いま、私たちの周りには、たくさんの甘味料が使われています。「カロリーゼロ」をうたう甘味料も多く発売されていますが、安易に飛びつくのはちょっと待ってください。短期的にはカロリーを抑えられるかもしれませんが、長い目で見ると体重管理にはマイナスのことをしているかもしれません。
甘味料の選び方にはWHO(世界保健機関)も警鐘を鳴らしています。この記事では、世に出回っている甘味料を網羅的に紹介します。それぞれ長所と短所がありますから、自分にあったものを選びましょう。
天然物由来と合成甘味料がある
同じ甘味といっても、自然界にもともとある天然物由来のものと、化学合成で生成された物の2つに分かれます。カタカナが並んでいる名前でも、合成品ではないものもありますので、現在多く使用されている甘味がどのようなものなのか、これから詳しく解説していきます。食品の成分表示などを読む際の参考にしてください。なお、文章中に示したエネルギーのうち出典を明記していないものは日本食品成分表(八訂)増補2023年を参照しました。
天然由来の甘味
天然の甘味は砂糖のほか多くの種類があります。それぞれの特徴を知って上手に付き合いましょう。
砂糖とその仲間
サトウキビやテンサイを原料とし、主成分は砂糖です。肉を柔らかくしたり保存性をよくする性質があります。砂糖
サトウキビやテンサイを原料とした甘味で、ショ糖やスクロースと呼ばれる物質です。似た名前のスクラロースは合成甘味料なので間違えないようにしましょう。加熱すると、ブクブクと泡をつくり、ふくれてカラメルの甘いにおいを出します。
サトウキビやテンサイの絞り汁から苦味やアクを取り除き精製した糖で、ミネラルはほとんど含まれていません。テンサイにはオリゴ糖が多く含まれ、腸内環境を整えやすいと言われています。
グラニュー糖は、砂糖をグラニュール=顆粒状にして固まりにくく取り扱いやすくしたものです。上白糖は1gあたり3.9kcal、グラニュー糖は3.9kcalです。
三温糖
三温糖は砂糖を加熱したカラメルを少量添加したもので、カラメルの風味があり料理にコクや深みを加えます。精製した砂糖なので、ミネラルは残っていません。1gあたり3.9kcalです。
黒砂糖
サトウキビを搾(しぼ)って固めたものです。糖分の他にカリウム、カルシウム、鉄など多くのミネラル成分を含みますが、主成分は砂糖です。
一般的な黒砂糖には、さとうきびの搾汁を煮詰めて固めた「黒糖」と、砂糖にさとうきびのしぼり汁を混ぜて黒糖風味をつけた「加工黒糖」があります。黒糖は「純黒糖」と表示され、そのまま食べることもあります。1gあたり3.5kcalです。
和三盆糖
和三盆糖は、徳島や香川の在来品種であるサトウキビ「竹糖」を用いて作られた砂糖のことです。竹糖は、沖縄などで栽培されている一般的なサトウキビより細くて背も低く、大量生産には向きません。年1回収穫され煮詰めたものを搾り、職人が「研ぎ」という工程を繰り返して蜜を抜いて和三盆に仕上げます。
最近では、その上品な甘さとくちどけにファンも多く、高級な和菓子などで使われています。エネルギー量は砂糖と、ほとんど変わりません。1gあたり3.9kcalです。
天然の糖の仲間
砂糖とは違いますが、天然の糖類も販売されています。聞き慣れない名前の糖もありますが、自然界に存在する甘味です。
オリゴ糖
糖質の最小の単位である単糖(ブドウ糖や果糖、乳糖など)が2個から10個程度結びついたものをオリゴ糖と呼びます。消化しにくいので低エネルギーで、腸内細菌を増やしてお腹を整えると言われています。取りすぎると、腹痛やガス、下痢などの消化器症状を引き起こす可能性もあります。
市販されているオリゴ糖は、微生物が生産する酵素を使って作られています。カロリーは1gあたり2.3kcal(パールエース社HPより)です。
希少糖
