年齢とともに体調の変化を感じることが増えていませんか? 不調が続いたり、これまで経験しなかった症状が起きると、「がん」の前兆ではないかと心配になります。実際、日本では女性の2人に1人ががんにかかると言われており、誰にとっても無関係ではありません。この記事では、女性特有のがんを中心に詳しく説明し、そのリスクを減らすための方法も合わせて紹介します。
日本人の2人に1人はがんになる
がんにかかると、それが初期だとしてもショックなものです。2020年の統計をみると、一生のうち日本人の2人に1人は、何らかのがんになることがわかります。
男性特有のがんである前立腺がんは、ステージⅢまでに発見されれば10年後の生存率は90%近くあります。そのため、男性のがん死の主な原因にはなっていません。
【参考】前立腺がん発見時のステージによる10年後の生存率
- ステージⅠ 93.7%
- ステージⅡ 95.4%
- ステージⅢ 87.3%
- ステージⅣ 37.4%
では、女性特有のがんはどうでしょうか?
50代までは女性のほうががんになりやすい
以前の記事でも紹介したように、がんになりやすく死亡する人も多いのは男性です。しかし、50代まではむしろ女性のほうががんが多く、死亡数も少し多くなっています。
女性特有のがんは、がん死の主な原因
2020年に「女性ががんにかかった部位」と2022年に「がんで死亡した女性の原因となったがんの部位」について、上位5つを筆者が集計しました。
女性は、生涯を通じて女性特有のがんに罹患しやすく、死亡数も多い傾向があります。
女性特有のがんとは?
女性特有のがんについて、主なものをそれぞれ簡単に説明します。
乳がんの病態
乳がんは、日本の女性に最も多いがんです。
乳がんの主な症状は乳房のしこりで、乳房にくぼみができる、乳頭や乳輪がただれる、左右の乳房の形が非対照になる、乳頭から分泌物が出る、などの症状もみられます。
乳がんが進行した場合、乳房の切除も視野に入れなければならないことがあります。
乳がんのリスク要因
乳がんのリスク要因は以下の通りです。
- 初経年齢が早い
- 閉経年齢が遅い
- 出産歴がない
- 初産年齢が遅い
- 授乳歴がない
- 閉経後の肥満
- 飲酒習慣
乳がん発見時のステージによる10年後の生存率
また、乳がん発見時のステージによる10年後の生存率は以下の通りです。
- ステージⅠ 94.1%
- ステージⅡ 86.6%
- ステージⅢ 62.7%
- ステージⅣ 16.9%
子宮がん
子宮がんは、子宮頸がんと子宮体がんに分かれます。子宮には上部の袋状の「子宮体部」と子宮の入り口である「子宮頸部」があり、子宮頸部は腟につながっています。
子宮頸がんの原因と病態
子宮頸がんは、ヒトパピローマウイルス(HPV)感染が関係しています。HPVは性交渉により感染しますが、多くは免疫によって排除されます。
HPVが排除されず感染が続くと、CIN(子宮頸部上皮内腫瘍)やAIS(上皮内腺がん)という、がんになる前の状態を経て、がんになります。この状態では症状はありません。
進行すると、月経以外や閉経後に出血がみられ、においを伴う濃い茶色や膿のようなおりもの、水っぽいおりものや粘液がたくさん出る場合があります。
子宮頸がんのリスク要因
子宮頸がんはウイルスが原因とされるものが多いので、予防接種を受けないことがリスクになります。また、喫煙によりリスクが上昇します。
子宮頸がん発見時のステージによる10年後の生存率
子宮頸がん発見時のステージによる10年後の生存率は以下の通りです。
- ステージⅠ 91.6%
- ステージⅡ 71.8%
- ステージⅢ 52.5%
- ステージⅣ 19.0%
子宮体がんの病態
子宮体がんの最も多い自覚症状は出血です。月経の期間外や閉経後に出血がある場合、子宮体がんの場合があります。進行すると、下腹部の痛み、性交時の痛み、腰痛、下肢のむくみなどの症状がみられる場合もあります。
子宮体がんのリスク要因
子宮体がんには、エストロゲンという女性ホルモンに長期間さらされることが原因で発生するものと、エストロゲンとは関係ない原因で発生するものがあります。
エストロゲンが原因のがんは
- 出産経験がない
