ヨガ 睡眠・不眠 更年期障害

【専門家監修】眠気に負けないからだをつくる

【専門家監修】眠気に負けないからだをつくる
エイジングケア
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日中に感じる強い眠気。もしかしたら、それは更年期のせいかもしれません。日中に眠気を感じると、集中力が落ちたりイライラしたりなど、生活にも支障が出ますよね。そんな更年期の症状はなんとか解消したいもの。

ここでは、「更年期の眠気に負けないからだづくり」についてご紹介します。更年期の症状を完全に避けるのは難しいかもしれませんが、対策・予防のためのからだづくりは可能です。

 

更年期に眠気が起こりやすい理由


更年期に眠気が起こりやすい理由のひとつとして、ホルモンバランスの変化が挙げられます。更年期に入ると、エストロゲンとプロゲステロンといった女性ホルモンの分泌が減少します。このホルモンの変動は、体温調節、睡眠サイクル、気分などに影響を及ぼし、とくにエストロゲンの低下は、睡眠の質を低下させ、深い睡眠を失いやすくなるといわれています。

また、更年期はホットフラッシュ(突然の発汗やほてり・動悸など)の影響で夜中に目覚める回数が増え、睡眠が断続的になることがあります。これにより、日中に強い眠気を感じる場合があるのです。さらに、ホルモンの変化により不安やうつ状態が引き起こされることがあり、これも睡眠に悪影響を与え、日中の眠気を増加させる一因となります。

【参考】
厚生労働省 e-ヘルスネット 「更年期障害」
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/heart/yk-081.html

ルネスクリニック東京「女性更年期障害」
https://biken-kai.com/renais-tokyo/menopause_woman/

更年期の眠気に効果のあるヨガポーズ3つ


更年期に眠気が起こりやすい理由がわかったところで、何か対策はあるのでしょうか。おすすめは、深い呼吸と穏やかな動きが特徴の「ヨガ」です。

ヨガは自律神経を整え、ストレス解消やリラックス効果によって睡眠の質の向上が期待できます。ここではそのなかでもとくにおすすめのヨガポーズを3つご紹介します。寝ながらできるポーズばかりなので、ぜひ、空き時間や就寝前に行ってみてください。

魚のポーズ

  1. 両脚をそろえて仰向けになる
  2. 息を吸いながら両手をお尻と床の間に入れる
  3. 息を吐きながら手のひらとひじで床を押して胸を天井に向けて持ち上げる。頭頂は床につけて肩の力は抜く
  4. 3~5呼吸ほどキープする
  5. 息を吐きながらゆっくり(1)の姿勢に戻る

ポイントは、胸を持ち上げたときに肩甲骨同士を寄せ合って胸を大きく開くことです。ただし、魚のポーズは頭を逆さまにするので、慣れていないと気分が悪くなったり、首に負担がかかる可能性があります。ポーズを実践する際はひじでしっかりからだを支えて、少しでも違和感を感じたら速やかに中断しましょう。

ワニのポーズ

  1. 仰向けに寝る
  2. 右脚を持ち上げて、ひざは90度に曲げる
  3. 両腕を肩の高さに広げる
  4. 息を吐きながら、右脚を左に倒して30秒ほどキープする。右の肩が床から浮かないところまで右ひざを床に近付け、顔を右に向ける
  5. 3~5呼吸ほどキープして、反対も同様に行う

不安でなければ目を閉じるとリラックス効果が高まります。ひざを床につけるよりも、肩が床から浮かないように意識しましょう。また、腰が反りすぎると腰痛が悪化する可能性があるので注意が必要です。

しかばねのポーズ

  1. 仰向けになって、両脚を伸ばして肩幅程度に開く
  2. 腕はからだから少し離したところに置いて、手のひらを上に向ける
  3. 全身の力を抜いて、不安でなければ目を閉じる
  4. 深い呼吸をゆっくり繰り返し、全体重を床に預けるように全身の力を抜きます。腰や背中に違和感がある場合は、ひざを立てて行いましょう。

更年期の眠気にはヨガ×漢方薬のWアプローチ


更年期特有の眠気には、ヨガに加えて漢方薬の摂取もおすすめです。漢方薬は自然由来の生薬で構成されており、不眠の原因になる血行不良やストレス、過労などに根本からアプローチすることができます。決められた量を飲むだけなので、日常生活にも取り入れやすいですよ。

更年期の睡眠をサポートするためには、下記のような働きのある漢方薬を選びましょう。

  1. 自律神経の乱れを整え、ストレスが原因の疲労や睡眠の質を改善する
  2. いらだちや興奮を鎮めて寝つきをよくする
  3. 血流をよくして中枢神経の機能を回復し安眠に導く
  4. 消化・吸収機能をよくして栄養を全身に届け、心とからだを元気にする

眠気対策におすすめの漢方薬

加味逍遙散(かみしょうようさん)

体力が中程度以下で、疲れやすく、イライラや気分の落ち込みがある人の不眠症に用いられます。いらだちや興奮を抑え、精神を安定させることで寝つきをよくします。

【参考】
くすりの適正使用協議会 くすりのしおり「ツムラ加味逍遙散エキス顆粒(医療用)」
https://www.rad-ar.or.jp/siori/search/result?n=8230


酸棗仁湯(さんそうにんとう):体力が消耗して、心身が疲弊している人の神経症や不眠症に用いられます。気持ちを落ち着かせストレスを取り去ることで、眠りに導きます。

【参考】
くすりの適正使用協議会 くすりのしおり「ツムラ酸棗仁湯エキス顆粒(医療用)」
https://www.rad-ar.or.jp/siori/search/result?n=9077

初めての場合は購入方法や副作用など、不安なことも多いでしょう。そのような場合は、インターネット相談窓口がある「あんしん漢方」のようなサービスを利用するのもおすすめです。「オンライン個別相談」を利用すれば、漢方に詳しい薬剤師にスマホで気軽に相談ができ、お手頃価格で自宅まで郵送してくれます。

セルフケアで更年期の眠気対策をしよう

更年期の眠気・不眠の症状は、意外と知られていないことも多いです。更年期はさまざまなからだの不調があらわれやすいですが、睡眠の質が向上すると、他の不調が改善される可能性もあります。ヨガや漢方薬など、自分にあった方法を見つけて、つらい更年期を乗り越えましょう。

解説・執筆者
ヨガインストラクター
高橋 かなこ
RYT200(全米ヨガアライアンス認定)修了インストラクターとして、2021年からオンラインを中心に幅広い年齢層へのヨガレッスンを担当。企業での事務経験や自身のダイエット成功経験から、デスクワークで疲れた部位や崩れた姿勢のためのレッスン、美しい体を作るため食の大切さや思考について精力的に情報発信を行っている。症状・体質に合ったパーソナルな漢方をスマホ一つで相談、症状緩和と根本改善を目指すオンラインAI漢方「あんしん漢方」でもサポートを行っている。