだ。年齢を重ねても、自分の足でしっかり地面を踏みしめて歩く。抗加齢医学研究の第一人者が「脚力」と「血管力」をキーワードに一生自分の脚で歩ける方法を解説してくれるのが本書である。
愛媛大学大学院抗加齢医学講座教授で愛媛大学医学部附属病院抗加齢・予防医療センター長の伊賀瀬道也医師=写真=は、「脚力」と「血管力」が一生歩けるための鍵を握ると、本書『百歳まで歩ける人の習慣 脚力と血管力を強くする』(PHP研究所刊、1210円)で解説、そのためのウオーキング法や生活習慣をわかりやすく説く。
脚力と血管力には関連あり
まずは「脚力」。年齢を重ねても、食事やトイレ、入浴など、自分の面倒を自分でみられること、それが健康寿命の維持につながる。座りっぱなしや車だけの移動など面倒がって「歩かない」生活こそがやがて歩けなくなることに直結する。
もうひとつの「血管力」。伊賀瀬医師らの研究によると、「血管力が低い」場合には、「脚力が弱い」傾向があると判明。さらには、歩行速度の低下が、とくに下肢の動脈硬化の増加と関連することもわかってきたという。
歩く効果とポイント
脚力と血管力の低下を防ぐためには、とにかく日頃から自分の足でよく歩くこと。本書が紹介する「歩く」効果やポイントの一例はこうだ。
- 目標は「1日6000歩」
- 歩けばうつや認知症の予防につながる
- 歩くことで痛みや不安が解消される
- 歩くことで脳や腎機能の働きが改善され、血圧も下がる
- 歩くことはがんの予防につながる
正しく歩くことが健康寿命を延伸
伊賀瀬医師が語る。
「いまや人生100年時代ですが、人の手を借りずに日常生活を送ることができる期間『健康寿命』は現在でも男性72歳代、女性75歳代で非常に短いことが問題です。この本を通してみなさんに強く伝えたいのは『特別な運動』ではなく毎日『正しく歩く』ことが健康寿命の延伸に最も大切であるという事実です。毎日の歩数の目安として2000歩で寝たきりを、5000歩で認知症を予防できるとのデータがあります」
100歳まで自分の足でしっかり歩くためにも、正しい歩き方を習慣づけていきたい。
百歳まで自分の足で歩くための習慣
- 歩く前に姿勢チェック…前かがみにならない
- 歩く前に血圧チェック…高血圧は転倒リスクも
- 歩くとき日光を浴びる…ビタミンDの活性化で骨粗鬆症を予防
- 歩く前は腹八分目…食後1時間ほどたってから
- 入浴…週5回以上の浴槽入浴で血管年齢を若く
- よく寝る…就寝中に脳内の老廃物を洗い流す
※本書から抜粋・要約