中高年になると、健康に対する意識が高くなります。健康は身体の状態を指すだけの言葉ではありません。精神的、社会的にも安定した健康な状態を維持したいものです。
この記事では、周囲と調和して健康的に過ごす方法を紹介します。日本人の2人に1人がかかる病気であるがんの早期発見に関する情報もありますので、参考にしてください。
中高年の健康に対する意識は?
中高年の健康に対する意識について、2024年に発表された資料から傾向を探ってみました。
50代の以上の男性の3割は「健康でない」と思っている
令和5年度の調査では、50代以上の男性の約3割、女性の約2割が自分は健康でないと思っているようです。
女性は50代を過ぎても、健康でないと思っている人の割合は他の年代と変化はありませんが、男性は健康でないと思っている人が増えています。
調子が悪くても3割以上は何もしない
上記の調査によると、調子が悪くても3割以上は特に対策はしていないと回答しています。
仕事の責任が増すなか、子育ての仕上げや介護の始まりなどがやってくる忙しい年代ですから、「健康どころでない」と思っている人も多いのかもしれません。
年齢を重ねるにつれて健康に力を入れる
内閣府が毎年実施している国民生活に関する世論調査(2023年11月実施)によると、「今後の生活で力を入れたいことは?」の質問の答えとして最も多かったのは「健康」でした。
50代からは7割以上、70歳以上になると8割の人が、健康に力を入れて生活したいと考えているようです。
中高年は健康が気になっている
つまり、50代を過ぎたら健康が気になり始めるけれど、なかなか対策ができていない人が多いことがわかります。
健康でなければ、人生の楽しみも半減。小さなことからでも健康に気づかう生活を始めたいですね。
健康は肉体だけでは成り立たない
健康について考えるとき、まずは体の状態を思い浮かべるかもしれません。でも、身体の数値などに以上がなくても、心の状態が不安定な場合は、決して健康とは言えません。
世界保健機関(WHO)によると、健康とは「病気でないこと」だけでなく、「身体的、精神的、社会的に完全に良好な状態」を指します。
例えば、ストレスにさらされて心に負担がかかると、ゆくゆくは体の不調を引き起こすことも考えられます。また、友人や家族とのつながりが希薄で孤独感が強いと、心身に影響が出ることもあります。逆に、信頼できる人たちと豊かな人間関係のなかで過ごしていれば、少々の体の不調も乗り越えられる場合もあります。
健康を目指すなら、精神的、社会的健康も意識していきたいものです。
健康でいるために心がけたいことは?
健康でいるための生活の指針として、いろいろな方法が提唱されています。ここでは肉体的健康だけでなく、精神的・社会的健康にも配慮した「日本生活習慣病予防協会」提唱の「一無、二少、三多(いちむ、にしょう、さんた)」を紹介します。
一無、二少、三多は、日常心がけたい生活習慣をわかりやすく表現した健康標語です。創設時の代表理事であった 池田義雄氏が1991年に提唱し、日本生活習慣病予防協会が普及啓発に努めています。具体的には、以下の項目で成り立っています。
- 無くしたい1つの項目
- 少なくしたい2つの項目
- 多くしたい3つの項目
一無(いちむ):無煙・禁煙
たばこの煙にはニコチンや活性酸素、一酸化炭素などをはじめとする7000種類の化学物質、250種類の有害成分が含まれており、そのうちの70種類以上には発がん性が確認されています。
二少(にしょう):少食・少酒
少食
「腹八分目に医者いらず」と昔から言われます。食べ過ぎを避け、適切な量の食事を心がけることは健康の基本です。
少酒
お酒の量を控えめにすることも大切です。過度な飲酒は多くの病気の原因となります。肝臓疾患や高血圧のほか、アルコール依存症になると精神に影響し、日常生活にも支障が出てきます。
三多(さんた):多動・多休・多接
多動
日常的に体を動かしましょう。無理な目標を立てずに、今より10分、体を動かすだけで大丈夫です。できることから始めましょう。
多休
しっかりと休みましょう。特に十分な睡眠は大切です。休息の不足は、体の回復を遅くし免疫力を低下させます。
「睡眠」だけでなく、仕事の合間や休日、夏休みや年末などに積極的に休息をとり、心身ともにリフレッシュする機会を設けましょう。
多接
多くの人と交流しましょう。社会とのつながりが少ない人は、通常より死亡リスクが1.9倍になるとの調査結果もあります。
もちろん、ストレスを感じる人と付き合えというわけではありません。「社会参加したくないのに無理して参加」しても、あまり意味はありません。自分がやりたいことをやり、ワクワクできる楽しみを見つけましょう。
健康診断は定期的に
健康診断は、さまざまな病気の早期発見・早期治療や、病気の予防を目的に行われます。
多くの病気は初期段階では症状が現れにくいものです。進行して発見されると命の危険や長期入院など、生活に大きく影響します。体の中で起きている変化やリスクを、早期に発見すれば、早期に治療が可能ですし、治療の選択肢も増えるでしょう。
また、定期的な検診は自分の健康に関心を持ち、生活を見直す機会にもなります。
パートナーとの関係も長生きに影響する?