糖にはいろいろな種類がありますが、自然界に存在する量が少ない糖の仲間を希少糖と呼びます。白樺に含まれガムに使われるキシリトール、干しぶどうなどに含まれるアルロースなど、現在、希少糖と呼ばれる糖は50種類が知られています。
希少糖は天然の存在量が少ないのですが、キシリトールの虫歯予防に対する効果など、現代人に役立つ様々な生理機能があることが解明されてきています。特に近年研究が進んだアルロースは「甘いのに血糖値が上がらないうえ、ダイエットにもうれしい天然の糖類」として注目、マスコミなどにも取り上げられるようになっています。
これらの希少糖は、天然の糖類を元に発酵などの工業的な方法で製造されています。キシリトールのカロリーは1gあたり3kcal(農畜産業振興機構HPより)、アルロースはなんと0kcal(松谷化学HPより)です。
糖アルコール
糖アルコールは、糖が一般的に持っているカルボニル基に水素を添加した構造を持つ糖質の総称です。前述したキシリトールも物質的には糖アルコールに分類されます。還元水飴やソルビトール、エリスリトールなど、聞き慣れないかもしれませんが、ドリンク剤など甘みの強い飲料の後味をスッキリさせるために大量に使われています。
糖アルコールは、後味に冷感があるものが多く、食べすぎるとお腹がゆるくなることもあります。ソルビトールは1gあたり3kcal、エリスリトールは同3kcal(いずれも農畜産業振興機構HPより)です。
その他の天然甘味料
その他、今までの分類に入らない天然由来の甘味を紹介します。
蜂蜜
蜂蜜は、紀元前6000年頃には人間が利用していたと言われています。ミツバチが花の蜜を集めて、ミツバチの持つ酵素と反応させて糖度を約80 %になるまで濃縮したもので、主成分はブドウ糖や果糖です。味わいは採れた花によって違います。
蜂蜜はミネラルを多く含み愛される甘味ですが、乳児には与えてはいけません。蜂蜜には、ごくまれにボツリヌス菌に混入することがあります。大人の場合、腸内細菌がボツリヌス菌より生存競争に強いため何も起こらないのですが、腸内細菌が未成熟な乳児はボツリヌス症という病気にかかることがあります。このため1歳以下の乳児には蜂蜜は与えてはいけないとされています。カロリーは100gあたり329kcalです。
メープルシロップ
メープルシロップは、サトウカエデの樹液を煮詰めて作る天然の甘味料です。カナダの名産品として知られていますが、日本でもよく使われています。カルシウムやマグネシウムのほか亜鉛やナトリウムなどのミネラルを含んでいて、蜂蜜に比べてエネルギー量が低いのが特徴です。
サトウカエデは極寒の場所で育ちます。凍らないように冬期には細胞内の糖度を上げ、るのですが、これを早春の時期に採取してメープルシロップに加工します。カロリーは100gあたり266kcalです。
ステビア
ステビアは、南米に自生するキク科の植物で、葉には強い甘みがあります。パラグアイでは、400年前からマテ茶などをステビアで甘くしていました。
砂糖の200~300倍の甘さがあり、クセが少なく自然な甘みを持っています。砂糖と同じ甘さにするにはごく少量ですむので、血糖値にも影響を与えません。安全性に関してもFDA(アメリカ食品医薬品局)や厚生労働省によって確認され、食品添加物公定書にも収載されています。カロリーは1gあたり4kcalです(守田化学HPより)。
果糖ぶどう糖液糖
芋やトウモロコシのでんぷんを、酵素でブドウ糖や果糖に変えた液状の糖です。
液糖に含まれている果糖がぶどう糖より多いものを「果糖ぶどう糖液糖」、果糖がブドウ糖より少ないものを「ぶどう糖果糖液糖」といいます。甘味度は砂糖とほぼ同じです。甘味がシャープで、低温で甘く感じやすいので、清涼飲料の原料として利用されています。カロリーは1gあたり2.8kcalです。
合成甘味料
