どんな食品が鉄を摂取できるか?
疲れの解消やハリやツヤのある肌の獲得、はつらつとした日々を送るために鉄不足を解消したい。では鉄は、どのような食品なら効率よく摂取することができるのだろうか。
まず、食品に含まれる鉄には、肉や魚に含まれる「ヘム鉄」と、野菜や卵などに含まれる「非ヘム鉄」に大きく分類される。このうち「ヘム鉄」は、ミトコンドリアの鉄による赤色が特徴的だ。鉄の働きにくわしく、体調を改善するための「鉄活」を呼びかける広島ステーションクリニック理事長の石田清隆医師はこう語る。
「魚でいえば、赤身のマグロやカツオ、そして血合いなどに多く含まれます。ただ、血合い部分をたくさん食べることは大変だと思いますし、特に妊活をする女性にはマグロに含まれるメチル水銀の量も気になるところです」
おすすめは豚や鶏のレバー、ジビエ
そこで石田医師がすすめるのが、「赤身のお肉です」。
さらに——。
「豚や鶏のレバーも非常に多くの鉄が含まれています。そして、野生のイノシシやシカなどのジビエも、鉄を表す赤みがより強く非常に多くのヘム鉄を含んでいます」
ほうれん草など野菜からの摂取はどうか。
「ほうれん草や小松菜などに非ヘム鉄が含まれますが、土壌や肥料の変化によって、昔に比べると鉄の量は驚くほど減っているようです。そういう事情や吸収率の低さなど、野菜だけで十分な鉄を摂るのはなかなか難しいです」
鉄に関して言えば、肉の赤身は見逃せないのだ。
「たとえば独身男性が偏った食事を続けたり、お金がなくてきちんとしたものを食べられなかったりすることが続けば鉄不足になりやすくなります。やはり、赤身のお肉をよく食べてさらに運動する人っていうのは絶対に元気なんです」
ヘム鉄のサプリも安全性高い
とはいえ、質のいい赤身肉やジビエを日々たくさん食べることは難しい面もある。そこで注目したいのが、サプリメントによる摂取だ。
「基本は食事で鉄を摂ることなのですが、補うという意味で推奨しています」
サプリメントを含めた鉄剤には3つの種類がある。
まず公的保険で処方される鉄剤。これは「非ヘム鉄」だが、有害な活性酸素をつくりやすい面があるうえ、腸で亜鉛や銅など他のミネラルと競合して吸収されるため、鉄の吸収率が悪くなってしまうという。
次にキレート鉄という鉄剤。これは、アミノ酸で鉄を包んでいて、腸でアミノ酸として吸収されるため体内で鉄を一定に保つ仕組みが働かず、過剰摂取のおそれがあるそうだ。
そうしたデメリットが少なく安全性の高い、として石田医師のクリニックでは、ヘム鉄のサプリを処方している。ヘム鉄サプリの鉄はポルフィリンという有機化合物で包まれている言わば肉と同じもので、副作用が極めて少なく、吸収率も高いことがメリットとのこと。
「鉄は、体にとって非常に大切なものである一方で、時に有害な活性酸素を作り出してしまうことのある“もろ刃の剣”でもあります。鉄剤の種類や摂取量なども含めて、ご自身の健康のためにより効率のよい『鉄活』に取り組んでくださいね」