中高年になると、健康への不安は誰もが感じるものです。これまで大きな病気もなく過ごしてきた人も、年齢を重ねるごとに体調の変化を実感し、「もしかして…」と不安がよぎることもあるのではないでしょうか。特に「がん」は、多くの人が避けたい病気。身近な人をがんで亡くしれば、なおさらでしょう。この記事ではまず、男性のがんに焦点を絞って、最新のデータに基づいた情報を紹介します。男性はもちろん、パートナーの健康を気遣う女性もぜひご一読ください。
がんは誰にとっても身近な病気
日本のがん死亡者数は、2022年には年間約39万人でした。この年の日本の死亡者は約157 万人なので「日本人の3~4人に1人が、がんで死亡している」計算になります。実際、日本人の2人に1人は、一生のうちに一度はがんの診断を受けるといわれます。特に男性は生涯で62.1%の人ががんになり、がんで死亡する確率も25.1%と高い傾向があります。
また、がんで死亡する人の数は年々増加しています。これは日本の高齢化も原因だと言われています。
年齢を重ねると、がんになりやすい?
がんは、遺伝子の異常が蓄積して発病することが多いとされています。年齢を重ねれば、それだけがんになりやすいのです。統計をみても、年齢を重ねるにしたがって、がんの死亡者数は上昇しています。
男性には前立腺がんが多い?
「男性に多いのは前立腺がん」と言われることがあります。たしかに、前立腺は男性にしかないので、前立腺がんは男性に特有の病気ですし、自覚症状がないうちに進行することが多いため、注意が必要です。しかし、男性に最も多く発生するがんではありません。
筆者が2022年にがんで死亡した人の病因を集計したところ、男性に最も多いがんは、50代前半までは大腸がん、それ以降は肺がんとなりました。
前立腺がんは、85歳以上になるまでは男性のがん死亡原因の上位5つにも入りません。前立腺がんへの注意を怠るのは厳禁ですが、他のがんについてもしっかりとした対策が必要です。
がんは治る病気?
「早期発見なら、がんは治りやすい病気」という言葉を聞いたことがありますか? ここで知っておきたいのは、がんの早期発見の場合、「治る病気」ではなく「治りやすい病気」だという事実です。
ここでは、男性に多い5つのがんについて、発見されたステージと10年後の生存率を紹介します。なお、ここで記すステージとは以下のような状態を指します。
- ステージⅠ:がんが筋肉層でとどまっている初期の段階
- ステージⅡ:がんが筋肉層を越え広がりつつある状態
- ステージⅢ:がんが他組織に広がり、転移が確認されはじめた状態
- ステージⅣ:がんが離れた臓器にも転移している状態
肺がん発見時のステージによる10年後の生存率
肺がんは小細胞肺がんと非小細胞肺がんに分かれます。
小細胞肺がん
- ステージⅠ 32.5%
- ステージⅡ 17.1%
- ステージⅢ 8.5%
- ステージⅣ 1.2%
非小細胞肺がん
- ステージⅠ 62.9%
- ステージⅡ 28.7%
- ステージⅢ 12.8%
- ステージⅣ 2.3%
胃がん発見時のステージによる10年後の生存率
- ステージⅠ 77.6%
- ステージⅡ 48.9%
- ステージⅢ 32.0%
- ステージⅣ 5.9%
大腸がん発見時のステージによる10年後の生存率
- ステージⅠ 80.4%
- ステージⅡ 69.8%
- ステージⅢ 61.2%
- ステージⅣ 11.1%
(※結腸がんは大腸がんの分類のひとつですので、ここでは紹介しません)
前立腺がん発見時のステージによる10年後の生存率
- ステージⅠ 93.7%
- ステージⅡ 95.4%
- ステージⅢ 87.3%
- ステージⅣ 37.4%
膵臓がん発見時のステージによる10年後の生存率
- ステージⅠ 31.4%
- ステージⅡ 10.3%
- ステージⅢ 3.2%
- ステージⅣ 0.6%
この数字をみると、たしかにステージが進む前に発見されれば10年後の生存率は高くなりますが、決して「がんは治る」と甘く見てはいけない病気だとわかります。しかも、ステージが進んでから発見された場合、治療にはかなりのリスクを伴うでしょう。
男性が、がんのリスクを下げるために覚えておきたいこと
がんにならないためには、どんなことに気をつければいいのでしょうか? 男性のがんに焦点を絞って、いくつか紹介します。
日本人のためのがん予防法(5+1)とは?