天然由来に対して、合成によってもたらされる甘味料を紹介します。合成甘味料については「成人を対象とした数カ月の比較的短期間の研究では、人工甘味料の使用が多い方が減量効果を認めたが、年単位にわたる長期間の研究では、むしろ人工甘味料の使用が多い方が体重増加を認めた」という研究成果も出ています。2023年にはWHOからガイドラインも提示されました。ここでは、ガイドラインの内容も紹介します。
アスパルテーム
アミノ酸であるアスパラギン酸とフェニルアラニンから合成された甘味料です。砂糖に似た甘味があり、砂糖の200倍の甘さを持っています。炭酸・果汁系飲料には使用できますが、缶コーヒーには適性がありません。また血糖値や虫歯に影響しません。日本では1983年に食品添加物(指定添加物)となり使用基準は設定されていません。
2023年7月にWHO傘下の一機関である国際がん研究機関(IARC)が、4グループのうち、2B(ヒトに対して発がん性がある可能性がある)と分類しました。しかし、1日の許容量として設定されている体重1kgあたり0-40mgを変更する理由はない、としています。カロリーは1gあたり4kcal(味の素HPより)です。
スクラロース
1976年、イギリスで砂糖の研究の際に偶然見つかった物質がスクラロースです。砂糖の構造の水酸基を塩素に変える化学加工をしたもので、後述のアセスルファムKとともに、飲料などのゼロカロリー食品に幅広く使われています。
甘味は砂糖の600倍と言われますが、エネルギー量はゼロです。1999年に日本では食品添加物(指定添加物)となり、食品ごとに使用基準が定められています。
アセスルファムK
酢酸から作られたジケテンと水泳用プールの塩素を安定させるために使われる塩素安定剤、スルファミン酸、三酸化硫黄から合成される物質で、1967年にドイツで開発されました。
特有の苦みを感じることがあるので、スクラロースやアスパルテームと一緒に使用し、砂糖の甘味に近づけることが多いようです。エネルギ量はゼロで、日本では2000年に食品添加物(指定添加物)になりました。
合成甘味料に注意喚起したWHOのガイドラインとは?
WHOは2023年5月、人工甘味料の使用に関するガイドラインを発表しました。
このなかでは、体重管理や肥満の予防、または循環器疾患、がん、慢性呼吸器疾患、糖尿病などの予防のために甘味料(NSS)の摂取は推奨しないとされています。糖の誘導体でない甘味料(アセスルファムK、スクラロースなど)を使うのは推奨しないとされています。
さらにWHOの担当者は「体重コントロールを目指して糖の摂取を減らすには、自然に存在する糖分を含む食品や、無糖の食品・飲料を摂取するなど、ほかの方法を検討する必要がある」としています。
つまり「自然界に存在する糖か、糖を摂取しない方法」を選択する必要がありそうです。
糖質と上手に付き合うならアルロースがおすすめ
WHOのガイドラインに従ったうえで、体重管理をしたい人に甘味としておすすめできるのは希少糖である「アルロース」です。アルロースは自然界に存在する糖の仲間なので、WHOのガイドラインにも合致します。
また、アルロースには脂肪燃焼の効率を上げる効果があることもわかっており。体重が気になる人にはおすすめです。
アルロースを賢く利用して体重管理をしよう
甘味料には天然由来と合成甘味料があり、それぞれに特徴があります。天然の甘味料には砂糖やオリゴ糖、希少糖などが含まれ、特に希少糖の一種であるアルロースは注目されています。
アルロースは血糖値を上げず、脂肪燃焼効率を高める効果があるため、体重管理に最適です。WHOのガイドラインにも沿っており、自然な甘味として安心して使用できます。体重を気にする人にはアルロースがおすすめです。
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