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サプリ徹底講座(5)~隠れ鉄欠乏症で起きる頭痛、うつ症状に「ヘム鉄」を

サプリ徹底講座(5)~隠れ鉄欠乏症で起きる頭痛、うつ症状に「ヘム鉄」を
予防・健康
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軽い貧血でも頭痛やうつの原因に

子供の頃、ケガをして、自分の血をなめた経験はあるでしょう。鉄の味がしたに違いありません。鉄は赤血球のヘモグロビンにもっとも多く存在し、血の味は鉄の味になるのです。血液は体じゅうに酸素を運んでいます。

鉄は体の中に5グラム程度含まれていますが、実は、赤血球の中だけでなく、すべての細胞に含まれています。鉄には酸素を運ぶ働きと、電子を運ぶ働きがあります。このような働きができる金属は鉄しかありません。鉄は酸素を運ぶだけでなく、ミトコンドリアでエネルギーを作り出すために、電子を運ぶ働きもしています。

われわれは鉄が足りなくなると、すぐに鉄欠乏性貧血を思い出しますが、軽い貧血、いわゆる隠れ貧血でも頭痛の原因になり、神経細胞の中の鉄が足りないとうつ状態になることも分かっています。

生理の出血で多くの鉄分が失われる

鉄欠乏は若い女性にとっては、常に大きな問題です。女性は月1回やってくる生理によって、約40~50ミリリットルの血液が失われます。鉄は赤血球の中のヘモグロビンに含まれているので、生理の出血とともに体外に捨てられてしまうのです。

体の鉄が欠乏した症状は、最初に貧血として現れますが、その前に細胞のなかの貯蔵鉄が減り、ミトコンドリアの動きが悪くなり、特に脳神経に異常が現れます。それは頭痛、無気力、うつです。若い女性でうつ傾向があるとき、頭痛を訴えるときには貧血の詳しい検査が必要です。

ヘモグロビン値が正常でも起きる「隠れ貧血」

昔、お湯を沸かしていた鉄瓶の中で、溶け出していたのは無機鉄です。この無機鉄は毒なので無制限に体内に入らないように厳しく制限されています。

そして体の中で、血液中を流れない鉄はフェリチンに結合して、安全にすべての組織に蓄えられています。一般の血液検査では、血液の中を流れる鉄だけを測定します。すなわち鉄と結合しているヘモグロビンです。

そうしてヘモグロビンが低い時にだけ、貧血という診断を下します。しかし、ヘモグロビン値が正常でも、フェリチンが低い隠れ貧血が日本では見逃されています。

ヘム鉄は「胃腸にやさしい鉄」

鉄は、植物性食品からは1~5%しか吸収されません。鉄の吸収を促進させるためにはビタミンCの摂取がよく、一緒に飲むと効果的です。また、アルコールや果糖も鉄吸収を増加させます。

血の滴るステーキやレバーの鉄は、無機鉄ではなく、血液の中にあるヘモグロビンで包まれたヘム鉄です。これらの鉄は、タンパク質にくるまれた形で吸収されるため小腸からの吸収率は高く、胃腸障害を出しません。胃腸にやさしい鉄と言えます。

保険診療外のヘム鉄はサプリでとろう

無機鉄でもヘム鉄でもカルシウムによる吸収阻害があるので、食事の時に一緒に牛乳を飲むと鉄の吸収率はほとんど期待できなくなります。実際、無機鉄を処方すると、胃薬を一緒に出しても胃腸障害は50%を超えます。そのような場合にはヘム鉄のサプリメントが望ましいでしょう。

しかし、ここで問題が一つあります。ヘム鉄は保険診療では薬として処方できないのです。サプリメントとして利用するしかありません。

隠れ鉄欠乏性貧血は一般の検査ではわからないので、怖いです。頭痛やうつが、薬を飲んでも改善しない場合には、隠れ鉄欠乏貧血を疑わなければなりません。そして、病院で処方される鉄剤で胃腸障害を起こす場合にはサプリメントのヘム鉄が有効です。

解説・執筆者
脳外科医
氏家 弘
脳外科医。岩手医科大学卒業、東京女子医大で研修を積んだ後、2009~2017年、東京労災病院、脳神経外科部長。その間、脳神経外科手術と医工連携による医療機器の開発に没頭。2019年から氏家脳神経外科内科クリニック(東京・紀尾井町)院長を務め、鎌ケ谷総合病院でも手術を執刀する。