先ごろ、2023年の人口動態調査が発表されました。以下は死亡者の年齢による集計です。男女・配偶関係を区別しなかった場合、最も死亡者が多かった年代は85歳から90歳でした。
これを男女と婚姻関係別に分けると
- 配偶者あり:男性 85~89歳 女性 80~84歳
- 未婚:男性 70~74歳 女性 80~84歳
- 死別:男性 90~94歳 女性 90~94歳
- 離別:男性 70~74歳 女性 80~84歳
となります。一般に男性よりも女性のほうが長生きと言われますが、配偶者がいる場合は男性の方が長生きです。
また、未婚や離別の場合、女性のほうが長く生きるという結果が出ました。
筆者の私見ですが、女性のほうが周囲とのコミュニケーションをはかるのが上手な傾向が関係しているのかもしれません。未婚や離別していても友人たちと楽しく過ごしている高齢女性と、妻との生活にやすらぎを感じている夫の姿が見えてくる気がします。
健康の状況は身近な人と共有したほうがいい
健康診断結果は「個人情報」です。 ですから、家族であっても「第三者」であり、見せる必要はありません。
しかし、健康は個人だけの問題ではなく、家族や周囲の人に影響を与えます。特に病気のリスクや検診結果は、可能な範囲で身近な人と共有しておくのがおすすめです。具体的なメリットを紹介します。
健康管理をサポートしてもらえる
例えば、健康診断の結果で腎臓の数値が悪かったり高血圧の兆候が表れている場合、一緒に食事をしている人が知っていれば、「お醤油はかけないでね」などと声がけできます。知らないで放置するより、食塩の取り過ぎを制御しやすくなります。
同様に食べ過ぎや運動不足などの生活習慣の改善も、身近な人のサポートがあれば楽になるでしょう。
また、身近な人が健康状態を知っていれば精神的な支えにもなります。自分の健康が周囲を安心させていると感じれば、健康管理も頑張れるでしょう。
病気の進行を早期発見できる
健康情報を共有していれば、身近な人にしかわからない変化を病気の兆候として発見できるかもしれません。
緊急時に対応できる
発作など緊急の事態が発生したとき、何が原因で、どんなリスクがあるのかを身近な人が知っていれば適切に対応できるでしょう。
服用している薬の情報なども身近な人に共有されていれば、救急搬送時にも早く正しい治療が始められます。特に高齢者や慢性疾患を持つ人の場合、身近な人が健康情報を把握していることが命を左右するかもしれません。
病気との戦いにスムーズに移れる
家族は第二の患者と言われます。病気にかかることは、身近な人にとっても大きな出来事です。患者が病気と向き合うと同時に、身近な人もまた病気を受け入れなければなりません。
病気が見つかったとき、できるだけスムーズに治療へと移行するには、事前に健康の状況を知っておいた方がいいでしょう。深刻な病気が発覚しても、身近な人がある程度状況を理解していれば、ショックの段階が短くなり冷静に治療に移れます。
がんのリスクを周囲に知らせるべき理由とは?
