女性の病気 漢方薬の効能図鑑

生理不順に負けないからだを作りたい「桂枝茯苓丸」

生理不順に負けないからだを作りたい「桂枝茯苓丸」
エイジングケア
文字サイズ

「桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)」という漢方薬をご存じですか?
ドラッグストアでもよく見かける桂枝茯苓丸は、比較的体力があり、生理不順や、頭はのぼせやすいものの下半身は冷える人などにおすすめの漢方薬です。

ただし、漢方薬は体質との相性が大切なため、自分の体質と桂枝茯苓丸が合っているのか、事前に見極めなければいけません。

この記事では、桂枝茯苓丸が効果を発揮する症状や副作用の有無について解説します。

 

桂枝茯苓丸とは?


桂枝茯苓丸は5つの生薬から構成されており、血行をよくして血行不良に伴う生理痛や肩こりなどの不調に働きかける漢方薬です。医療機関でもよく処方されます。

桂枝茯苓丸を構成する生薬は以下の通りです。

生薬一覧

桂皮(ケイヒ)

クスノキ科(Lauraceae)のCinnamomum cassia Blumeまたはその他同属植物の樹皮、または周皮の一部を除いたもの。主要薬理作用は発汗解熱作用、鎮静、鎮痙作用、抗菌作用、抗炎症作用、抗潰瘍作用、活性酸素生成抑制作用。

芍薬(シャクヤク)

ボタン科(Paeoniaceae)のシャクヤクPaeonia lactiflora Pallasまたはその他近縁植物の根。主要薬理作用は鎮痙作用、血流改善作用、鎮痛作用、子宮筋収縮抑制作用、記憶障害改善(空間認知障害に対する作用)。

桃仁(トウニン)

バラ科(Rosaceae)のモモPrunus persica BatschまたはPrunus persica Batsch var. davidiana Maximowiczの種子。主要薬理作用は抗炎症作用、血液凝固抑制作用、抗アレルギー作用、鎮痛、抗活性酸素作用、子宮収縮作用。

茯苓(ブクリョウ)

サルノコシカケ科のマツホドの菌核。主要薬理作用は抗腫瘍作用、腎障害改善作用、抗炎症作用、鎮吐作用、利水作用、胃運動機能促進作用。

牡丹皮(ボタンピ)

ボタン科(Paeoniaceae)のボタンPaeonia suffruticosa Andrews(Paeonia moutan Sims)の根皮。主要薬理作用は消炎・鎮静・鎮痛・駆瘀血(くおけつ)作用。

桂枝茯苓丸は生理不順の改善に


桂枝茯苓丸は、比較的体力があり、下半身は冷えるものの頭がのぼせやすい人に向いている漢方薬です。

滞った血液の流れを改善し、生理不順や生理痛の症状によく症状に用いられます。肩こりや頭痛、めまい、打撲、にきびなどの症状にも用いられることがあります。

桂枝茯苓丸の副作用と注意点

桂枝茯苓丸は副作用を起こすことが少ない漢方薬ですが、体質によっては以下のような副作用があらわれることがあります。

  • 発疹
  • 発赤
  • かゆみ
  • 食欲不振

このような症状があらわれた場合は使用を中断し、医師や薬剤師に相談してください。

また、まれに重篤な副作用として肝機能障害を起こす場合もあります。肝機能障害では、以下のような症状があらわれます。

  • 発熱
  • かゆみ
  • 発疹
  • 黄疸
  • 褐色尿
  • 倦怠感
  • 食欲不振

これらの症状があらわれた場合や、桂枝茯苓丸を1カ月程度服用しても症状がよくならない場合は服用を中止し、医師や薬剤師などに相談してください。

漢方薬は専門家に処方してもらうのがベスト

ドラッグストアや通販など手軽に購入できる漢方薬ですが、体質に合わせて選ぶことが重要です。同じ症状であっても、体質に合わない場合には、効果があらわれなかったり副作用を起こしやすくなったりするからです。

生理不順に用いられる漢方薬は、桂枝茯苓丸だけではありません。加味逍遙散(かみしょうようさん)や当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)など、別の漢方薬もあるため体力や体質に合わせて適切な漢方薬を選ぶ必要があります。

そのため、漢方薬を選ぶ際は、医師や薬剤師など漢方に詳しい専門家に処方してもらうのがベストです。

最近では、オンラインで悩みを相談し、薬剤師とAI(人工知能)の分析によって個人に合った漢方薬を提案してくれる「あんしん漢方」などのサービスも登場しています。

「自己判断で漢方薬を選ぶのは不安」という人は、利用を検討してみましょう。

 

体質を見極めたうえで桂枝茯苓丸を使用しよう

桂枝茯苓丸は、血行不良による生理不順や生理痛などの症状に用いられる漢方薬です。滞った血液の流れを改善することで、これらの症状に働きかけます。

ただし、妊娠中の方や授乳中の人、子供、高齢者、体調を崩していて体力に自信のない人の場合、漢方薬を服用する際には注意が必要です。自己判断で使用せず、事前に医師や薬剤師などに相談しましょう。

漢方薬は、体質に合っていないと効果が感じられないだけでなく副作用を引き起こす可能性もあります。生理不順に用いられる漢方薬はほかにもたくさんあるため、漢方薬を服用する際は医師や薬剤師などプロに相談することをおすすめします。

解説・執筆者
あんしん漢方薬剤師
碇 純子
薬剤師。漢方薬生薬認定薬剤師 。理学博士、薬学修士。神戸薬科大学大学院薬学研究科、大阪大学大学院生命機能研究科修了。漢方薬の作用機序を科学的に解明するため、大阪大学で博士研究員として従事。現在は細胞生物学と漢方薬の知識と経験を活かして、漢方薬製剤の研究開発を行う。