【ベストセラー健康本】『93歳でわかったこと ひとり暮らしで元気に生き抜くための本』

【ベストセラー健康本】『93歳でわかったこと ひとり暮らしで元気に生き抜くための本』
予防・健康
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90代の現役介護職員が元気の秘訣を

現役で働き続ける90代の介護職員、細井恵美子さんが、元気の秘訣と自分らしく長く生きるための数々のヒントを与えてくれる。『93歳でわかったこと ひとり暮らしで元気に生き抜くための本』(興陽館刊、1210円)は、読むだけで、この先の人生に明るい光が差し込んでくるような気がする。

普通に暮らすことが一番の幸せ

細井さんは、「普通に暮らすことが、一番の幸せです」と記す。

病気をしたり時折、転倒したりしながらも、70年近く働き続け、日々を重ねること自体がすごいことで説得力がある。

本書で「元気で長生きするための大切な6つの心がけ」を掲げる。

元気で長生きするための大切な6つの心がけ

①きちんと睡眠

仕事の日は6時起床、平均7~8時間の睡眠時間をとる。

②食事を気づかう

朝食は、ご飯と味噌汁に主菜は卵や練り物、ハム、魚などのいずれかに生野菜や果物など。夕食は手間をかけ、肉類は150グラムを目安に週2回は摂る。

③健康チェック

体重や血圧を定期的に測定し自己管理。水分摂取にも気をつける。

④整容を気づかう

朝の簡単な化粧、服装は年齢より少し若くを基準に。

⑤体を動かす

日課は膝伸ばしを60回、日によって2セット。背筋伸ばしや腰上げ、4000歩以上の散歩なども。

⑥常に平静の心で

どんなときもしなやかな心で。何事も「ありき」と受け止め考える。

人間関係や病、介護、死も綴る

6つの心がけは、それこそが「普通」のように感じ取れるものかもしれない。だが、日々忘れたり実現できなかったりするかもしれない。そんなことをあらためて実感し読み進めるうちに、少しずつ細井さんの言う「普通に暮らすこと」が心の中に染み込んでくる。

書き綴るのは元気の秘訣にとどまらない。長く生きる中での人間関係、認知症、介護をすることされること、そして死。多くの人にとって人生の先輩である細井さんが、まだまだ続く人生の指針を示してくれるようだ。


細井さんは、こんなメッセージを寄せた。

「皆さんと一緒に頑張っている」

「17歳から看護師として働き、平成3年に定年を迎えました。毎日挨拶をしてきた人達の頭髪の白いものが気になります、笑顔にも年輪が刻まれています。『一緒に頑張りましょう』。言葉ではなく、約束したのだと気づきました。軸足を介護に移し、終わりのない職業だと気づきました、おばあちゃんとその息子さんも看取りました。あんたに出会えて、その一言に元気が出ました。『一緒に頑張ろう』、私も93歳、そう言える時間が少なくなります。日々思う事を書き留めて、皆さんと一緒に頑張っていると伝えたいのです」


そのタイトルが示すように、人生はどこまでも発見と学びの連続だ。

細井さんが実践する「すぐできる脳トレ術」

  1. 体操するときの掛け声を、「1、2、3」から「3、2、1」と逆に
  2. 後ろ向きに歩きながら(100(から3を順に引く
  3. 「京都新聞」ジュニア版の英語欄を音読したり書いたりする(ほかにも、記事の音読、心に響いた言葉の書き写しなども、脳トレとともに心の世界を広げる)
執筆者
ジャーナリスト
田幸 和歌子
医療ジャーナリスト。1973年、長野県生まれ。出版社、広告制作会社を経て、フリーランスのライターに。「週刊アサヒ芸能」で健康・医療関連のコラム「診察室のツボ」を連載中。『文藝春秋スーパードクターに教わる最新治療2023』での取材・執筆や、健康雑誌、女性誌などで女性の身体にまつわる記事を多数執筆。