メタボの原因は「停滞腸」
内臓脂肪症候群(メタボリックシンドローム)は動脈硬化にもつながり、時には命にかかわることも。肥満や内臓脂肪の蓄積は、腸の機能が低下した「停滞腸」が招くもので、これを改善することが、さまざまな健康につながるという。腸疾患治療の第一人者、松生恒夫医師=写真=の著書『腸の名医が明かす! 見た目スッキリ! 3週間で内臓脂肪がみるみる落ちる本』(宝島社刊、1100円)は、元気な腸へと導いてくれる1冊だ。
内臓脂肪を落とす「3週間ダイエット」
本書では、やっかいな内臓脂肪を落としていく方法を示し、3週間ダイエットの実現を目指す。そのために、松生医師が分かりやすい文章や見やすい図表で解説する。
まず内臓脂肪がなぜ放置したままではよくないのか、腸内細菌と肥満との関係性などについての知識が得られる。内臓脂肪を落とすこと、「腸管バリア」の強化の必要性についてよく理解した上で、主に食による内臓脂肪の落とし方、食べ方や食材選び、生活習慣などを章ごとに学んでいく。
腸管バリア強化・腸内細菌最大化の「5つのコツ」
ポイントとなるのが「腸管バリア機能」で、異常があると腸内細菌が十分に働けず、内臓脂肪もうまく落とすことができないという。本書では、腸管バリア強化と腸内細菌の健康効果の最大化のための「5つのコツ」を説いている。
①生卵で腸のエネルギー源を補給…生卵や生魚、生肉、発芽玄米に多く含まれるアミノ酸「グルタミン」は腸にとっての重要なエネルギー源
②発酵食品で善玉菌を味方につける…ヨーグルトや甘酒、みそなどの発酵食品には「人体に有益な働きをする微生物(善玉菌)」が含まれている
③食物繊維を1日20グラムとる…脂肪の蓄積を抑制し、高血糖を予防する「短鎖脂肪酸(特に酪酸)」を生み出す
④たっぷりの水分で腸を乾燥させない…腸まで水分を届け、便をやわらかくし停滞腸を改善するため多めの水分をとる
⑤「地中海和食」をベースにする…減量効果第1位という「地中海食」に、発酵食やグルタミン酸を含むだしなどを組み合わせ、松生医師オリジナルの食事法で腸管バリアの強化、腸内環境の改善につとめる
腸内環境を良くすると肥満を抑制
松生医師はこう語る。
「私は、胃・十二指腸内視鏡検査や大腸内視鏡検査を主な業務とする消化器内科専門医です。最近、『腸内環境を良くすること』が『肥満の抑制』につながることが明らかになりました。特に、水溶性食物繊維が腸内で分解されて産生される『酪酸』が『内臓脂肪蓄積の予防』に効果的であることが判明したのです。そこで腸内環境を改善して内臓脂肪を減らす方法を広く知っていただくためにまとめました」
腸に関する健康本は数多く発行されているが、内臓脂肪との関係がとてもわかりやすい。
内臓脂肪を落とす 生活習慣とセルフケア
- 1日3食をきちんととる→食事回数が少ないほどインスリンが出る
- 夕食は早め、軽めにする→インスリンが出続け、睡眠中に脂肪がたまる
- 食後にちょっと運動をする→運動は血糖値を下げる「即効薬」
- 腸ストレッチでやせる準備を万全に→大腸の老廃物と有害物質、ガスを排泄
- 季節を問わず腸の冷えに注意する→腸が冷える原因は寒さだけじゃない
- 体内時計に合わせて生活する→睡眠を含む人体の整理機能は体内時計が管理
※詳しくは本書を