- 閉経が遅い
- 肥満
- 糖尿病
などで、発生リスクが高まります。
子宮体がん発見時のステージによる10年後の生存率
子宮体がん発見時のステージによる10年後の生存率は以下の通りです。
- ステージⅠ 91.9%
- ステージⅡ 82.6%
- ステージⅢ 65.2%
- ステージⅣ 17.4%
卵巣がんの原因と病態
卵巣がんは、自覚症状が出にくく、早期発見が難しいがんの一つです。服のウエストがきつくなる、下腹部にしこりが触れる、食欲がなくなったなどの症状をきっかけに受診し、卵巣がんが発見される場合もあります。
進行してから見つかることが多く、がんが大きくなると、膀胱や直腸が圧迫されて頻尿や便秘、脚のむくみなどが出ることがあります。
卵巣がんのリスク要因
卵巣がんのリスク要因は以下の通りです。
- 遺伝(BRCA1/BRCA2遺伝子の変異)
- 子宮内膜症
- チョコレートのう胞
- 月経不順
- 肥満
- 家族に卵巣がんになった人がいる
- 高脂質や高タンパクの食事
卵巣がん発見時のステージによる10年後の生存率
卵巣がん発見時のステージによる10年後の生存率は以下の通りです。
- ステージⅠ 85.5%
- ステージⅡ 61.8%
- ステージⅢ 29.2%
- ステージⅣ 14.6%
女性が、がんのリスクをさげるために覚えておきたいこと
がんのリスクを避けるためには、どんなことに気をつければいいのでしょうか? ここでは女性のがんに焦点を絞って、いくつか紹介します。
日本人のためのがん予防法(5+1)
- 国立がん研究センターをはじめとする研究グループが発表したがん予防法の指針は、がん対策の基本です。これは男性も女性も同じです。詳細はこちらの記事を参照してください。
タバコを避ける - お酒はほどほどに
- 食生活もリスクに注意
- 身体を動かす
- 適正体重を維持する
- 感染にも気を付ける
セルフチェックを行う
乳がんは「自分で見つけられるがん」です。乳がんのセルフチェックは月に一度、生理がある人の場合、出血が終わって4~7日後に行います。習慣的に自分のお乳の触り心地を覚えておき、何か変化があったら、迷わず医療機関を受診しましょう。
がん検診を受ける
がんの早期発見・早期治療には、がん検診も大切です。
女性特有のがん検診には以下の2つがあります。
乳がん検診
問診・マンモグラフィー検査を2年に1回
子宮頸がん検診
問診・視診・子宮頸部の細胞診・内診を2年に1回
がん検診は①一次検診(スクリーニング)②精密検査(二次検診)③がんの確定診断、の流れで進み、がんと診断された場合、治療に進みます。
がん検診は特に健康上の大きな問題を抱えていない、無症状の人を対象にした取り組みです。自覚症状があれば、すぐに医療機関を受診しましょう。
定期的ながんリスク検査は早期発見に有効
がんは早期発見で生存率が上がる病気です。しかし、女性のがん検診は2年に1回。セルフチェックを行っていたとしても、健診の間の期間にステージが進んでしまう人も少なくありません。
そんな中で最近注目されているのが自宅で簡単にがんリスクをチェックできる「がんリスク検査キット」です。血液を自宅で簡単に採取し、郵送するだけで、手軽にがんリスクを把握できます。
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女性は特有のがんにも注意|セルフチェックや検査キットで早期発見を
日本人女性の多くは、乳がんや子宮頸がんを経験します。50代までは、がんになるリスクは男性よりも高い傾向があります。特に乳がんは発見が遅れると乳房切除も必要です。ステージが上がるほど治療が難しくなるため、定期的な検診やセルフチェックが大切です。がんリスク検査キットも上手に利用しましょう。
【参考】
国立がん研究センター「がん罹患率の統計」(https://ganjoho.jp/reg_stat/statistics/stat/summary.html)
国立がん研究センターがん情報サービス(https://ganjoho.jp/public/index.html)
公益社団法人 日本婦人科腫瘍学会(https://jsgo.or.jp/public/)