健康の状況は周囲の身近な人と共有するのがおすすめです。なかでもがんについては、万が一を考えて、ぜひ周囲とリスクを共有しておきましょう。その理由と、検査方法について紹介します。
がんは多くの人がかかる病気
がんは、日本人の死因の中で最も多い病気です。2023年度には38万人が死亡しています。これは毎日1000人以上が、何らかのがんで亡くなっているという数値です。一生のうちに1回以上がんになる人は、2人に1人。もはや、誰にでもリスクがあると言えるでしょう。
がんは早期発見によって、治療の成功率が上昇する病気です。しかし、がんリスクの検査はついつい後回しにしてしまいがちです。がん検診のスケジュールも、身近な人と共有しておくとよいでしょう。
がんの治療期間は長い
がんの治療は、早期発見ができたとしても、長期にわたることが少なくありません。厚生労働省の「令和2年患者調査」によると、がん治療に要した平均入院日数は、約19.6日です。これに平均2.4年の通院期間が加わります。再発や転移後の治療期間はこの数値に含まれません。
治療はがん細胞の除去手術や化学療法、放射線療法など多くの段階を必要とします。治療には副作用もあり、患者は不安と共に長期間過ごさなければなりません。患者だけでなく周囲の人も、入院など諸々の雑事に翻弄されるだけでなく、副作用に苦しむ患者を見守る必要があります。
がん治療には患者本人だけでなく、周囲の協力が欠かせません。がんとの長い戦いのなかでは、周囲の環境も、患者の治療経過に大きな違いを生みます。
対策型がん健診は5種類
日本のがん検診には、対策型と任意型の2種類があります。対策型のがん検診は、日本のがん死亡率の減少を目的として市町村や職場などで実施され、以下の5つです。
- 肺がん検診:1年に1回
- 胃がん健診:1年に1回
- 大腸がん検診:1年に1回
- 乳がん検診:2年に1回
- 子宮頸がん健診:2年に1回
任意型がん健診は自分の状況に応じて選択
任意型のがん健診は、医療機関などが任意で提供する医療サービスです。
基本的には受診者の全額自己負担ですが、健康保険組合によっては補助金が出たり、国民健康保険では自治体によって助成金制度が設けられている場合もあります。様々な検診方法があり、自分の生活や仕事環境などの状況に合わせた検診を受けられるという利点もあります。
胃や大腸の内視鏡や、乳腺超音波検査などは任意型がん検診です。
がんリスク検査ペアセットでパートナーと情報共有を
最近は、検査セットでがんリスクを確認する人も増えています。
例えば、「健活手帖がんリスク検査ペアセット」は、男性用のがんと女性用のがんの検査キットがセットになっています。自宅で簡単に検査ができるので、健診に行く時間がとれない人でも手軽に行えるのが利点です。医療機関に行かなくても、自宅で自分で採血し、がんのリスクを確認できます。
同じキットを使って男女2人で検査を行えるので、お互いの体調に関心を持つきっかけにもできます。男性だけ女性だけのセットより、割安なのもうれしいですね。
結果を共有して、今後のパートナーとの暮らし方を話し合えば、絆も強まるでしょう。
健康リスクを身近な人と共有しておこう
病気や健康は個人の問題ではなく、家族やパートナーとも深く関わるものです。特に中高年は、自分の健康を気にするだけでなく、パートナーや家族の健康状況も意識しておいた方がいいでしょう。
家族に健康の状況を共有しておけば、多くのメリットもあります。周囲の人との関係も健康に大きな影響を与えます。
特にがんは、多くの人がかかる病気のうえ、早期発見が生存率に大きく影響します。「健活手帖がんリスク検査ペアセット」のような手軽で信頼性のある検査ツールを活用すれば、気軽にパートナー同士で情報を共有しやすいですよね。大切な人と共に、お互いの健康を守る第一歩として、パートナーと検査してみませんか。
(参考)
男女共同参画局 令和5年度男女の健康意識に関する調査報告書
https://www.gender.go.jp/research/kenkyu/kenkou_r05s.html
人口動態調査 結果の概要|厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/toukei/list/81-1a.html
https://www.med.or.jp/forest/gankenshin/what/checkup/#type
一無、二少、三多とは? | 一無、二少、三多で生活習慣病を予防 | 一般社団法人 日本生活習慣病予防協会
https://seikatsusyukanbyo.com/main/yobou/02.php
患者調査|厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/kanja/20/inde
メットライフ生命調べ「がんに関するインターネット調査(2023年5月)」
https://www.metlife.co.jp/products/cancer/contents/about/
がん検診とは|知っておきたいがん検診https://www.med.or.jp/forest/gankenshin/what/checkup/#type
どんな検査があるの? | 健診・保健指導 | 全国健康保険協会 https://www.kyoukaikenpo.or.jp/g4/cat410/sb4020/