国立がん研究センターをはじめとする研究グループが発表したがん予防法の指針です。
簡単に紹介しましょう。
①たばこを避ける
たばこは多くのがんのリスクを高めます。自分が吸う人は専門家に相談し禁煙外来などの受診も検討しましょう。吸わない人も、たばこの煙(副流煙)を避けて暮らしましょう。
②お酒はほどほどに
飲酒は、肝細胞がん、食道がん、大腸がんとの強い関連が示唆されています。お酒を飲む場合は1日にエタノール23gくらい(日本酒1合、ビール大びん1本など)にしておきましょう。
③食生活のリスクにも注意
食生活では以下の3つに注意しましょう。
- 塩分をとりすぎない
- 野菜や果物を意識して食べる
- 熱い飲み物は冷ましてから
④身体を動かす
64歳以下では、1日60分歩くとともに息が弾む運動を毎週60分。65歳以上では、毎日40分の運動が推奨されています。
⑤適正体重を維持する
男性はBMI値21~27の範囲になるように体重を管理するのがよいとされています。
⑥感染にも気を付ける
機会があれば、肝炎ウイルスやピロリ菌などに感染していないかを調べて、自分のリスクを知っておきましょう。もし、ウイルスに感染していると判明したら、健診や定期的ながんリスク検査などで、がんの早期発見につとめる必要があります。
がん検診を受ける
がんの早期発見・早期治療には、がん検診が最も有効です。
胃や大腸、肺など、がんは場所によって特徴が違いますので、がん検診では、それぞれのがんを調べるのに適した検査が用意されています。
がん検診は一次検診(スクリーニング)、精密検査(二次検診)、がんの確定診断の流れで進み、がんと診断された場合、治療に進みます。
がん検診は特に健康上の大きな問題を抱えていない、無症状の人を対象にした取り組みです。自覚症状があれば、すぐに医療機関を受診しましょう。
定期的ながんリスク検査は早期発見に有効
がんは早期発見で生存率が上がる病気です。しかし、毎日の生活のなかでステージが進んでしまう人も少なくありません。
そんな中で最近注目されているのが、自宅で簡単にがんリスクをチェックできる「がんリスク検査キット」です。血液を自宅で簡単に採取し、郵送するだけでがんリスクを評価できるので、手軽にリスクを把握できます。
例えば「けんさdeけんかつ 男性用がんリスク検査キット【腫瘍マーカー4項目】」は、自宅で血液サンプルを採取するタイプの血液検査キットです。採取する血液は、わずか1滴。これで医療機関と同等の高精度な検査を実施します。確認できるのは、前立腺がん・肝臓がん・胃がん・大腸がん・すい臓がんなどのリスクがわかる4種類の腫瘍マーカー。結果はウェブサイトで確認できます。最新の医療技術を用いた検査で、正確なリスク評価が可能です。
がんは今でも怖い病気 リスクを減らす生活と早期発見を
がんのリスクは個人の年齢や生活習慣に左右されますが、早期発見と予防が可能です。がんは今でも多くの人にとって恐ろしい病気ですが、適切な生活習慣と早期発見により、リスクは大幅に減らせます。
特に、年齢を重ねるにしたがって、がんのリスクは高まるため、定期的なチェックが大切になります。その際、がんリスクチェッカー男性用キットは、自宅で手軽に利用できるので忙しい人にも、おすすめの製品です。
【参考】
1. 国立がん研究センター「がん罹患率の統計」https://ganjoho.jp/public/statistics/pub/statistics01.html
2. 国立がん研究センター「全がん協加盟がん専門診療施設の診断治療症例について 5年生存率、10年生存率データ更新」 (ncc.go.jp)https://www.ncc.go.jp/jp/information/pr_release/2019/0409/index.html
3. がん対策推進基本計画001077913.pdf (mhlw.go.jp)
4. 高齢者がんの統計 | 健康長寿ネットhttps://www.tyojyu.or.jp/net/topics/tokushu/koureisha-gann/gann-toukei.html
5. がん情報サービス がんの基礎知識がんという病気についてhttps://ganjoho.jp/public/knowledge/basic/index.html
6. 第4期がん対策推進基本計画(令和5年3月28日閣議決定)概要https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/001138877.pdf